良い意味で衝撃的だったロシアのバイク乗り
- 掲載日/2015年06月26日
- 写真・文/山田 健
今回は、旅をしていて良い意味で衝撃的だった、ロシアのバイク乗りについて紹介したいと思う。
旅に出て最初の国であるロシア。日本では政治的なニュースが多く、怖いイメージが多いと思う。だけど実際に行ってみると、まったく違っていた。やはり、その場所で感じることが重要だと思う。旅に出てみて考え方が変わった。物事を判断するときの物差しが増えたことは良かったと思う。
そこで僕なりに感じ取った“ロシアン・トラディッショナル”について、思うところ、感じたことをまとめてみた。是非日本でも広げてほしい。
①ロシア流のおもてなし
ロシアの「おもてなし」はすばらしい。各街にモーターサイクルクラブ(以下MCC)があって、バイク好きな人たちが集まるガレージがある。MCCには、それぞれロゴやステッカー、革ジャンなどがあり、クラブの一体感がある。バイク乗りである一見さんにも、とても親切にしてくれる。
ガレージでは、ちょっとした修理だったり、泊まれる施設も併設されている。そんなバイク好きな人たちとお酒(ウォッカ)を飲む。こんなに楽しいことはない。もちろんそのまま泊まり。中には抗争のようなものもあるらしいけれど、基本的に人は優しく、とくに通りすがりのライダーには優しくしてくれる。
MCC以外にも、どこにも属さない大きい意味での組織や“バイクポスト”と言うものがある。バイクポストは各地にあるらしく、バイク乗りであれば、ただで泊まったり、メンテナンスすることも可能。こういうのは日本にも欲しい。さらに、僕はゲストと言うことでコーヒーやパン、プレゼントまで、いろいろなものを買ってくれた。これぞロシアン・トラディッショナルだ。
②バイク乗りがひとつのファミリーのよう
そこには車種やメーカーを超えた仲間意識があった。バイクが好き、それだけでいい。あえて垣根なんか作らない。日本では「何に乗っている」とかカテゴライズしてしまうケースが多いと思う。カテゴライズしないほうがいろんな人と話もできるし、考え方も学ぶことができる。
ロシアのバイク乗りは、すれ違う際に必ずと言っていいほど挨拶してくれる。中には仕事中にも関わらず、車を停めて話しかけてくる。日本だとすれ違い様に挨拶してくれるのは、北海道くらいだろうか。日本の都心でそんなことをしたら、スルーされて恥ずかしいかもしれない。
エカテリンブルグのトライアンフディーラーで修理した後、チェリャビンスクという街へ行くとき、その街のMCCを紹介してもらった。街の入り口で待っていてくれて先導してもらった。MCCの人が集まるカフェへ行き、コーヒーを飲んだり、街の案内までしてくれた。他の街でも、MCCの人が次の人を紹介してくれたり、ひとつの出会いが次の出会いへ、繋がりが広がっていく。ロシアンバイカーの繋がりはすごい。まさにファミリーだ。
③困った人を助けてくれる
僕の場合、2回ほどロシアでクラッシュしたが(後にご紹介します…)、そんなときはいつもロシア人が助けてくれた。壊れてもちょっとしたものは自分達で直してしまう。たとえば同じ形のブレーキパッドが無かったら、カットして合わせてくれたり、折れたミラーを溶接してくれたり。
広い国だからこその助け合い精神と、自分達でなんとか修理してしまう、そんな文化がある。日本に来たらトップクラスの整備技術を持っているかもしれない。
④ロシアのバイク乗りは、日本のバイクメーカーが好き。
僕は「日本人のバイク乗り」と言うだけで、最初からひとつの垣根が取り除かれる。「日本から来たのか? 俺のバイクも日本製だぞ」とよく言われる。日本人でバイク乗りであれば、最初のコミュニケーション、掴みはO.K.なのだ。海外に出て初めて外から日本を見ることができたけれど、日本人であること、日本に4大バイクメーカーがあるということは、バイク乗りとして誇りに思うし、誇りを持って欲しい。もちろん、ロシアでトライアンフを宣伝してきたことは言うまでも無い。
バイクで旅をすることで「親切とは何か」を考えさせられた。人に親切にされたから、親切にする方法が分かった。旅で親切にしてもらったことは、今後の生き方に実践したい。
最後に、スコットランド出身の俳優ユアン・マクレガーも言っている。
「すべてを自分で決められるのがいい。バイクに乗ると、本当の自分に戻れる」と。
次回も、タイガー800XCで大陸横断しながら感じたことについてご紹介します。どうぞお楽しみに。
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