VIRGIN TRIUMPH | 【トライアンフ デイトナ660 試乗記】日常で爽快な走りを楽しめるフルカウルスポーツだ 試乗インプレッション

【トライアンフ デイトナ660 試乗記】日常で爽快な走りを楽しめるフルカウルスポーツだ

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TRIUMPH DAYTONA660(2024)
トライアンフの新型「デイトナ660」が国内デビューした。久々のフルカウル3気筒スポーツモデルに期待大である。かつてデイトナ675オーナーでもあったケニー佐川が試乗レポートする。

デイトナ660 特徴

伝統の3気筒スポーツながら扱いやすさを重視

最初にデイトナの系譜について少しふれておきたい。DAYTONAの名は1966年デイトナ200マイルレースでの勝利を記念したもので、その後トライアンフにおけるスポーツモデルを象徴するネームになっている。近年では2006年に登場したデイトナ675が従来の4気筒スーパースポーツとは一線を画す3気筒エンジン搭載のミドルスーパースポーツとして一世を風靡。欧州の2輪誌が主催する世界最強のスーパースポーツを決める「スーパーテスト」において4年連続で「キング・オブ・スーパースポーツ」の称号を獲得、当時のWSS (スーパースポーツ世界選手権)で国産勢を凌ぐ成績を残すなど実力の高さを見せつけてきた。

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その後、何回かのモデルチェンジを経て惜しまれつつも2016年に生産終了。デイトナのDNAは同系エンジンを搭載するスポーツネイキッドのストリートトリプルに受け継がれ、2017年には排気量を765ccに拡大した新世代となり、電子制御を投入しつつ年々改良を重ねてパフォーマンスを向上。2019年にはストリートトリプルRSの水冷3気筒765ccをベースにFIMロードレース世界選手権Moto2用エンジンを開発、現在に至るまで独占的サプライヤーとして供給している。

その流れで2019年に限定版の「デイトナ765 Moto2エディション」も発売されたが、量産タイプのフルカウルモデルとしては実に8年ぶりとなる待望のトライアンフ3気筒スポーツモデルが登場したのがデイトナ660である。

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今までの経緯から相当アグレッシブなマシンをイメージしがちだが、デイトナ660はぐっと敷居を下げたフレンドリーな立ち位置と言える。エンジンはミドルネイキッドのトライデント660がベースの水冷並列3気筒から最高出力95ps、最大トルク69Nmを発揮。低中速トルクとスムーズな高回転を両立しつつ、トライデントよりも17%高いパワーと9%高いトルクを引き出している。6速ギアボックスとトルク&アシストクラッチによるスムーズな走りを実現。なお、クイックシフターはオプション設定となっている。

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フレームはスチール鋼管製で旧デイトナ675やストリートトリプル系のアルミダイキャスト製とは異なるオーソドックスな作り。足まわりはショーワ製の倒立フォークとプリロード調整式モノショックを採用し快適な乗り心地を実現。ブレーキにはフロントにダブルディスクとラジアル4Pキャリパーを採用し、軽量な5本スポーク鋳造アルミホイールに最新スポーツラジアルタイヤのミシュラン「パワー6」を標準装着するなど足元も充実している。また、電子制御スロットルによる3つのライディングモード(スポーツ、ロード、レイン)とABS、切り替え式のトラクションコントロールを装備するなど、ストリートでスポーティな走りを楽しむには必要十分な機能が盛り込まれている。

デイトナ660 試乗インプレッション

フルカウルなのに快適、
サーキット入門用としても最適

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久々に見るフルカウルのトライアンフに心が躍る。ぱっと見はまさしくデイトナそのもの。自分もかつてデイトナ675を所有した経験もあり個人的にも思い入れのあるシリーズだ。トライアンフ伝統の水冷並列3気筒は最高出力95psとスペック的には驚くほどではないが実際に走ると十分に速い。最大トルクの8割以上を3000rpm過ぎから発揮する低中速トルクにふった出力特性は明らかにストリート重視のセッティングで、スロットルを開ければどこからでも力強い加速が得られるのが気持ちいい。

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エンジンのベースはトライデント660だが、マップの最適化とスロットルボディを1個から3個に増やしたことで、さらにリニアなレスポンスを引き出している。ビブラートがかかった官能的なトリプルサウンドも健在。英国車ならではの上品でスタイリッシュな雰囲気にもデイトナらしさが漂う。フルカウルスポーツとしては低めの810mmのシート高とスリムな車体で足着きも良好。同じくセパレートハンドルも高め、ステップは逆に低めに設定されるなど快適で親しみやすいライポジだ。

