アドベンチャーバイクで遊び尽くせ!「第1回 TRIUMPH ADVENTURE EXPERIENCE in Fuji」レポート
- 掲載日/2018年11月30日
- 取材協力/トライアンフ モーターサイクルズ ジャパン
写真・文/山下剛
柏秀樹さんの理論的なレクチャーとともに
タイガーやスクランブラーの真価を楽しむ
トライアンフのアドベンチャーバイクであるタイガーやスクランブラーの優れた走行性能をオフロードで体験できるイベント、「第一回トライアンフ アドベンチャー エクスペリエンス」が2018年11月25日、朝霧高原にあるオフロード施設「イーハトーブの森」にて開催された。
富士山を眼前に望むイーハトーブの森は「ライダーズトレックランド」として、トライアルをはじめとしたオフロードライディングのトレーニングに最適な施設だ。とくに初心者から中級者までのオフロードトレーニングに最適なコース設定で、タイガーやスクランブラーでオフロードを体験するのにもってこいの施設なのだ。
イベントは柏秀樹さんを講師としたライディングスクールがメインで、その仕上げとして周辺の林道をツーリングする内容だ。
柏秀樹さんはパリダカールラリーの参戦実績を持つモーターサイクルジャーナリストだが、バイク雑誌やDVDでのライディングレクチャーをはじめ、ライディングスクール「KRS」を主宰するインストラクターだ。そしてこのイーハトーブの森のプロデューサーでもあるのだ。さらにいえば、3気筒タイガーを長く所有してきたトライアンフオーナーでもあり、このイベントのインストラクターとしてまさにうってつけなのだ。
では写真とともに「トライアンフ アドベンチャー エクスペリエンス」の模様を見ていこう!
スクールはブリーフィングからはじまる。イベント時の注意点やインカムの使い方などの要点を説明する、柏さんとトライアンフモーターサイクルズジャパンの担当者。
ずらりと並んだトライアンフのアドベンチャーバイクたち。タイガー800と1200、ストリートスクランブラーに加えてボンネビルT120の姿も。
バイクに乗る前にまずは準備運動。手首と足首といったバイクの操作に関わる部分をはじめ、足腰や肩などバイクの操縦に欠かせない部位をストレッチして体をほぐす。
ライディングフォームの解説をする柏さん。上半身をリラックスさせ、力を抜くことの重要性を説く。
ハンドルの握り方を一人ずつレクチャーする。手指でギュッと握るのではなく、手のひらを添えるようにしてハンドルを抑え、バイクの自然な動き(セルフステア)を阻害しないようにとアドバイス。
ハンドルを握る両腕はまっすぐに伸ばすのではなく、ヒジにゆとりを持たせておくことが大切。そうすることで、バイクの挙動を体が柔軟に受け止められる。
ライディングフォームの解説が終わると、砂利道を周回して慣熟走行。小さなターンを繰り返しながらセルフステアの感覚に馴染んでいく。
それぞれバイクを走らせてイーハトーブの森を出て、近くにあるレストランでランチを楽しむ。肉か魚を選べるコース料理に舌鼓を打ちつつ、同席の参加者たちと打ち解けられる、ちょっと贅沢なひととき。
午後になると富士山がますます映える日当たりとなった。午後のカリキュラムに向けて気分もますますアガる。
より実践的なライディングフォームのレクチャーをする柏さん。全員がインカムを装着して柏さんが話す声を聞くことができ、こうしてバイクを走らせながらフォームの細かい説明を受けられるため、理解が早い。
腕に覚えがある参加者は、コース内に設けられたギャップを乗り越える。上りと下りでも体を地面と垂直に保つことで車体も体も安定させるスキルを身につける。
コースの奥のほうまでバイクを走らせてタイトターンのやり方をレクチャーする柏さん。参加者からは50m以上離れている場所で手本を見せているが、インカムがあるから体の動かし方やバイクの挙動まで理解できる。
午後からは走れるエリアを拡大し、それぞれのスキルに合ったやり方で加減速やギャップ越えなどで変化する車体に対応したライディングフォームを身につけていく。
地面に埋め込んだ丸太を越えるセクション。高さはあまりないので一見カンタンそうに思えるが、乗り越えるときにサスペンションを積極的に動かさないと……。
こんなふうに丸太がエンジン下部に接触して前進できなくなる「亀の子状態」になってしまう。こういう場合はバイクを一度後退させてリアタイヤの駆動力をきっちりと生かせる状況を作り出す。
拳大の石がごろごろと転がる坂道は、林道でも遭遇するシチュエーションだ。フロントブレーキでスピードを制御しながら下るトレーニングを重ねる。
急な上り坂の直後に小さなカーブが続く、ちょっとした難セクション。スロットルとブレーキ、セルフステアを上手に起こすためのフォームをバランスよく行う練習だ。
柏さんが監修したオフロードコースは、スピードを出すためのトレーニングではなく、低速でもしっかりとバイクを操縦できるようにするためのセクションが設けられていて、タイガーやスクランブラーでも対応できる。
石の大きさが異なる砂利道だけでなく土や草もあり、グリップの異なる路面によってスロットルやブレーキの強弱を使い分ける重要性を身につけられる。
バイク雑誌でモデルをこなすだけでなくプロボクサーとしても活躍中の大関さおりさんが参加。柏さんのトレーニングは何度か受講した経験があるそうだが、タイガーエクスプローラーというビッグオフでの参加は初めてとのこと。「ノーマルタイヤと大きな車体に不安がありましたが、回数をこなすうちに低速での半クラッチとスロットルをうまく操作できるようになりました」とトレーニングの成果を語ってくれた。
イーハトーブの森でのトレーニングの成果をためす林道ツーリングがイベントの仕上げだ。ところどころに水たまりや滑りやすい泥があったものの路面はフラットで走りやすい林道で、これが初めての林道走行という参加者も柏さん直伝の操作と操縦によって難なくクリア。タイガーとスクランブラーだからこその幅広いツーリングの楽しみを味わった。
林道ツーリングを終えてイーハトーブの森に戻ると、柏さんが参加者ひとりひとりと対話してトレーニングの感想を聞き出す。一日を振り返ることで受講前と受講後の変化を感じ取ることができ、トレーニングの効果は倍増する。
イベントではレンタルバイクも用意され、アドベンチャーバイクを初体験した参加者もいた。豊富なラインナップを持つタイガーと、伝統のバーチカルツインを搭載するスクランブラー。どちらもトライアンフならではのライディングプレジャーをもたらしてくれる優れたバイクだ。
柏秀樹さんのレクチャーは理論的かつ実践的だ。「スピードを出せれば上手というのは昭和でおしまい。平成も終わる今は、絶妙な操作で巧みな操縦をすること」と話す柏さんのライディングスクールは、ビギナーはもちろんだがベテランこそ受けてほしい、目からウロコのレクチャーが特徴だ。スクールの詳細はKRSまで。