VIRGIN TRIUMPH | トライアンフのカフェレーサー「スピードトリプル1200RR」を試乗インプレ!美麗なボディラインに秘められた鋭い牙 試乗インプレッション

トライアンフのカフェレーサー「スピードトリプル1200RR」を試乗インプレ!美麗なボディラインに秘められた鋭い牙

トライアンフのカフェレーサー「スピードトリプル1200RR」を試乗インプレ!美麗なボディラインに秘められた鋭い牙のメイン写真
TRIUMPH SPEED TRIPLE 1200 RR(2021)
究極のストリートファイターモデルと名高いトライアンフのスピードトリプル1200RSをベースとしながら、ロケットカウルやクリップオンハンドルなどを用いることでピュアカフェレーサーへと仕立てられた一台、それがスピードトリプル1200RRだ。

並の腕前では手を焼くスピードトリプル長兄を、
紳士的にスポーツライドするためのパック

四半世紀以上もの長きに渡りトライアンフのラインナップにその名を連ねてきたスピードトリプル。トライアンフが得意とする最先端テクノロジーを駆使したハイパフォーマンストリプルエンジンを備え、バーハンドルネイキッドスタイルとされたストリートファイターの代名詞的な一台だ。その中でもフラッグシップモデルとして君臨するスピードトリプル1200RSは、サーキットに持ち込んだとしても、多くのライダーが持て余してしまうほどのポテンシャルが与えられたモデルとなっている。

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そんなスピードトリプル1200RSをベースとしながら、フロントカウルやクリップオンハンドルなどに換装し、さらには前後足まわりに電子制御式のオーリンズ製サスペンションを装備するなどして、さらにスポーツ性能を引き上げた究極とも言えるカフェレーサーモデルが生み出された。それがスピードトリプル1200RRだ。

スピードトリプル1200RR 特徴

カフェレーサーからストリートファイターへ、
ストリートファイターからカフェレーサーへ

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スピードトリプル1200RRの話に入る前に、そもそもカフェレーサーとはなんなのか、そしてストリートファイターというジャンルがこの世に出てきた出自を遡ってみたい。60年代のヨーロッパでは、ロッカーズと呼ばれる血気盛んな若者たちがカフェからカフェへと移動するストリートバイクレースを始めるようになった。それはグランプリマシンを模して、クリップオンハンドルやバックステップへの換装、さらにはフロントカウルを装着するなどのカスタマイズが施され、それらをカフェレーサーと呼ぶようになった。

その後様々なレースで活躍し始めた日本車勢の台頭などにより、欧州車のムーブメントは一時落ち着いてしまっていたが、過激な若者はいつの時代にもいるもので、80年代後半から90年代に掛けて、スーパーバイク系モデルのカウルを撤廃し、込み入った道の続く市街地で扱いやすいようにバーハンドル化したカスタムカルチャーが出始める。これがストリートファイターというジャンルの発端となる。ブームに火がつけば、それを製品として開発するのはバイクメーカーの役目でもある。その中に、トライアンフのスピードトリプルもあった。このような話もすでに四半世紀も前のことになってしまうのだが、人目を惹きつける大胆なスタイリングと、アップライトなライディングポジションからなる扱いやすさで、現在もストリートファイターモデルの人気は高く、一つのジャンルとして根付いたのである。

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そして今、ストリートファイターの名機として名高いスピードトリプル1200RSをベースとし、カウルやクリップオンハンドルに換装し、いわゆるカフェレーサースタイルで纏められたスピードトリプル1200RRが誕生した。これまでの話を読んでいただくと、このストーリーが原点回帰ともとれることをご理解いただけるであろうか。

スピードトリプル1200RR 試乗インプレッション

これほどまでに洒落ている
スーパーバイクは他には無い

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数か月前の話だが、このバージントライアンフにおいて、スピードトリプル1200RSのインプレッションを行う機会をいただいた。スピードトリプル1200RSを1週間ほど乗り回し、その完成度とポテンシャルの高さには実に驚かされたものだが、一方でじゃじゃ馬とも言えるキャラクターには、はたして公道でどれほどのライダーがこのバイクを気持ちよく操ることができるのだろうとも感じたことを覚えている。

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それと時を同じくして、今回のスピードトリプル1200RRが発表された。私はフロントにしっかりと抑えが効くクリップオンハンドルになっていること、高速域でも走行風をいなしてくれるフェアリングを備えていることに、むしろその方がまとまりが良いのではないかと大いに興味を抱いたものだった。そして先日、日本に上陸したばかりのスピードトリプル1200RRに実際に触れテストすることになったのだ。

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実車を目の前にすると、その美しさに惚れ惚れとしてしまった。いや、スピードトリプル1200RSと基本的には同じはずなのだが、フロントに備わるカウルとクリップオンハンドルに違和感を持つどころか、この方が素敵だと心底思えたのだ(フォローするわけではないが、スピードトリプル1200RSも格別にカッコいい)。車両に跨りエンジンを掛け、ライディングポジションを取る。ハンドルは低く、ステップは高い、このポジションはスーパーバイクのそれだ。ギアを1速に入れて走り出す。エンジンのスペックはスピードトリプル1200RSと同様なのだが、セッティングを中高回転よりにしているせいか、むしろ低速域でも扱いやすい感じすらする。ハンドルに体重が乗らないように、腹筋背筋を使い姿勢を整えて走らせれば、とても従順に動いてくれる。バランスが素晴らしく良い。

