【速報】2016年にボンネビルシリーズが水冷エンジンを搭載
- 掲載日/2015年10月29日
- 取材協力/トライアンフ モーターサイクルズ ジャパン
取材・文/高橋 剛、VIRGIN TRIUMPH.com 編集部
写真/トライアンフ モーターサイクルズ、高橋 剛、VIRGIN TRIUMPH.com 編集部
※この記事は、2015年11月11日発売の雑誌『アウトライダー』Vol.75の内容を再編集・掲載したものです。
新たなクラシックの世界を押し広げる水冷化と電子制御の積極採用
ロンドン郊外の道をひたすら行く。信号などほとんどない。木漏れ日の中、ゆるやかなコーナーが続く。レンガ造りの家々。時を感じさせる石垣。伸びやかな空気と、どこを切り取っても絵になる景色に包まれて走る、気持ちのいいワインディングロード──。
1959年のT120ボンネビルの登場以来、空冷エンジンを搭載し続けてきたが、より厳しくなる排ガス規制や騒音規制への対応、燃費の向上などを狙い、このほどついにエンジンを水冷化することとなった。
ただし、単なる規制対応やエコ対策ばかりを狙ったわけではない。走りを希求するトライアンフの姿勢は、新しい『モダンクラシック・シリーズ』にもそのまま受け継がれている。
新型ボンネビルT120のエンジンは、水冷化されたばかりではなく、従来型ボンネビルT100の865ccに対し、1,200ccに排気量アップ。さらにライドバイワイヤをコアに、トラクションコントロールやABS、エンジンモード切り替えを装備し、一気に先進的な『電子制御』を身に付けた。
丸みを帯び、誰もが親しみを感じられるクラシカルなスタイルは、従来通りだ。しかし、決して古めかしくはない。ディテールに注目すると、モダンな洗練が随所に施されていることに気づく。1950?60年代への復古ではなく、あくまでも21世紀の最新モデルにふさわしいデザインが授けられている。
エンジンの水冷化&大排気量化にも関わらず、エンジンまわりにはほどよい余白が残されている。ダウンチューブの間にレイアウトされた縦型のスリムなラジエターは、確かに『存在する』けれど、さほど気にならない。
──ここまでの話は、7月末、イギリス・ヒンクレーの本社工場で開催された、メディア向けのファクトリーツアーで取材した内容だ。生産仕様が決まる直前のプロトタイプモデルをごく一部のメディアに披露するという、異例のイベントである。
情報公開できるタイミングは厳しく規制されていたし、当日は試乗の機会も与えられなかった。ただ、またがってエンジンをかけることはできた。
まったく新しい水冷並列2気筒エンジンはレスポンスがよく、力強い走りが期待できた。勇ましく、歯切れのいい排気音には「ただ規制に対応するだけじゃない。ライダーを新しい世界へと誘うんだ」というトライアンフの熱意が込められているようだった。
クラシカルムードに隠された高性能エンジンと電子制御 Bonneville T120
空冷865ccから水冷1,200ccへとエンジンは大幅に進化。気筒配列こそ並列2気筒を継続しているが、まったくの新作だ。排ガス・騒音などの規制に対応しながら燃費を向上させつつ、トルクアップして走りの質を高めるための選択である。
約1.4倍となった排気量に加え、フライバイワイヤ、トラクションコントロール、ABS、エンジンモード切り替えなど電子制御も盛りだくさん。グリップヒーターといった快適装備も調えながら、正統派の世界観は守り抜いている。
ムダのないミニマルなデザインで新しい個性を高らかに主張する Street Twin
ボンネビル・ファミリーの血統と個性を受け継ぎながら、現代的な機能とパフォーマンスを備えた1台。搭載している新型の水冷900ccエンジンは、徹底的に扱いやすさに配慮。3,200rpmという低回転でピークトルクを発生し、走り出しから力強い加速力を発揮させる狙いだ。
シート高も低く、またがってみても足つき性は非常に良好。押し引きもしやすく、900ccという排気量を感じさせない身近さだ。ビギナーからベテランまで、幅広いライダーを満足させるだろう。
走りと性能に磨きをかけた最新カフェレーサーの真打ち Thruxton R
カフェレーサースタイルはそのままに、より現代的な装備を身にまとったスラクストン/スラクストンR。1,200ccの新型水冷並列2気筒エンジンはT120と共通だ。
スタンダードのスラクストンに対してよりスポーティーな『R』は、サスペンションやブレーキなどに伝統あるブランドの高性能パーツをおごる。日本への導入はこの『R』のみとされている。デザインにモダンな洗練も交え、カフェレーサーの新しいあり方を提案するトライアンフの意欲作だ。
さらに超速報!! 日本にまず導入される3車種と発売時期が見えてきた!!
正式発表を直前に控えた10月22日、ロンドン中心部からモーターサイクル文化を発信する『The Bike Shed』というスペースを貸し切って事前説明が行なわれた。新型にかける意気込みは、広報担当者だけでなく、チーフエンジニアを務めたスチュワート・ウッズ氏と製品戦略の責任者であるスティーブ・サージェント氏が同席したことからも伝わってくる。
気になる発売時期だが、ストリートツインが来年1月、ボンネビルT120とスラクストンは春先予定とのこと。なお、実際の日本仕様とは部分的に異なる可能性がある。
英国のバイク文化とは?「変わることで継続できる」
伝統を重んじる国──。だからイギリスでは、ボンネビルのようなクラシカルなバイクが愛され続ける。一方で、変化しない伝統は生き残れない。カフェレーサーの聖地『エースカフェ』のオーナー、マーク・ウィルスモアさんは、いったん閉鎖されたエースカフェを再開した立役者だ。
その彼も、往年のスタイルにこだわることなく、時代の変化を楽しみつつ、カフェのあり方を変えていた。英国は、確かに伝統を重んじる。けれど、変化と進化も怠らない。ボンネビルの水冷化にも重なった。
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