カフェレーサーカスタム製作のポイント
- 掲載日/2015年07月07日
- 文/鈴木 克直(トライアンフ東京みなと)
近年、英国の名高い当時のメーカーであったマチレス、アリエル、ブラフシューペリアなどの名前を使った新型バイクが次々に発表されています。しかし、少々言い方が悪いかもしれませんが、どれをとってもゲテモノで、長くは続かないプロジェクトかなと思います。どうせ発表するなら、もう少し現実味のある作品を作ってもらいたいものです。その中でもカスタム、特にカフェレーサーの製作に関しては、センスの『ある』『なし』の違いがはっきり出るところでしょう。
今回は、ノーマルのボンネビルを1960年代のカフェレーサータイプにカスタムするという前提で、使用する各パーツの説明と吟味についてのお話です。まずハンドルは、クリップオンハンドル=通称セパハン。スチール製でクロームメッキか、黒塗りのものが好ましいです。その昔に流行したマグラのセパハンやアルミ製の可変タイプは形が悪く、どれもNG。やはりシンプルなスチールのものが良いです。
ライトステーも、スチールにクロームメッキのものが市販されていますので、これらを使いましょう。あと、上から見て『ハの字』になるハンドルの取り付け角度ですが、これが広がりすぎるのはNGです。少々ハンドルの切れ角を小さくすると、ちょうど良い『ハの字』になります。ノーマルのスラクストンくらいのハンドル切れ角がベスト。ケーブルやブレーキホースは、取り回しの変更だけでOKです。
ボンネビルのホイールは鉄リムなので、これをアルミリムにすると見た目にも良く、バネ下重量の軽量化にもなります。フロントは19インチ、リアが17インチと、そのままのサイズでも良いのですが、リアを18インチにするとよりバランスが良くなります。ただし、この場合は、1インチ分だけ長いスポークが必要になってきます。特注でスポークを製作してくれる会社があるので、インナー、アウター、そして左、右で合計4本のスポークをはずし、これを見本として“0.5インチ”長くしたものを製作してもらいます。
次にステップまわり。英国では『リアセット』と言って、日本で言うところのバックステップです。ステップ部が旧タイプなゴム製、モダンなアルミビレットでローレット加工(滑り止めのギザギザ)のものなど、今では何種類も市販されていますので、好みのものを探しましょう。
そして、定番のロングタンク。アルミ製、FRP製などがあります。現代のFRPは、素材であるレジン樹脂の性能がものすごく良くなっており、なかなか劣化しにくく、耐久性があります。アルミタンクも良いのですが、やや価格が高くなるのが欠点です。ワンオフ製作となるので、それはしかたがないでしょうね。
シングルシートを忘れてはいけません。黒のレザー張りと赤のパイピングは、定番の形ですね。シートの取り付け方法は、ノーマルの位置にビス止めでも良いのですが、もう一歩だけ進めて、長いシートレールを10?15cmカット。そこに丸パイプのループを溶接します。これはプロにまかせる仕事になります。ループの材料は、太さ1インチのパイプで、今はカスタムショップの通販でも買えます。そしてシートの固定ステーもフラットバーを加工して溶接します。
もうこれだけでかなり格好の良いバイクになります。キュッとしたフォルムになり、間延びした感はなくなります。ぜひ参考にしてみてくださいね。
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