番外編 3-1 『サイドウェイ・トロフィー』でお立ち台の真ん中に
- 掲載日/2015年12月18日
- 写真・文/立花 啓毅(商品開発コンサルタント)
2015年12月6日、好天に恵まれた袖ヶ浦フォレスト・レースウエー(千葉県)で、恒例の『サイドウェイ・トロフィー』が行われた。英国のグッドウッドを目標に頑張っているレースイベントで、これがなかなか楽しい。なにしろドレスコードまであり、速さを競うだけでなく、雰囲気も大切にしているのだ。
クラシックバイクとクラシックカーのレースが同日に行なわれ、春と秋の年2回開催される。クルマの方はカニ目のスプライトやエランは勿論のこと、マーク2ジャガーやDタイプジャガーまでがコーナーをスライドさせながら全開で競い合う。
バイクの方はこれまた凄く、ノートン・マンクスがずらずらと並ぶ。これに対抗するのがマチレスのG50で、最強のシーリーG50も参戦。ベロセットも含め、日本にこんなにも名車があったのかと思うほどだ。これらの強豪に対してBSAのゴールドスターは、戦闘力不足のためか、わずか2台。そのうちの1台に息子が乗る。これがマンクス・トロフィー・クラスだ。
私が出走するのはビンテージ・トロフィー・クラスで、1969年までに製造されたグランプリモデルか、プロダクションレーシングモデルとされ、そこにトライトンでエントリーした。
春のレースでは、なんと親子でそれぞれのクラスに優勝し、シャンパンファイトでチーム全員が盛り上がった。その前年のレースでは優勝カップのみならず、イベントの趣旨に最も沿ったチームということから、チーム賞まで頂いたことがある。この流れからすると、今回のレースもお立ち台の真ん中に立たないと、皆さんの期待を裏切ってしまう。
そうは言っても、運転手がイマイチのためなかなかタイムが縮まない。そのぶんバイクに頑張ってもらうわけで、マシンのチューニングは『2-4 クラシックレースでトップを飾る』と『番外編2-1 概念を越えた『ヤマハ パフォーマンスダンパー』』それに『番外編2-2 ヤマハ パーフォーマンスダンパー 考案者・沢井誠二の開発者魂』に記した通り。おそらく国内最速だと思う。
レースは小春日和の好天とは言っても、路面温度がかなり低い。午前8時50分から始まる練習走行ではタイヤのグリップもかなり低い。そこで、事前にリアサスペンションのバネレートを下げてきたが、タイヤの空気圧も少し下げることにした。走り出すとそれらが功を奏し、サスペンションの感触も、組んだばかりのエンジンもなかなか好調だった。
続く予選では、前回のベストタイムを1秒以上更新し、2位に2秒もの差を付けてポールを掴んだ。この調子で行けば、決勝は楽に表彰台の真ん中であろうとタカをくくってスタートを切った。が、フライングでスタートした2番グリッドのマシンが先行してしまった。
なんとか彼を交わしたものの、コーナーごとに抜きつ抜かれつを繰り返し、遂にぶつかってしまったのだ。少しスロットルを戻せば回避出来たが、それは互いに出来ない。転倒には至らなかったが、激戦を制しての優勝だった。
続くマンクス・トロフィー・クラスに出場した息子は、スタートで出遅れたものの、1周目からトップを独走。チェッカーを受けた時は、なんと2位以下を半周以上も引き離した完全優勝だった。
春のサイドウェイに続き、今回も親子でダブル優勝だ。早速、チーム全員でシャンパンファイトを行ない、美酒を味わった。世の中にこんなに旨い酒はそうあるものではない。さらにオマケもついて、閉会式で主催者側の生沢徹ちゃんから「立花チームはこのイベントの趣旨を良く理解され、しかも大したお金を使わず楽しんでいる。皆さんもぜひ参考にして頂きたい」というお褒めを頂いた。
そう褒めて頂くのも当然で、ランチテーブルの素晴らしさは、あたかもロブションのケータリングサービスのようだ。ここは友人の西川夫妻の担当で、アラビアのロレンスのようなテントを張り、木製の折り畳み椅子といい、良い雰囲気を醸している。今回のテーマはクリスマスということで、ハッピーな演出も功を奏したものと思う。
このイベントは、ただレースをするのではなく、佳き時代の服装をまとい、ランチテーブルを広げて1日を楽しもうというものだ。今回から私は、なんとフェローシップ委員、いわゆる風紀委員を仰せつかり、生沢徹ちゃんとイベントを盛り上げる推進者になってしまった。
このまま行くと、次回は渋谷のハロウィンに負けないコスプレで勝負する羽目になりそうだ。そういった楽しいイベントを取材しようと、この日は取材陣も多く、カーグラTVのクルーをはじめ、多くのプレスの方々が来られた。
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