VIRGIN TRIUMPH | トライアンフ アメリカ 試乗インプレッション

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TRIUMPH AMERICA

トライアンフ アメリカ

伝統のパラレルツインを搭載した
トライアンフが作る“アメリカン”

「アメリカ(AMERICA)」は昨年11月に日本導入されたモデルである。以前から海外では発売されていたが、その名が示すとおり、北米市場を強く意識したモデルとして、いわゆる“アメリカン”タイプのクルーザーの持つ、伝統的なスタイルを色濃く投影しているのが特徴だ。エンジンレイアウトはトライアンフ伝統のパラレルツインだが、フラッグシップのサンダーバード系とは異なり、ボンネビル系の空冷DOHC865ccを搭載する軽快なミドルクルーザーの位置づけ。本国ではハーレーのスポーツスターの好敵手となる存在である。そのあたりの比較も織り交ぜつつ、「アメリカ」の魅力を探ってみたい。

トライアンフ アメリカ 特徴

トライアンフ アメリカ 写真
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熟成されたボンネ系がベースの
正統派ミドルクルーザー

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アメリカは「ロー&レイドバック」の伝統的クラシカルアメリカンのスタイリングを持った、ミドルクルーザーである。ちなみにレイドバックとは「ゆったりとした」という意味。アメリカの広大な土地を悠々とクルーズする、そんな風景がぴったりくるモデルということだ。

エンジンはボンネビル系の空冷並列2気筒DOHC4バルブ865ccを採用。ただし、クランク角を270度とすることで、不等間隔爆発による鼓動感をより強調している。スペック的にも61Ps/6800rpm, 72Nm/3300rpmということで、ボンネビルシリーズに比べてより低中速トルク重視の出力特性に変更されているのが特徴だ。

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フレームは鋼管クレードルタイプで、これを支えるサスペンションは前後ともカヤバ製を採用。フロントにφ41mm正立フォーク、リヤにプリロード調整機構付きツインショックというオーソドックスな組み合わせだ。また、ブレーキはフロントにφ310mm、リヤにφ285mmのシングルディスクをそれぞれ装備し、キャリパーは前後ともニッシン製2ピストンタイプを装備し確実な制動力を得ている。ホイールについても、あえてフロント16インチ、リヤ15インチの 小径タイプに幅広のハイウォールタイヤを採用。フロントディープタイプフェンダーやメッキパーツを多用するなど、兄弟車の「スピードマスター」に比べてよりトラディショナルなスタイルに仕上げられていることもポイントだ。

690mmの低いシート高、このクラスとしては軽量な250kgの車重なども含めて、ビギナーや女性などにも扱いやすい、ジャストサイズの本格派クルーザーとなっている。

トライアンフ アメリカ 試乗インプレッション

本格的アメリカンの魅力を
手軽に味わえる

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ロー&ロングのボディにディープフェンダー、プルバックハンドルに低いシート、足を前に投げ出したフォワードコントロールのライポジなど、まさに正統派アメリカンと言えるスタイルだ。特に横から見るといい。車体の前後でホイールサイズやサスペンションの傾きなどが絶妙にバランスしていて均整がとれている。そこに直立したエンジンと水平方向に伸びたマフラーが加わり、見事な幾何学的なデザインに見えてくるのだ。

クロームメッキを多用したエクステリアなどにも、普及モデルにありがちな安普請ではない本物感が漂う。大柄な車体にもミドルクラスとは思えない貫録がある。

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エンジンは865ccパラレルツインということで、試乗前はやや大人しめなイメージをもっていたが、どっこい乗ってみると、なかなか個性的。ボンネビルやスラクストンのスムーズさとは異なり、鼓動感にもより“粒の大きさ”を感じる。よく言われる270度クランクの味わいであり、兄貴分の「サンダーバード」と同様、意図的に爆発タイミングをずらすことで、ドコドコ感を演出しているのだ。高回転でのスムーズな回転が重視されるスポーツモデルのエンジンでは、等間隔爆発の360度クランクが採用されることが多いが、のんびり行くクルーザーでは、むしろこのオフビートなズレ感を味わうのが楽しいのだ。

ダウンタウンを悠然と流してもよし、高速道路では低速トルクを生かして回転数を上げずにドコドコも走れるし、その気になってアクセルを開ければクルマの流れを十分リードできる力量もある。

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ハンドリングはしっとりとした安定感がありつつも、軽量な車体を生かして市街地などでもキビキビ走れる軽さも持っている。フロントが130インチ(16インチ)のファットタイヤということで、車体をバンクさせると前輪がゴロッと転がっていく感じがあり、フロントタイヤの手応えを感じつつハンドルが切れていく感じが気持ちいい。一方、兄弟車の「スピードマスター」は100サイズ(19インチ)と細めの大径タイプをチョイスしているが、見た目だけでなく、両者のハンドリングの味付けの違いも興味深いところだ。

