VIRGIN TRIUMPH | 【トライアンフ新型スピードツイン900 海外試乗記】伝統的な乗り味を残しつつスポーティさも一段とアップ 試乗インプレッション

【トライアンフ新型スピードツイン900 海外試乗記】伝統的な乗り味を残しつつスポーティさも一段とアップ

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TRIUMPH SPEED TWIN 900(2025)
トライアンフから2025年型「スピードツイン900」がデビュー。大幅アップデートされた最新モデルの魅力を国際メディア試乗会が開催されたスペインからケニー佐川がレポートする。

スピードツイン900 特徴

足回りを強化しデザインも洗練された

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旧き良き時代のトライアンフを彷彿させるモダンクラシックラインにおいて、最もベーシックなモデルが「スピードツイン900」である。初期型は2016年に「ストリートツイン」の名で登場し、水冷エンジンを搭載した新生ボンネビルシリーズの中でもシンプルで扱いやすいことから、女性やエントリー層にも人気のモデルとして親しまれてきた。その後何度かのマイナーチェンジを経て2023年には「スピードツイン900」へと名称が改められたのは記憶に新しいところだ。そして今回、名実ともに大幅なアップデートされた2025年モデルとして新たなスタートを切った。

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エンジンは従来どおりの水冷並列2気筒SOHC排気量899ccで最高出力65ps、最大トルク80Nmのスペックにも変更はない。大きく進化したのは足回りだ。新型ではサスペンションが前後マルゾッキ製となり、フロントには倒立フォーク、リアにはピギーバック式ツインショックを新たに採用。ブレーキにはトライアンフ銘柄の4ピストンラジアルキャリパーとφ320mmの大型ディスクが装備されブレーキ性能も強化された。また「ロード」と「レイン」の2つのライディングモードには、新たにリーンセンサー付きコーナリングABSとトラクションコントロールが標準装備され安全性も高められている。

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フレームも新設計となり、リアフレーム部をスリム化しテール部分をややアップさせた形状に。フロント18インチホイールの安定感を活かしつつ、キャスター角を立ててトレール量も増加。これにより、俊敏かつ安心感のあるハンドリングを実現した。さらにスイングアームの材質をスチールからアルミ鋳造に変更し、15mm短くすることで剛性と旋回性も向上させている。

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スタイルも一新され、燃料タンクのスリム化やスロットルボディとサイドパネルが一体化したデザインへと洗練。シートはクラシカルなベンチシート型に、エンジンカバーやサイレンサーもよりコンパクトに仕上げられている。メーターもTFTディスプレイ内蔵となり、ヘッドライトも薄型コンパクトなフルLEDタイプを新たに搭載。前後フェンダーもショート化されるなど、スポーティで躍動感のある現代的なデザインに仕上げられている。

スピードツイン900 試乗インプレッション

昔ながらの乗り味に現代的な走りをプラス

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まず目に飛び込んでくるのがカラーリング。白地にオレンジとスカイブルーの配色が新鮮で、クラシカルな雰囲気の中にもスポーティで軽快感あふれる印象を与えている。車体サイズは前回試乗した新型スピードツイン1200と比べるとひと回りコンパクトな感じ。シート高は780mmと従来よりも15mm高めだが、シート周りがスリム化されて足着きの良さも変わらない。ハンドル位置も以前より高めに設定され、ヒザの曲がりも緩い自然なライディングポジションである。

270度クランクによる不等間隔パルスが特徴のバーチカルツインは、歯切れのよいサウンドと骨太なトルクで路面をしっかりと蹴り出す力強さがある。ちょっと懐かしい感じのエンジンフィールで、新型スピードツイン1200にも負けないエモーショナルな鼓動感を持っている。

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フロント18インチにツインショック、鉄フレームというクラシカルな車体構成がもたらす乗り味も、良い意味で昔ながらのバイク感覚が残っている。乗り方もフロントを自由に遊ばせつつシートのやや後ろに乗って体重移動でバイクを操る、リアステア的なスタイルがしっくりくる。コーナーでも腰はずらさずシートのイン側に体重をかけるだけで素直にすっきり曲がってくれるのだ。

しかしながら、足回りや車体ディメンションもアップグレードされ、従来モデルと比べると現代的な乗り味に進化しているのも確か。本社開発スタッフによると「リアサスのストローク量を若干減らしつつ、スイングアーム長も短縮することで、スロットルに対する車体の応答性を向上させている」とのこと。従来のねっちりとしたフロントの手応えや大らかなハンドリングも魅力だが、新型はより軽快でスポーティな乗り味になった。乗り手によってアグレッシブな走りにも応えてくれるキャパシティが広がった感じだ。

