VIRGIN TRIUMPH | 【トライアンフ 新型タイガースポーツ800 試乗記】気軽に付き合えるだけでなく上質さもある 試乗インプレッション

【トライアンフ 新型タイガースポーツ800 試乗記】気軽に付き合えるだけでなく上質さもある

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TRIUMPH TIGER SPORT 800(2025)
英国を代表するプレミアムモーターサイクルブランドであるトライアンフ。そのアドベンチャーセグメントであるタイガーシリーズにニューカマーとなるタイガースポーツ800が加わった!

660でタイガースポーツの歴史は復活
アップデートに合わせて双子の兄貴分が登場

トライアンフのアドベンチャーセグメントであるタイガーシリーズはとても長い歴史を持っており、現在では660から1200まで幅広い排気量をラインナップしている。そしてその中でもオフロードの走破性を引き上げたモデルとオンロード志向の強いモデルに大きく分けることができる。

この度ブランニューモデルとして登場したタイガースポーツ800は、既存モデルでありタイガースポーツ800の登場に合わせてマイナーチェンジが行われたタイガースポーツ660とシャシーを共通としている、いわば双子の兄貴分的存在である。

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2022年(発表は2021年)初代タイガースポーツ660は、久しぶりに”タイガースポーツ”という冠が用いられたモデルであり、しかもタイガーシリーズのボトムラインを担うモデルだった。キャラクター的にはオンロードよりのセッティングでビギナーでも扱いやすくされていたことから、大型免許を取得したばかりのライダーやリターン層などに多大な支持を受けた。

その上位モデルとして登場したタイガースポーツ800はどのような仕上がりとなっているのだろうか。その部分を注視しつつ試乗インプレッションをお伝えしていく。

トライアンフ タイガースポーツ800 特徴

タイガースポーツ660との
大きな違いは心臓部にあり!

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タイガースポーツ800とタイガースポーツ660はフレームやスタイリングの方向性など共通なので、両車の違いというものは”知る人”しか分かりにくい。そのような中、外観上で見分けるポイントをいくつか挙げておこう。

まずはフロントマスクから、タイガーシリーズのアイデンティティである二眼ヘッドライトはどちらも同じなのだが、タイガー800には中央部分にデイタイムランニングライトが備わっており、フロントカウルの両サイドに追加スクリーンが装着されている。それとサイドに装着されているシュラウドの形状が異なるのだが(タイガー800の方がやや大柄のシュラウド)、あとはフロントのブレーキシステムくらいか。全体的にはその程度の違いしか見た目からは判断することはできない。

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それよりも注目したいのは搭載されているエンジンの出自の違いである。タイガースポーツ660はトライデント660系のエンジンを使用しているのに対して、タイガースポーツ800ではMoto2のパワーユニットとしても採用されているストリートトリプル系が採用されているのだ。

タイガースポーツ、トライデント、デイトナに使われている660エンジンも扱いやすく素晴らしいものではあるが、ストリートトリプル系エンジンの高回転域まで突き抜けるような爽快感はトライアンフが長年手掛けてきたトリプルエンジンの真骨頂とも言えるべきもの。タイガースポーツ800にはそんな特別な心臓部が与えられているのだ。

トライアンフ タイガースポーツ800 試乗インプレッション

弟を凌駕している
エンジンフィール、足まわり、操作感

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実は今回のインプレッション取材はタイガースポーツ800とタイガースポーツ660を同時に触れることができるメディア向け試乗会で行った。午前午後で分けられた試乗枠で私は午前中にタイガースポーツ660を乗り、その後にタイガースポーツ800に乗ることになった。

先述したようにタイガースポーツ660とタイガースポーツ800の外観上の差はほとんどない。タンクサイドやシートに施された各排気量の数字を見なければ、一般的な人にはその区別はできないほどだ。車両に跨ってみてもそれは同様であり、シート高も共通、装備重量の差が6kgあるが、取り回しを行った印象もほぼ変わらない。

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タイガースポーツ660も今回アップデートされているのだが、スタイリングは変わっていないので、こう言っては何なのだが、ブランニューモデルでありながらもタイガースポーツ800は既視感がある。

ちなみに先に試乗したタイガースポーツ660では確かに従来モデルのネガティブポイントの改善や、ここがこうなっていれば良いのにと思っていた装備の追加などがあり、それはそれで感触は良かった。そのような中、タイガースポーツ800では走り出したとたんに、結構な違いがあることが伝わってきた。

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今回の試乗では本格的なワインディングロードまでは持ち込むことができなかったが、東京都市部周辺から高速道路を使用して横浜界隈まで走らせてきたのだが、まず走り出して感じたのは、まずエンジンのフィーリングがタイガースポーツ660と違うということだ。