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ショーワ製の前後サスペンションはしなやかな乗り心地で、調整機構こそ最小限ではあるがストリートでは十分なレベル。ラジアルタイプの4ピストンを備えたダブルディスクブレーキも扱いやすく効きも申し分ない。印象的だったのが標準装着されているミシュランの「パワー6」タイヤ。路面温度も低く雨天での試乗だったが、速度に関わらず接地感が分かりやすく安心してワインディングを楽しめた。車体の軽さとワイドバンドな出力特性、スチール鋼管フレームによる“たおやか”な乗り味がバランスして、常にバイクが手の内にある安心感が持てる。厳しいコンディションだからこそマシンの素性の良さも際立ったと思う。

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また3種類のライディングモード(スポーツ、ロード、レイン)は走行中でも手元スイッチで簡単に変更でき、選択したモードによって出力特性も明確に変わるので実用的。もちろん、レインモードにすれば雨で滑りやすい路面でも早めにトラコンが介入してくれるので安心だ。ABSやスリッパークラッチなども含め日常の走りでは必要十分なセーフティデバイスが入っていると思う。

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後日サーキットでも試乗する機会があったが、軽快なフットワークやしなやかでトルクフルな走りなど、全体的な走行フィールはしっかりとデイトナのDNAを受け継いでいた。それでいて、どこでも思い切りスロットルを開けられるのでストレスフリー。かつて鈴鹿4耐などのレースでも慣れ親しんだデイトナ675はもっとパワフルで過激だったが、一方ではライドモードやABS、トラコンなどの電子制御はなかった時代。そう考えるとデイトナ660はだいぶ乗りやすく安全になったと思う。ライポジも楽で扱いやすいので普段の街乗りからツーリングまで快適に使えそうだし、運動性能は高いのでスーパースポーツ入門用としてもベストな一台だと思う。

デイトナ660 詳細写真

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水冷並列3気筒DOHC4バルブ659.3ccエンジンは最高出力95ps/11,250rpを実現。最大トルク69Nm/8,250 rpmの80%以上をわずか3,125rpmで発揮する。フレームはスチール鋼管製でアルミフレームに似せた樹脂カバーで覆われている。

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ショーワ製セパレートファンクションビッグピストンφ41mm倒立フォーク(SF-BPF)にφ310mmダブルディスク&ラジアルマウント4Pキャリパーなど足まわりも充実。軽量ホイールに装着されたミシュラン・パワー6は重量も軽く軽快なフットワークに貢献する。
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湾曲タイプのスチール製スイングアームを採用。湾曲部のスペースにサブチャンバー付きのエキゾーストシステムをコンパクトに配置する現代的なレイアウトだ。
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赤スプリングが印象的なリヤサスペンションもショーワ製モノショックでプリロード調整 を装備。ちなみにホイールトラベル はフロント110mm、リア130mmと標準的。
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ツインヘッドライト上にエアインテークが組み込まれたデイトナ675を彷彿させるルックスだが、灯火類は現代的にフルLED化されている。スクリーンはハイトが高く防風性も高められている。
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燃料タンク容量は14Lでトライデントと同量だが、デイトナ675の17.4Lに比べるとコンパクト。ニーグリップ部分が絞り込まれた丸みのあるデザインで、ハイトも低く見た目にも圧迫感がない。
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シート高810mmはフルカウルスポーツとしては低めの設定。座面がフラットでスタンドオーバー(跨り)幅も狭いので足着きも良好だ。シート高をさらに25mm下げて785mmにするアクセサリーローシートも用意。
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スポーツマインドを感じさせるコンパクトなリアビュー。トライアンフのロゴバッジ付きLEDテールランプは明るく遠くからでも目立つデザインだ。ウインカーもスリムなLEDタイプを採用。
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スポーツタイプのアルミ製ステップ&ホルダーにはヒールプレートを装備するなど本格的。 オプションでシフトアップ&ダウン対応のクイックシフターも設定。
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肉抜き加工されたアルミ製トップブリッジには、フォークトップより高い位置にセパレートハンドルが取り付けられている。フルカウルスポーツとしては楽なライポジで、ハンドル切れ角にも十分余裕がありUターンや取り回しもしやすい。
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左手側スイッチボックスは上からダッシュ機能をナビゲートするための矢印パッド、ファンクションキー、ウインカー、ホーン横にはライドモード切り替え用スイッチ。
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中央部にエンジン回転数と速度を大きく表示した多機能LCDメーターを採用。その中に組み込まれたTFTカラーディスプレイにシフトポジションや距離、平均速度などの情報を表示。

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