普段使いから楽しめる本格的な英国車

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標準装備のミシュラン・ロードクラシックタイヤも好印象だった。しっかりとした剛性感がありコーナリングでの安心感も高い。アルミ製スイングアームや前後マルゾッキ製のサスペンションに依るところも大きいと思うが、荷重をかけたときの安定性やグリップ感も抜群で、従来モデルと比べてもコーナリング性能は大きく進化したと感じられた。

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その上で元々ストリートツインと名乗っていた頃の扱いやすさも継承されている。ワインディングでいきなり濡れた路面が現れたときでも、レインモードに切り替えれば瞬時に出力特性も穏やかになるし、新型ではABSやトラコンもリーンアングル対応型に進化しているためバンク中でも心に余裕がある。特にツーリング中に出くわす予測できない路面状況に対しては大きな信頼を寄せることができた。

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また、5速ミッションのため高速道路は辛いかもと考えていたが、ハイトルク型のエンジンとワイドなギアリングのおかげで、ギンギンに回さなくても120km/h巡行を問題なくこなせた。さすがに風圧は強く感じるもののネオクラシックモデルとしては十分なレベルと言えるだろう。

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繰り返しになるが、従来モデルもけっして悪くはない。落ち着いた雰囲気や穏やかな乗り心地を好むなら従来型も選択肢に入るだろう。一方で現代的な走行性能とスタイリッシュなデザインを求めるなら新型がおすすめだ。いずれにせよ、スピードツイン900は軽快で扱いやすく普段使いから楽しめる本格的な英国車だ。日本で乗るなら排気量、車格的にもジャストな一台と思う。

スピードツイン900 詳細写真

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従来型スピードツイン900の水冷並列2気筒SOHC4バルブ排気量899ccエンジンをそのまま継承。トルク重視の出力特性と270度クランクによる鼓動感が魅力だ。最高出力65ps/7500rpm、最大トルク80Nm/3800rpm。
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フロントサスペンションには新たにφ43mmのマルゾッキ製倒立フォーク(ホイールトラベル量120mm)を採用。従来型はクラシカルなフォークブーツ付きの正立フォークだった。
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リアサスペンションもマルゾッキ製のプリロード調整&リザーバータンク付きツインショック(ホイールトラベル量116mm)にアップグレードされた。従来型はリザーバータンク無し。
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フロントブレーキは新たにトライアンフ銘柄の4ピストンラジアルキャリパー+φ320mmシングルディスクを装備。リアはニッシン製2ピストンキャリパー+φ255mmディスクを組み合わせる。ウェット性能に優れるミシュラン・ロードクラシックタイヤを標準装備。
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ヘッドライトはより小径で薄型のケースに収められたDRL(デイタイムランニングライト)付きのフルLEDタイプへとデザインを一新。灯火類はフルLEDタイプとなった。
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フューエルタンクはサイド面が絞られた彫りの深いデザインとなり、タンク前方のえぐりを設けて十分なハンドル切れ角も確保。太陽(オレンジ)と青空(水色)をイメージしたというメインカラーが新鮮だ。
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特徴的なベンチシートはシート高780mm(従来は765mm)と若干高くなったが、フロントが絞られた新デザインへと見直し足着き性を向上。従来よりも薄型に見えるが部分的に肉厚を最適化して快適性とホールド感を高めている。
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エンジンケースは従来よりもスリムでエッジの効いたデザインへと見直され、サイドパネルもアルミ仕上げのスロットルボディカバーと一体感のあるデザインへと洗練。デザインの方向性は新型スピードツイン1200と共通イメージになった。
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スイッチボックスも素早くメーター画面をスクロールできる十字キータイプへとリファインされている。ホーンボタン横がライディングモード切り替えスイッチ。オプションでグリップヒーターを装備。
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メーターハウジング左横にITガジェット充電に便利なUSB-Cソケットを装備。
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メガホンタイプのアップサイレンサーはよりコンパクトな形状に。ストレート構造に見える左右2本出しマフラーは実はエンジン下にあるサブチャンバーで一度集合してから2本に分かれる2-1-2構造。音質と燃費も向上している。
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従来に比べてハンドルバーを15mm高く3.5mm前方に移動、ステップ位置も6.5mm低く設定することでライポジを快適化した。
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従来のアナログメーターから新たにTFTディスプレイ内蔵のLCDメーターを採用。スマホと接続してターンバイターン式のナビにも対応。ライディングモードは「ロード」と「レイン」の2種類。

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