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高速道路に乗り、ややペースを上げてゆく。ひとこと断っておくと、ゆっくり走ることを意識していても、結構なスピードが出ている。そしてスピードを上げる程に車体のコントロール性が増す。スポーツライディングの楽しさを満喫しながらも、常に全方向に細心の注意を払わなければならない。このことは当たり前ではあるのだが、車体をコントロールするために着座位置を後方にし、ハンドルに力が入らないように背中を湾曲させる。するとおのずと視線は近くになってしまう、さらにバックミラーも後方確認がしやすいかと聞かれれば、相応だと答えるしかない。ここでスピードトリプル1200RSのことが頭に浮かんでしまう。ああ、あのパッケージングはまさしくストリートファイターだった、と。しかし走りに集中した時の楽しさは、スピードトリプル1200RRの方が上だ。

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ライディングモードはロードで走ることがほとんどだったが、スポーツやトラックモードに変更すると、電子制御サスペンションが引き締められ、よりスポーティでシャープな走りを楽しめる。一方でロードやレインモードでのサスペンションセッティングはコンフォートなので、乗り心地も良く、さほどスピードに乗っていない状況でも扱いやすい。付け加えておくならば、6軸センサーの装備やサスペンションセンサーにより、路面状況や走り方などをリアルタイムにセンシングし、減衰特性を最適に保ってくれる。

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スピードトリプル1200RRはレーサーレプリカではないが、同じかそれ以上のポテンシャルを秘めている。それはスーパーカー的な立ち位置であり、少々特殊とも言えるものだ。しかし乗って楽しく、見て美しい。それだけでも十分魅力的だ。敷居を上げるつもりはないが、ある程度のライディングスキルを持ち、生活にも余裕があるライダーに乗ってほしいものである。

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スピードトリプル1200RR 詳細写真

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総排気量1160ccの水冷並列3気筒DOHC12バルブエンジン。最高出力180馬力や最大トルク125Nmなどスピードトリプル1200RSと同スペックとなっている。4000回転くらいまでを使ってのクルージングも楽しめつつ、7000回転以上に引っ張ると未知の世界的なフィーリングが得られる。
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サスペンションにオーリンズ製電子制御式セミアクティブフォークを採用しているのはスピードトリプル1200RSとの大きな違いだ。タイヤはピレリ・ディアブロスーパーコルサSP V3、このセレクトも本格的なスポーツ性能を感じさせる。
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美しいスタイリングを助長するフロントカウル。表から見られる流麗なデザインも素晴らしいのだが、ライディング中にメーターの後ろに見える部分までカーボンパーツとされており、機能的でありながら所有欲を満たすものとなっている。
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シートもテールカウルもスピードトリプルRSと同様のものとなっている。シート高は830mmだが、下方にセットされたハンドルに手を伸ばすと、その分多少だが踵が浮き上がるという印象はあった。
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3気筒エンジン特有のサウンドを奏でるエキゾーストシステム。後方に向かって跳ね上がっている形状ということもあってなのか、ライディング中もスポーティで心地よい音を楽しむことができた。
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片持ちタイプのスイングアームを採用。テスト車両の借用期間中には、外気温が10度に満たない日が続いただけでなく、降雪、降雨、凍結路面などもあったのだが、そのようなステージではレインモードがとても役に立った。
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オーリンズ製のセミアクティブ式電子制御サスペンション・スマートEC2.0を、リンクを介してスイングアームにセットしている。スピードトリプル1200RSとの大きな違いであり、実際に任意で何もセッティングしないでも、どこでも足の動きは良く感じた。
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テールカウルに埋め込まれた面発光LEDのストップランプは、「T」の字を浮かび上がらせる。ウインカー及びライセンスプレートホルダーもシャープなデザインで、リアセクションはとても引き締まっている印象を受ける。
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シフトレバーやステップのセット位置は、スピードトリプル1200RSのテストでは高く膝周りが窮屈な印象だったが、同じ位置にセットされているにも関わらず、スピードトリプル1200RRではとてもしっくりくるライディングポジションに感じられた。
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燃料タンクは形状や15Lの容量もスピードトリプル1200RSを踏襲している。フロントカウルを持しているのに、スピードトリプル1200RSから+1kgの車重200kgと抑えたのは素晴らしい。
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低く垂れた格好でセットされたクリップオンハンドル。スポーツライディングに集中している最中に触れることはあまりないかもしれないが、スイッチ類の操作性は良かった。クルーズコントロールも標準装備となっている。
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5インチTFTフルカラー液晶メーターを採用。視認性も高く、インフォメーションも直感的に伝わってくる。なおキーレスシステムにより、物理キーを使用せずにロック解除から始動まで行うことができる。

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