DAYTONAレースダイアリー vol.08
- 掲載日/2015年05月15日
- 文/江本 陸(ライター) 協力/Deus Ex Machina
プロダクションレーサーへの、カスタマイズ。
バイク文化の先進国、欧米では当たり前となっている“ライフスタイルとしてのバイク”という概念が、ようやく技術的なバイク先進国日本にも伝播してきたようだ。バイク一辺倒だった業界も、サーフィン等のいわゆる“横乗り文化”とのコラボレーションに活路を見いだそうと躍起になっている。その最高峰かつお手本が、バイクカスタムとサーフィンのファッションを巧みに融合させた『DEUS』だ。
ブランドコンセプトは、バイクとサーフィンをこよなく愛する、創設者のライフスタイルがその原点となっている。サーフ&バイクのライフスタイルを長年続けている僕としても「やっと時代が来たな」と嬉しく思っている。こうした流れに拍車をかけるように、ゴールデンウィークまっただ中の5月3日、鎌倉七里ヶ浜でDEUSプレゼンツの『THE DEUS BIKE BUILD OFF』という、コンテスト形式のカスタムイベントが開催された。
審査には俳優の伊勢谷友介さんを始め、カスタムや各界の著名人による5名の審査員によって行われた。僕も“海に似合うバイクを選ぶ”という視点からローカル賞を選出したのだが、どれも作者の魂が込められていて悩まされた。
バイクのカスタマイズは、このイベントが指し示すようにライフスタイルを表現するといったノンジャンルなテイストのものから、トラディショナルなカスタマイズ、速く走るためのカスタマイズなど、相当に幅が広い。レーシングマシンに例えると、究極のワンオフメイドのファクトリーマシンから、末端は僕のDAYTONAのようなレーサーと、これまた使用目的によって様々だ。
さて、マイDAYTONAの近況は、セーブマネーを念頭に“ビジュアル的には極力原形を保ちつつレーサーとしてより本格的な姿へ”というコンセプトにぶれる事なく着々と進化を続けている。
まず、レーサーにキーは不要との決断から、キーレス化を目的にライトなどの保安部品へ繋がる不要な配線の処理にともなうスターターシステムの改良(本来はレーシングハーネスといきたいところだったが)。これら一連のモデファイのメインイベントとして、トップブリッジに設けられていたキーホルダーを切除した。見た目に重点を置いたカスタマイズだ。
そして「すこしでも速く走りたい」という心の欲求へのビタミンとして、点火効率の向上を目的にプラズマブースターをインストール。プラズマブースターに関しては、前回のレース時にエンジンのパフォーマンスがよりスムースさが増したのを実感。
さらに、今回新たに投入したのがRapid bikeのクイックシフターだ。これに関しては現在インストール中なので、完成が待ち遠しい。
タイトルはとうに忘れてしまったが洋画で、頑固だが腕のいいモーターサイクルチューナーのショップの看板に“Speed is depends on money”(スピードは金次第)と書かれていた。どういう訳かそのシーンだけを鮮明に覚えているのだが、この標語が物語るように、速く走りたいという欲望には限りがない。しかし全ては腕次第といったところだろうか。
僕にとって速く走りたいと思う事は、夢と現実の狭間を漂う、一種の夢想空間なのかも知れない。
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