よりクラシカルに仕立てるお手軽カスタム
- 掲載日/2014年11月18日
- 文/鈴木 克直(トライアンフ東京みなと)
今回からは、お手軽にできるカスタムを紹介しましょう。クラシックレンジのモデルをよりクラシカルにするには、1950?60年代のトライアンフの写真集などを参考にすると良いでしょう。
まずはフロントナンバープレートです。日本では通称“風切り”と呼ばれていますね。英国ではリアの登録ナンバーと同じ数字、アルファベットをこのフロントナンバープレートにも貼ります。前後でナンバーの確認ができるわけですね。これだけでかなりクラシカルな雰囲気を出すことができます。ただし取り付けは、フェンダーに2カ所の穴を空けてしっかりとボルト留めしてください。外れると非常に危険です。
次にカラーリングペイントですが、トライアンフのクラシックレンジには、一定の塗り分けパターンがあります。1950年代後半から1970年代後半までに販売されていた車両のパターンを再現しているのです。自身でペイントする場合に参考となる史料としては、やはり洋書の写真集が良いでしょう。なかには塗り分けの寸法まで書かれているものもあります。もちろん、そこまでは必要ありません。写真を見ながらイメージを膨らませ、紙にスケッチしてみてください。
それではいよいよペイントの工程に入ります。トライアンフの塗装は、もともと非常に良質です。金属からよほどのサビやクラックがない限りは、もとのペイントを剥がす必要はないでしょう。完全に金属面を出してゼロから塗装するほうが完璧ですが、剥離後にサビを発生させたり、少しでも剥離剤が残ったりすると、塗装がうまく乗りません。ここでは古い塗装を剥がさず、その上から塗る方法を説明しましょう。
耐水ペーパーの切り方ですが、最初は2つに切り、次にそれを3つに切ります。さらにそれを2つに切ると、私が“あて木”によく使うMONOの消しゴムに巻きつけるサイズとして最適です。
塗装は8割方、下地の良い悪いで決まってしまいます。ここではガソリンタンクの塗装についてお話をします。まず中性洗剤でよく洗います。その後、ペーパーがけに入ります。古いペイントが2トーンの場合は、色の境目を220番くらいのペーパーでしっかりとサンディングします。下の色が少し出るくらいサンディングしてください。これをしないでペイントすると、必ず2トーンの境目の段差が出ます。それが終わったら、400番くらいのペーパーで全体をサンディング。“あて木”を忘れずに使ってサンディングしてくださいね。そしてよく水分を取り、さらに油分(手の脂も)などを除去するために、シリコンオフという溶剤で全体を拭きます。
この後は、サフェーサーを塗る工程に入ります。サフェーサーを含め、耐ガソリン性、耐候性ともに良好な2液性のウレタン樹脂塗料がおすすめです。エアゾールタイプのスプレーも売られていますので、これを使用しても良いでしょう。
ガソリンタンクの給油口は必ずマスキングしてください。紙を丸めて給油口より上に5?6cm出るように差し込む、というのがもっとも簡単な方法です。この方法であれば、口金の周りに段差がつきにくく、ボカシとしても使えます。サフェーサーは、全体にじゅうぶんに塗りましょう。何回かに分けてたっぷりと。そして垂れても垂れなくても、ここで一度小休止。2?3日は放っておきましょう。
次回からは、いよいよ色の塗装についてご説明します。
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