VIRGIN TRIUMPH | 各国のトライアンフディーラーを訪ねて(2014) 山田健さんのコラム

各国のトライアンフディーラーを訪ねて(2014)

  • 掲載日/2015年11月27日
  • 写真・文/山田 健

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2014年のユーラシア大陸横断バイク旅では、途中で各地のトライアンフディーラーを訪ねつつ、ユーラシア大陸最西端のロカ岬(ポルトガル)へ行き、その足でイギリスに向かった。トライアンフ乗りとしては、きっと誰しも行って見たい場所、それはイギリスにある本社だ。

本社にはファクトリーも併設されていて、自分のバイクもそのファクトリーで作られている。なんとしてもユーラシア大陸横断、ポルトガル・ロカ岬、そしてトライアンフ・イギリス本社だけは行こうと思って走った。たとえ用が無くても、ただコーヒーを飲んだり、話したり、各国のバイク乗り、ディーラー、時には出版社など、出会いが広がっていく。今回は訪問した7カ国9ディーラーを紹介したいと思う。

ディーラーに寄る最初のきっかけはクラッシュだった

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最初はある程度の旅のプラン、どこの国、どの辺を走るのかを練った。そこに行くであろう街にディーラーがあれば「メンテナンスしたいとき行こうかな」ぐらいに思っていた。そんな時、あの事件(事故)が起こった。ロシアでのクラッシュだ。

ユーラシア大陸上陸初日にグラベルでスリップして、大破してしまったのだ。旅に出る前、トライアンフ ジャパンにも旅のことを伝えていたのに早々のクラッシュ。身体の傷みよりも恥ずかしかさが大きかった。でもあのクラッシュが無ければ、ロシアのトライアンフディーラー3店に寄ることは無かったと思う。

トライアンフ エカテリンブルグ(ロシア) Triumph Ekaterinburg, Russia

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エカテリンブルグには、モスクワへ抜ける道として最初から通る計画だった。シベリアにはトライアンフディーラーが無く、モスクワなど西部に限られていた。クラッシュによる肋骨骨折、バイクのダメージは本当に大きかった。旅の計画もあり、ロシアに滞在できる期間は限られていた。あまり長くなると、ヨーロッパも北半球なので冬になり、走ることが難しくなる。

そう思い、駄目もとでトライアンフ ジャパンにメールしてみた。このパーツが必要で、最寄のディーラーへ取り寄せることができるか? など。こういうことでわざわざトライアンフ ジャパンに連絡はしたくなかったけれど、そうするしかなかった。オーダーする際はお金を先に払って取り寄せるのが一般的だ。しかし、シベリアから先にお金を払うことも連絡手段も会話も出来なかった。

最初にクラッシュした場所から最寄のディーラー、エカテリンブルグまで5,000km以上あった。本当に迷惑をかけたが、日本からイギリス、イギリスからロシアに連絡していただき、エカテリンブルグへ到着するまでの間にパーツを取り寄せ、特別に後払いにしてもらった。感謝の言葉しかない。

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エカテリンブルグは完成して1ヵ月ほどの新しいディーラーだった。内装も真新しくすっきりしている。
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必要だったパーツはモスクワの親会社経由とのことで、到着したときはまだパーツが届いていなかった。ここで修理せずにモスクワへ行こうと思ったが、なんと展示車両のタイガー800XCからパーツを取ってくれることに! しかもオーダーしていないパーツまで付けてくれた! カード払いが出来なかったので支払のため5日ほど滞在した。カードの1日の限度額が足りなかったからだ。何度も行った銀行の窓口で、最後は慣れたものになった。ロシアのトライアンフの値段は、当時のレートで日本より若干高かった。

トライアンフ グランモト モスクワ(ロシア) Triumph Gran moto Moscow,Russia

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ロシアのビッグディーラー。トライアンフ エカテリンブルグへのパーツ手配でお世話になったので、ボスにお礼が言いたくて訪問。あいにく不在だったがお礼を伝えてもらった。
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ここからバイクに貼るステッカーが増えてきた。
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カスタムトライアンフも。
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1ヵ所気になるところをメンテナンス。パーツ交換してもらった。しかもディスカウントだった。
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お世話になったみなさんと。

トライアンフ サンクトペテルブルグ(ロシア) Triumph St.Petersburg, Russia

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トライアンフ モスクワの女の子に紹介してもらって訪問。本当に親切で、お茶をしたり食事に連れて行ってもらった。ここのボスと一緒に半日ほどサンクトペテルブルグをバイクで走った。
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スタッフのみんなと(一番左がボス)。
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お店に入るとまずヘルメット置き場がある。黄色いのが僕のヘルメット。

