VIRGIN TRIUMPH | トライアンフのスピードツイン1200(SPEED TWIN 1200)を試乗インプレ!デートも行けちゃう戦闘機 試乗インプレッション

トライアンフのスピードツイン1200(SPEED TWIN 1200)を試乗インプレ!デートも行けちゃう戦闘機

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TRIUMPH SPEED TWIN(2023)
トライアンフ伝統のバーチカルツインエンジンを搭載するモダンクラシックラインであるボンネビルシリーズの中でも、スピードツイン1200はスポーツライクな運動性能が持たされたモデルだ。

窮地にあったトライアンフ社を救った
歴史的名機スピードツイン

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今から100年程前の1920年代という時代は、アメリカこそまだ大恐慌に突入する前であったが、トライアンフの母国イギリスでは戦後の好景気を裏返したかのような経済不況に見舞われていた。トライアンフ社も終焉が目前に迫るような状況となっていたが、同じく困窮状態だったアリエルを救ったジョン・ヤング・サングスターがトライアンフへ移籍、当時共にアリエルで活躍していた盟友エドワード・ターナーも呼び寄せて、1936年には自動車部門から分離し、トライアンフ モーターサイクルとして新たな歴史を歩き始める。初代スピードツインが登場するのはそれから2年後の1938年、軽量コンパクトにまとめられたバーチカルツインエンジンを搭載し、衝撃的なデビューを飾った。今日のトライアンフがあるのは、スピードツインがあったからと言っても過言ではない。その名機の名称が、現代に蘇ったのは2019年のことである。

スピードツイン1200 特徴

トリプルブラザーズに対する
ツインブラザーズの長兄

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スピードツインの冠が現在に蘇った理由の裏側には諸説あるが、時代のニーズに応えるというのは大きな要因だと考えている。トリプルエンジンを採用するロードスターラインにはスピードトリプルとストリートトリプルという兄弟モデルが存在していたのだが、当時モダンクラシックラインではストリートツインだけで、その兄貴分と言えるのはホットモデルであるスラクストンとなっていた。

世の中を見回すとネオクラシックモデルがブームとなっていることもあり、ストリートツインとスラクストンの中間を埋め、そこに往年の名機、スピードツインの名を復活させようということになったのである。そのビジネスプランニングは見事に成功。スピードツインの登場後は、ストリートツインもスピードツイン900へと名称を変更、スピードツインはスピードツイン1200と排気量を付け加えることで、兄弟モデルという位置づけが確立され現在に至っている。

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さて今回ピックアップするスピードツイン1200だが、モダンクラシックラインでスポーツカフェレーサー筆頭となっているスラクストンをベースに作られている。アップライトなバーハンドルを用いたり、パッセンジャーも快適に乗ることができるフラットなタンデムシート、手入れの楽なキャストホイールなど、ストリート的なエッセンスが散りばめられているのが特徴だ。なお2021年モデルからは新設計ピストンが用いられユーロ5に適合しつつ、3馬力向上。フロントフォークは正立タイプから倒立タイプへ、フロントブレーキはブレンボ製ラジアルマウントキャリパーとされるなど、各所がブラッシュアップされている。

スピードツイン1200 試乗インプレッション

腹筋にズドンと響くトルク感
行き過ぎ注意を伝えるシャシー

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スピードツイン1200に触れるのは久しぶりだ。今回のテスト車両はトライアンフのトレンド、マット・バハ・オレンジで、元気が出るビタミンカラーに好印象を受ける。

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エンジンを始動すると、車体左右にセットされたアップマフラーから低音が心地よいバーチカルツインサウンドが響き渡る。半クラッチを繋ぐとトットットッと前へと進み出る。エンジンマネジメント面で良く調教されており、平地であれば、スロットルを触らずとも2速、3速とシフトアップしても息つくことなく走り続ける。現代の技術は素晴らしい。

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しばらく市街地での走行を楽しんでみた。前後17インチタイヤは、現代のスポーツモデルでは定石と言えるサイズだが、アップライトなライディングポジションと太いトルクという組み合わせから、低速時のコーナーリングは多少気を使う場面がある。とはいえ、ハンドルの切れ角も倒立フォークにしては大きいので、すぐ曲がるきっかけをつくることに慣れるだろう。

