現代のボンネビルは“優秀なカスタムベース”
- 掲載日/2015年05月29日
- 文/鈴木 克直(トライアンフ東京みなと)
今回からは本格的なカスタム、特にボンネビル、スラクストン、サンダーバード系のカスタムについてお話ししましょう。
僕が個人的にいちばん好きなカスタムは、1950年代から1970年代の通称『カフェレーサー』というスタイルです。ただし、ロングタンク、シングルシート、クリップオンハンドル、ショートフェンダー、バックステップなど、国によってパーツの名称がかなり違います。たとえば、英国でバックステップは『リアセット』と言います。カウルもフェアリング、キャブレターに取り付けるエアファンネルは『ベルマウス』と呼ばれています。このあたりも、調べていくととてもおもしろいですよ。洋書のカスタムマガジンを参考書として活用するときに役立ちます。
最近では、以前から発行されていた旧車の本にも2015年の現行ボンネビル、スラクストンの記事が掲載されており、なかなか的を射たカスタムを見ることができます。
正統派は、現代版『トライトン』。みなさんも名前をよく耳にすると思います。
1960年代に、英国ノートン社の通称『フェザーヘッドフレーム』というダブルクレードル系のフレームがありました。これはかなり手の込んだ作りのもので、日本のメーカーもお手本としたフレームです。しかもこのフレームは、ほとんどのエンジンが載る優秀なフレームでした。BSAのシングルから、はたまたハーレーダビッドソンのツイン、日本車であればCB750などの4気筒シリーズまで載り、それぞれに合わせたエンジンプレートが販売されていました。
2014年の雑誌には、1962年くらいのフェザーヘッドフレームに、ボンネビルのエンジンをうまく載せている車両がありました。これはプロの作品です。ちなみに昔のトライトンは、マニアの中で評判となり、かなりの数が作られていましたが、そのほとんどがアマチュアの人々が作ったものであり、ものすごくカッコ悪いもの、カッコ良いものがありました。もしそんなバイクが海外から手に入ったとしても、そのままでは危険で乗れません。そのくらいにレベルの低いバイクばかりだったのです。ただし、これらをベースとして使い、日本人の技術で手を入れてくとかなり良いものになります。
数年前にノートン社も復活に成功し、コマンド961が登場しました。やはり、そこに目を付けた海外のマニアたちがいて、この新型ノートン・コマンドのフレームを使い、ボンネビルのエンジンを載せて、現代版トライトンを製作しています。ただし、それはかなり金額の張るプロジェクトになったことでしょう。
しかし、そこまでして完成したトライトンも、自己満足の世界でしかないはず。というのも、現在のボンネビル、スラクストンはかなり高いレベルのフレーム剛性があり、ハンドリングも優れているからです。したがって、フレームの交換や改造をする必要はなく、外装のカスタムだけでかなり完成度の高いカフェレーサーができるのです。
次回は、使用する各パーツの説明、吟味のしかたなどについてお話ししましょう。
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