番外編 5 『トライアンフ東京』グランドオープニングセレモニー
- 掲載日/2017年06月02日
- 写真・文/立花 啓毅(商品開発コンサルタント)
先日(2017年5月11日)、東京都の吉祥寺エリアに新店舗『トライアンフ東京』がオープンした。早速オープニングセレモニーに伺うと、開演の30分前にもかかわらず、すでに多くの報道陣が詰めかけていた。
ここは単なる販売店ではなく、トライアンフが世界レベルで展開する「プレミアム・ライフスタイル・モーターサイクル・ブランド」という長い名前の世界戦略店である。
日本の最大拠点ということもあり、英国本社よりニック・ブロアー代表取締役、ポール・ストラウド執行役員、アジアパシフィック責任者のマルセロ・シルバ氏が、このために来日された。お三方は、報道陣の前に新型のジャガーXJで姿を現した。この顔ぶれを見ただけで力の入れようが判る。
勿論、トライアンフモーターサイクルズジャパン野田一夫社長と、このトライアンフ東京を設立された岩瀬利基代表取締役もだ。
建物は一見、高級外車デーラーのような総ガラス張りで、総床面積は1,200平米もある。2階にはウエアなどのアイテムも用意し、勿論、大きな整備場も完備している。人ごとながら投資の回収が気になるほど立派な建物だ。
この強気の背景には、トライアンフの販売がすこぶる好調だという事実にあると思う。世界的に大型バイク市場が縮小するなか、トライアンフの販売は、全世界で前年比22%もアップしている。内訳は、日本がなんと21%アップ、欧州28%、北米13%などだ。今後は成長市場のアジアでも拡販するという。
さらに、トライアンフの目標はNo1のヨーロッパブランドになることだと豪語された。これはかなり強気の発言でBMWモトラッドやドゥカティを超えるということだ。
ニック・ブロアー代表は冒頭で「トライアンフは1902年の設立から今年で115年目を迎え、現存するモーターサイクルメーカーの中で最も古い歴史を持つブランドです。そのなかでも1950~60年代はまさにゴールデンエイジで素晴らしいバイクを作ってきました。しかしその後、消滅の運命を迎えることになりましたが、1983年に私の父ジョン・ブロアー(実業家)が権利を得て、今に繋がっています」と話した。
少し補足すると、最初に『ベットマン・サイクル』という名で自転車を販売したのが1885年だから、実に132年前にもなる。これが第1世代の創立者ジークフリード・ベットマンの時代。
第2世代は1950~60年代に大成功を収めた、エドワード・ターナーのスピードツインの時代。そして3代目が、現在の新生トライアンフの時代である。
いずれの世代も経営者から設計者まで入れ替わり、トライアンフというブランドを継承し、新たな商品を創り出している。
英国を代表するこのトライアンフは、実はドイツ人によって生み出されたのはご存知だろうか。面白いのは最も英国車らしいベロセットも、ドイツ人が起業したメーカーだった。
19世紀の英国は、貿易や産業革命によって活気に満ち、そこでの成功を夢見て世界中から人が集まったという。トライアンフの創始者ベットマンも、その1人だった。
最初は自転車を販売したが、経営は芳しくなかった。そこで商品名を『Triumph(勝利)』に変え、自社ブランドを生産。これが功を奏し、折からの自転車ブームに乗って大成功を収めた。
その後、ベルギーのミネルバのエンジンを取り付けた自転車を発売したのが1902年のことだ。
少し脱線したが、ブロアー代表の話は続く。
「1983年に権利を得てからの34年間は、明確なキャラクターを持った3気筒、2気筒エンジンを開発し、レースもマン島やデイトナへ果敢に挑戦し、勝利を挙げてきました。また映画の世界でも多彩な活躍をしています。一方、我々は最高のクラフトマンシップも追求しています。実は日本と英国は共通点が多く、特に高品質を追求する面では価値観を共有し、日本の多くのサプライヤーから協力を得ています。例えば、DENSO、SHOWA、KYB、NISSINなどです」
一連のプレゼンの中でトライアンフらしいと思ったのは、近々5回目にあたる世界最速のスピード記録に挑戦するという姿勢だった。ソルトレイク市のボンネビルと言えば、まさにトライアンフのフラッグシップモデルの名前であり、トライアンフにとっては特別な存在だ。
プレゼンに続き、華やかなオープニング・パーティが行われた。人はさらに増えて、広い会場はまさにすし詰め状態となった。その模様は編集部のレポートをご参照いただきたい。
世界戦略フラッグシップストアー「トライアンフ東京」グランドオープニングセレモニー>>
スパークリングワインで乾杯した後、種々の余興も含め、皆さんかなり盛り上がった。バイク談義にも花を咲かせ、私も楽しい時間を過ごすことができた。
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