マスキングテープを剥がすときが“最高の楽しみ”
- 掲載日/2015年01月26日
- 文/鈴木 克直(トライアンフ東京みなと)
前回は、自分の好きな1色を塗るところまででした。今回からは、いよいよ“色の塗り分け”となります。まず全体を600番のペーパーでざっと水研ぎします。軽くで良いです。ほこりや小さなゴミを取り除くだけなので。ここから『マスキング』という作業に入りますが、塗り分けの順番も考えます。例えば、全体をアイボリーホワイトに塗り、センターに太めのストライプをどーんと入れ、その左右に3mmくらいの縁取りのゴールドを入れるとしましょう。縁取りは、3?4mmくらいがベストバランスです。
ガソリンタンクの上に、前から後ろに向かってセンターに1本、位置出しのマスキングテープを貼ります。そしてセンターに貼ったテープから左右に30mmずつなど、自分で決めた幅でテープを貼り、他の部分=塗ってはいけない部分には新聞紙をマスキングテープで貼っていきます。新聞紙は1枚ではなく、2枚重ねて使います。とにかく、きっちりとテーピングしてください。ガソリンタンクの裏側も新聞紙とマスキングテープでカバーします。「このくらいで良いかな?」と手を抜くと、スプレーによる霧状のペイントが必ず中に入ります。ガソリン給油口はマスキングするか、ハガキくらいの厚みの紙を筒状に丸めて、ペイントがタンク内に入らないように差し込んでおきましょう。話は前後しますが、マスキングテープもいろいろ市販されています。車両用としては『スリーエム』の黄色のもので、幅は15?18mmが使いやすいですよ。
今回のような塗り分けでは、先に縁取りのゴールドを塗ります。幅は余分に取って、20mmくらいが良いでしょう。ゴールドを塗った後は、必ずクリアでコーティングします。この後の工程で軽くサンドペーパーを使いますので、特にメタリック系のペイントではメタリック片がこすれて色ムラになります。これを防ぐために、クリアでコーティングしておくのです。
完全に乾いたら、3mm幅のマスキングテープを左右に1本ずつ貼ります。このときに使用するテープは『ニチバンのクリアラインテープ』というビニール系で厚みの薄いものです。このテープは自由にカーブが描けるもので、幅も2mm、3mmとあり、とても使いやすいです。少し引っ張り気味で貼ってください。ただし、薄くて伸びやすいので、注意が必要です。最初に貼った外のマスキングテープ側に、0.2mmくらいオーバーラップして重ねながら貼ります。そしてセンターの部分に、別の色をスプレーします。乾燥させたら、塗り分けは終わりです。
マスキングテープを剥がすときが“最高の楽しみの時間”。ゆっくりと剥がしていきましょう。今までの工程がきちっとできていれば、もう完璧です。多少、急いで剥がしても失敗はありません。テープの糊の残りがたまにあるので、シリコンオフで軽く拭き取っておきましょう。
最後に、マスキング時にできた段差を800番のペーパーで軽く水研ぎします。ここではまだ段差が残っていてもOKです。水分を完全になくし、シリコンオフでまた拭きます。今度は、ガソリンタンク全体にクリアを塗ります。特に、塗り分けした部分には多めに塗ってください。完全乾燥後、再び800番のペーパーで軽く水研ぎします。クリアを塗っては水研ぎ、塗っては水研ぎの工程は、最低でも4?5回。これをすることによって、段差のないつるつるの表面が生み出されます。時間のある人は、納得がいくまでくり返してください。まるで印刷をしたような表面になります。
今回は、ここまでです。次回は、誰もが1回や2回は失敗したことがある、水貼りデカールの貼り付け方法と、完全クリアコーティングの方法をお教えしましょう。
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