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高速道路へとステージを変える。ロード、スポーツ、レインと3パターンから選べるライディングモードをスポーツにセットする。スロットル操作に対するエンジンレスポンスは飛躍的に上がり、ラフにスロットルを操作するとハンドルを持つ手を振り落とされそうになるほどだ。そしてスロットルワークの仕方を変えるだけで腹筋へズドンと響くトルク感だけでなく、胸のすくような加速感も得られる。まさしくこれは病みつきになるドラッグだ。

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ワインディングロードももちろん好物だ。ライディングモードはロードのセットで十分。5000~6000回転域を上手く使いながら走らせられれば、この上なくエキサイティングな走りを楽しめる。

ぐいぐいと曲げられるので、ついついペースが上がってしまう。しかし自分のスキルをすべて出す前に、一瞬躊躇させるモーションを感じさせる。これは車両側のパフォーマンスの上限ではなく、あくまでセーフティライン内で気持ちよく走らせることを、スピードツイン1200の方が訴えかけてくるというものと解釈している。なお現行のスラクストンRSは、その上の次元を見せてみろとライダーをあおってくる。

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スポーティなライディングをする際のポイントとなっているのはスリムな車体で、下半身でしっかりと挟み込むことで、自在にコントロールすることができる。一方でハンドル位置が高いので、やや伏せ気味のライディングポジションを意識すると、より一層操る感覚は研ぎ澄まされる。

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車両が手元にある時間、街乗り、タンデムなど、様々なテストを行った。低回転域のトルクを少し使うだけで、スルスルと走れるのでタンデムライドも楽、つまりデートマシンとしても良い。ストリートを駆け抜けるスポーティな走りも得意。ポジションもゆとりがあり荷物も積みやすいのでロングツーリングもこなせてしまう。つまりスピードツイン1200は、オールマイティなキャラクターなのである。

スピードツイン1200 詳細写真

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1200cc水冷SOHC並列2気筒エンジンを搭載。ボアストロークを97.6×80mmし、270度クランクのツイン特有の鼓動感を得られる。112Nmという多大なトルクを4250回転で発生させる。
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フロントタイヤは120/70ZR17サイズのメッツラー・レーステックRRを採用。フロントからの旋回性が強いマシンキャラクターに相性が良い。2021年モデルからマルゾッキ製倒立フォーク、ブレンボ製4ピストンラジアルマウントキャリパーとなる。
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丸型ケースにマルチリフレクタータイプのヘッドライトというオーソドックスな構成だが、ケースをブラックアウトすることやLEDデイタイムランニングライトをインサートしたことで、引き締まった印象を持つ。コンパクトなLEDウインカーもスポーティ。
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アップタイプの左右二本出しエキゾーストシステムもスピードツイン1200の特徴。モダンクラシックラインのバーチカルツインエンジンは総じてサウンドにこだわりを感じさせるが、スピードツイン1200の音もとても良い。
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シートの下部に沿ってセットされたリアフェンダーは、短くチョップされたデザインとされ、テールセクションの軽快なイメージを助長している。テールランプやウインカーもコンパクトなものが採用されスポーティさに磨きをかける。
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シート高は809mmと数値的には高く見えるが、車体がスリムなので足つき性は悪くない。パッセンジャー側までフラットな座面とされているため、前後の自由度が高い。後ろ気味に座り、上体を伏せればコントロール性は向上する。
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ブラックにペイントされたバーハンドルをやや高い位置にセットする。スイッチ類は最小限の装備で使いやすい。バーエンドミラーは後方視界は良好だが、通常のミラーに比べ車幅が広くなるので注意。
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燃料タンク容量は14リットル。現行のトライアンフラインアップでトレンドカラーとなっているオレンジ、そしてレッドは175万1500円、ブラックは172万5000円。
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ステップ位置は後方高めにセットされており、コーナーリング時の入力がしやすい。ヒールプレートもコンパクトながら、しっかりとその役を果たしてくれる。
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アルミ製両持ちスイングアームに、160/60ZR17タイヤをセット。キャストホイールは前後とも肉抜きされており、軽快感のある足まわりを演出している。ツインショックはプリロード調整機構付きだ。
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2連メーターはメッキベゼルと、ヘアライン仕上げのベースプレートを組み合わせ高級感がある。ただ個人的にはもう少し角度を立たせてセットしてくれると、より見やすい印象。
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シート下の限られたスペースには、バッテリーをはじめとした電装系パーツが詰め込まれている。テスト車両は後付けのETC本体が収められていたが、それもギリギリ。USB電源ソケットがあるのは助かる。

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