ブレーキ性能は必要十分なレベルで、トライアンフのクルーザーらしくフロント中心に制動力を発揮するタイプだが、一方でリヤブレーキの効きがちょっと唐突すぎるのは気になった。ミドルサイズとはいえ250kgの車重を持つだけに、今後はABS仕様が求められると思う。

巨体化、高級化するクルーザーセグメントの中で、誰でも気軽に乗れる小粋なモデルとして、「アメリカ」は貴重な存在だ。価格もリーズナブルであり、ネーミングのイメージとは逆に“ニッポン”の特に市街地で乗るには最適サイズのクルーザーではと思う。

トライアンフ アメリカ の詳細写真

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メッキが美しいレトロデザインのヘッドライトや砲弾型のシングルメーター、小ぶりのウインカー、カバードタイプのフロントフォークなど、こだわりのディテールが正統派の雰囲気を醸し出している。
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エンジンはボンネビル系の空冷並列2気筒DOHC4バルブ865ccを採用。クランク角はスクランブラ―と同じ270度としている。別体式に見えるトランスミッションは実は一体式の5速で、キャブレターに見える吸気系ももちろんFIだ。
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総メッキ仕上げが美しい、車体左右に一直線に伸びたマフラーがデザイン上のポイント。駆動方式はチェーンドライブで、耐久性の高い「Xリング」タイプが採用されている。
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端正な12本スポークタイプのホイールは鋳造アルミ合金タイプを採用。フロントブレーキはφ310mmシングルディスクにニッシン製2ピストンタイプのフローティングキャリパーを装備し十分な制動力を確保。130/90-16サイズの幅広ハイウォールタイヤの乗り味は独特だ。
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リヤブレーキはφ285mmシングルディスクにニッシン製2ピストンタイプのフローティングキャリパーを装備。170/80-15サイズのリヤタイヤを15インチの小径ホイールに履く。リヤショックはフロント同様カヤバ製で、オーソドックスなツインショック。スイングアームは一般的な角断面鋼管スチールタイプを採用する。
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ツートンに塗り分けられた燃料タンクの容量は19.5リットル、と十分なキャパシティを確保。メッキ加工が美しい上面のフューエルリッドカバーにはオイル警告燈、ニュートラルランプ、ハイビーム、ウインカーなどを表示。タンクサイドにはニーパッドが装備される。
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軽量な車体と相まってシート高690mmと低く設定されたことで、市街地やパーキングでの取り回しはとても楽になっている。ライダーシートは肉厚も十分でロングランも快適。パッセンジャー用もショートツーリングなら十分なレベルだ。
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フットレストと呼ぶにふさわしい余裕のサイズのステップボードに、シーソータイプのシフトペダルを備えるなど、ライポジも本格的。フットレスト底面にはバンクセンサーとしても重宝なスキッドプレートが装備されている。
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テールランプもメッキのリムに縁どられたクラシカルな雰囲気。ディープフェンダーも定番のデザインだ。
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前後輪にはメッツラーのクルーザー用タイヤ「ME 880 Marathon」 をOE装着。BS(メッツラー・ベルト・システム)が安定性と快適な乗り心地を提供する。
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精悍なブラックパネルにホワイトレターをあしらったシンプルなスピードメーター。液晶スペースには、オド&トリップメーター、時計などを表示。ケース左のボタンはモード切り替え用。
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視界を妨げるものが何も存在しないシンプルなコックピット。プルバックタイプのハンドルバーは幅も広すぎず、リラックスした自然なライポジを作れる。バックミラーはコンパクトだが視界は良好。

SPECIFICATIONS –TRIUMPH AMERICA

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価格(消費税込み) = 99万3,600円

※表示価格は2014年6月現在

トライアンフ伝統の空冷パラレルツインを搭載するミドルクルーザー。クラシカルなロー&レイドバックのスタイルと、軽量コンパクトな車体を生かした扱いやすさが魅力。

  • ■エンジン型式 = 空冷4スト並列2気筒DOHC4バルブ
  • ■総排気量 = 865cc
  • ■ボア×ストローク = 90×68mm
  • ■最高出力 = 61ps/6,800rpm
  • ■最大トルク = 72Nm/3,300rpm
  • ■トランスミッション = 5速
  • ■サイズ = 全長2,387×全幅920×全高1,175mm
  • ■車両重量 = 250kg
  • ■シート高 = 690mm
  • ■ホイールベース = 1,610mm
  • ■タンク容量 = 19.5リットル
  • ■Fタイヤサイズ = 130/90-16
  • ■Rタイヤサイズ = 170/80-15

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