トライアンフ シュシェチン(ポーランド) Triumph Szczecin, Poland

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たまたま通ったポーランドの街で。出会った人たちはとてもフレンドリーで、ただ寄っただけなのに、無料でチェーンのメンテナンスをしてくれた。トライアンフ以外に日本車も取り扱っている。

トライアンフ デュッセルドルフ(ドイツ) Triumph Dusseldolf, Germany

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クラッシュのダメージで液漏れしたクーラーを交換。パーツの在庫が無く、ここでも、展示車両のパーツを取り付けてくれた。支払はビザカードが使えず、ヨーロッパのマエストロというカードのみの取り扱いだった。ヨーロッパでは時々ビザカードが使えない。ここのディーラーでは日本車も取り扱っている。

トライアンフ BMC(ベルギー) Triumph BMC, Belgium

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2014年の旅では、ロシアの修理以外では一番お世話になったディーラー。ベルギーのトップディーラーだ。もともとベルギーに行く予定はなかったが、ロシアを抜けた辺りだろうか、突然「ブログを見ています、良かったら寄ってください」とのメールがあった。差出人の名前はクリスティーナ。かわいい…行くことにした。

会ってみると、クリスティーナはほぼ同い年。しかもボスの娘さん。(残念ながら)彼氏がいた。ここでも素晴らしい出会いがあり、いろんな国のディーラーに行くきっかけになった。用がなくても挨拶をして、コーヒーを飲んで、話すだけでもいいんだな、と思えるディーラーだった。

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食事をご馳走になったり服を頂いたり、タイヤ交換やその他メンテナンスを半額ほどにもしてくれた。出版社も紹介してもらい、ベルギーのバイク雑誌にデビューした。日本へ帰国した後わざわざその雑誌を送ってくれた(Dank u wel!)。オランダのトライアンフ ベネルクス(ディーラーではない)の方ともこのお店をきっかけに知り合いとなり、翌年再会することが出来た。

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トライアンフ BMCのボスと。
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当時働いていたメカニックの“J”は、エクストリームライダーで元オランダチャンピオンだ。
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メカニックと。真ん中がJ。

トライアンフ トリノ(イタリア) Triumph Torino happy moto, Italy

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イタリアからフランスへ行くとき、ミラノかトリノにディーラーがあったが、フェイスブックを見ていたら、楽しそうな雰囲気があったトリノへ行くことにした。ただ挨拶に行って、話をしたり、ゆっくり過ごした。ここでも「気になるところはあるか?」と言ってリアタイヤのナット、チェーンの張り具合を無料でチェックしてくれた。トライアンフ イタリアとつながりのあるカメラマンに撮影もしてもらった(Grazie!)。

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通りに面した場所にお店があり、中に入ると中庭スペースとサービス工場がある。

トライアンフ リスボン(ポルトガル) Triumph Lisboa, Portugal

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ユーラシア大陸最西端のロカ岬からほど近い、ポルトガルのリスボンにあるディーラー。
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ここでも「ハロー!」と言いに行っただけだが、コーヒーを頂いたり、簡単なメンテナンスをしてくれた(Obrigado!)。
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リスボンらしい石畳の坂道にある。

ここのフェイスブックで紹介してもらい、出版社やトライアンフ・ポルトガル・オーナークラブのボスとも知り合いになった(が、お会いできていない。いつかお会いしたい)。出版社のほうはメッセージに気付くのが遅くなり、結局連絡が取れなかった。残念。

トライアンフ エディンバラ(スコットランド) Triumph Edinburgh, Scotland

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トライアンフ本社訪問後、さらに北上してスコットランドへ。10月下旬から11月初旬だったが、本当に寒かった。エディンバラでは、旅で出会ったフランス人の家に居候させてもらっていた。このときにエンジン始動が一瞬悪くなったので気になって訪問。プラグ、エンジンオイルなどを交換した。ここでもディスカウントしていただき、そのうえTシャツまでプレゼントしてくれた(Thank you!)。

各国のディーラーに行ってわかったこと

  • ・バイク乗りの知り合いが増える。時には出版業界ともつながりが出来る。これが一番大きい。
  • ・おすすめの場所や道など、バイク乗りならではの情報を得ることが出来る。
  • ・とくに用がなくても、行ってみると簡単なメンテナンスをしてもらえる(無料なときも)。
  • ・ステッカー、服、キーホルダーなど、プレゼントをもらえることも。
  • ・コーヒーが飲める。
  • ・Wi-fiを使えるところが多い。インターネット出来るのはメリットだ。

あくまでも仕事中なので、こちらも邪魔にならないように気をつけたつもりだけど…正直分からない(笑)。

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