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排気量が違うのだから当たり前ではないかと思うかもしれないが、スロットルワークに対しての反応がタイガースポーツ800の方がリニアなのだ。ロード、レイン、スポーツと3種類のライディングモードがプリセットされており、特にロードで走った際の右手の操作にあわせてエンジンのツキがナチュラルでありストップ&ゴーを繰り返すような市街地を走らせていても気持ちが良い。

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高速道路にステージを移しライディングモードをスポーツにスイッチする。するとはちきれんばかりのパフォーマンスを得ることができる。ベースとなっているのはミドルクラス屈指のロードスポーツモデルであるストリートトリプル765RSのエンジンなのだから間違いない。ロングストローク化されて最高出力116馬力、最大トルク84Nmを示すスペックは伊達ではなく、大海を突き進むシャチのようにパワフルな走りを得られる。

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さらに伝わってきたのがフロントフォークの仕様がタイガースポーツ660と違うことで、バネレートなどまでは分からないのだが、トップのスクリューで減衰力調整できるショーワ製倒立フォークは、明らかに路面追従性がタイガースポーツ660よりも良いのだ。小さな段差での突き上げだけでなく、高速道路での大きなコーナーでの安心感が非常に高く、ちょっと意地悪な扱い方をしても前後タイヤがしっかりと粘ってくれる。フロントブレーキもタイガースポーツ660と異なるものが採用せており、タッチ、効き共に良好。これらのことによりタイガースポーツ800では、より一層スポーティな走りを得られるのだ。

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私自身はタイガースポーツ660でも十分だと思う。だが予算に余裕があり、さらに上質な走りを求めるならばタイガースポーツ800を選ぶことを勧めるだろう。

トライアンフ タイガースポーツ800 詳細写真

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ストリートトリプル765RSのエンジンをベースにストローク量を増やし798ccまで排気量を引き上げたエンジンを搭載。最高出力115馬力を10750回転で、最大トルク84Nmを8500回転で発生させる。
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ホイール及びタイヤのサイズ銘柄はタイガースポーツ660と共通。だがブレーキシステムが異なり、フローティングディスクと4ピストンラジアルマウントキャリパーを組み合わせている。タッチ、制動力はかなり良い印象。
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タイヤサイズはフロント120/70R17、リア180/55R17となっており、現代的なロードスポーツの標準的なサイズである。このことからタイガースポーツ800はアドベンチャーセグメントでありながらロードよりのキャラクターとされていることが分かる。
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左側のスイッチボックスでモード切り替えや各種設定を行うことができる。操作性が良く、直感的に扱うことができた。オートクルーズ機能もワンボタンでセットすることができシンプルで使いやすかった。
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メーターディスプレイはシフトインジケーターを中央に置き、その上部に回転計、速度計、残燃料計をレイアウト。シンプルで視認性が良い。タイガースポーツ660と共通だが、660では回転計がチカチカと点滅することがあり、800ではそれがない。
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ショーワ製のφ41mm倒立フロントフォークを採用。フォークトップのスクリューで伸圧減衰力調整ができる(タイガースポーツ660では非装備)。トラベル量は150mmでタイガースポーツ660と同じだが、フロントフォークの感触は異なるものだった。
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フロントマスクはデザイン的にタイガースポーツ660と同一ではあるが、2灯ヘッドライトで挟む恰好でLEDデイタイムランニングライトが装備されていることや、サイドに追加スクリーンが備わっている。なおメインスクリーンは手動にて上下させることができる。
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ステップのセット位置は割と低めで、足元周りは割とリラックスしたライディングポジションとなる。それでいながらヒールプレートもしっかりとしたもので車体をホールドしやすい。アップ/ダウン両方向聞くクイックシフターのタッチも良い。
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ライダー側とパッセンジャー部が一体となったシート。シート高は835mmとそこそこ高い数値ではあるが、タイガーシリーズの中では足つきは良い方だ。足つきが気になる方には25mm低いデュアル・ロー・シートがオプションで用意されている。
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リアサスペンションにはフルアジャスタブルタイプのショーワ製モノショックが採用されている。プリロードコントロールノブが扱いやすい位置に備わっているので、率先して活用することをお勧めする。
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グラブバーが大きくパッセンジャーも快適な上、積載物を固定する際にも便利だろう。シートフレームから後ろは基本的にタイガースポーツ660と共通ということなので、ケース類を流用することもできそうだ(800/660それぞれ違う形状のケースが用意されている)。
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ユーティリティスペースというほどではないが、シート下にはちょっとした余裕があり、ETC車載器とちょっとした工具程度は収めることができる。

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