トライアンフのニューモデル「ボンネビル ボバー ブラック」を最速でインプレッション
- 掲載日/2018年01月23日
- 写真・文/田中 宏亮
取材協力/トライアンフ モーターサイクルズ ジャパン
トライアンフ ボンネビル ボバー ブラック 試乗インプレッション
ベースモデルとは異なるキャラ
軽快にストリートを駆け抜ける
このBBBをお借りする際、ちょうどボンネビルボバーと横並びになっていたこともあって、2モデルを見比べる幸運に恵まれた。やはりBBBの方がロースタイルになっている印象だが、実際の数値を見比べるとシート高はともに690mmとある。フロントホイール径が小さくなったことは、足つきにあまり影響を与えていないようだ。
スペック表を見比べてみても、ホイールベースなどもボンネビルボバーと同じで、むしろBBBが若干軽くなっている(ボンネビルボバーの243kgに対して、BBBは237.5kg)。どちらかと言うと性能よりビジュアルで選ぶ人が多いボバーシリーズ、好みが分かれるところだが「追加装備が多い」のに「軽い」は大きなアドバンテージと言えよう。
237.5kgという重量だが、世界に数多存在するモデルと比べても、決して軽い部類とは言い難い。しかし、実際にまたがって車体を引き起こしてみても、その重量で安定感を崩すことなどない。理由は明白で、新型リジッド風フレームを骨格とするロー & ロングスタイルにまとまっていることから、重心が低く保たれているのだ。おかげで引き起こしは難なく対応できる。
走り出しは快調そのもの。何度か体感したことがあるトライアンフの水冷バーチカルツインエンジンはレスポンシブルでありながら、ツインエンジン特有の心地よい鼓動感も味わわせてくれる。水冷化によって鼓動感が消えるのでは?という囁きも杞憂だったと思わされた、近代トライアンフの最高傑作とも言えるエンジンを楽しむ。
本モデルに試乗する前に懸念していたのは、フロント周りの重たさだ。ベースモデルであるボンネビルボバーと比べ、フォーク径のアップにダブルディスクブレーキ仕様と、重量アップは避けられず、コントロールに難が出るのでは?という先入観を抱いていた。実際の車重がボンネビルボバーよりも軽いという点からも、「軽くなっているのはフロントより後ろ側だけで、余計にフロントの重さが際立つのでは?」と考えていたのだ。
結論から言うと、こちらも杞憂であった。確かにダブルディスク化に伴う重量アップはしているが、高剛性47mmフロントフォークのしなやかな動きがその重量をしっかりカバーし、ストッピングパワーの向上というメリットを最大限に引き出していたのだ。ローダウンモデルなだけに、あまりフロントブレーキに頼らず、リアブレーキ(フットブレーキ)を主に使ってのコントロールを心がけてはいるが、ハンドリングに妙なクセを覚えることはなく、ここぞでのストッピングパワーをしっかり発揮してくれる点に好感すら抱いたほどだ。
ハイウェイライドにおけるクルージングも快適。特にオートクルーズコントロールが備わっているのは、ボンネビルボバーを大きく引き離すほどの強みであると言える。高速道路上の大きな窪みに陥った際、その衝撃の大きさを吸収しきれずに大きな反動を引き起こすこともある最新リジッド型フレームだが、それはどんなフレームでも起こりうること。シティライドを含めた滑らかな舗装路を走る分には過不足なく、パフォーマンスは及第点と言っていい。むしろ排気量1,200ccのバーチカルツインエンジンの性能を余すことなく楽しむなら、ハイウェイライドをぜひとも楽しんでもらいたいところ。
他のモデルに比べて太いタイヤを履いていることから、確かに細身タイヤのボンネビルボバーに比べてコーナリングはもっさりした感じを受ける。だが、しっかりとしたパフォーマンスアップが図られたフットワークのおかげで「曲がりにくい」という印象は皆無。むしろ「気にするぐらいなら、BBBを選ばない方がいい」とさえ思う。
ここまでボバースタイルに振り切ったBBBなのだ、選ぶからにはそのスタイリングとシチュエーションを存分に味わうことをオススメしたい。
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