VIRGIN TRIUMPH | トライアンフの新型ストリートスクランブラーを試乗インプレ!温故知新を感じとれる素晴らしい仕上がり 試乗インプレッション

トライアンフの新型ストリートスクランブラーを試乗インプレ!温故知新を感じとれる素晴らしい仕上がり

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TRIUMPH STREET SCRAMBLER(2021)
伝統的モデルを数多く輩出してきたトライアンフの中でも、ストリートスクランブラーは、オーソドックスでありながらライダーを魅了してやまない一台だ。2021モデルではユーロ5に適応しつつ中身を大きく進化させた。

憧れの旧車に最新技術のコンバージョン
それを現代的に解釈する

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トライアンフの前身となる輸入貿易会社ジークフリード・ベットマン&カンパニーが設立されたのは1885年、同社初のモーターサイクル”ナンバー1”が登場したが1902年のこと。100年をゆうに超える歴史を持つトライアンフの中において、長年培ってきた伝統を今に繋げるモダンクラシックシリーズ。その中でもスクランブラーモデルは高い人気を誇り、トライアンフ・ボンネビルの看板的モデルとなっている。その人気の秘密は”土”のイメージを匂わせながらも都会的に纏められた端正なプロポーションと、エンジンの鼓動感、そして万人に向けた扱いやすさだろう。新モデルでは外観こそ大きな変更は行われていないが、ユーロ5に適合し、それに合わせて内容は大きくブラッシュアップされている。そんな新型ストリートスクランブラーの詳細をお届けする。

ストリートスクランブラー 特徴

ホンモノだけが持つ深い味わい
これぞナチュラルボーンクラシック

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2020年から2021年にかけては、モーターサイクル業界全体に大きな波が押し寄せてくるシーズンとなっていた。それは2021年1月からユーロ5が全面導入され(2020年1月から移行期間がスタート)、基準をクリアしてない車両は販売することができなくなったからだ。新たなレギュレーションの中でも排出ガスの規制は厳しく強化され、特にエンジンの基本設計の古いモデルは、このタイミングでモデル落ちを余儀なくされた。そのような中において、トライアンフのモダンクラシックシリーズはボンネビル系、ストリートツイン系、そしてここで紹介するストリートスクランブラーすべてのモデルにおいてユーロ5をクリアし、新型として継続販売することに成功した。今回のユーロ5実施の結果や、今後世の中の動向によってユーロ6基準が制定されることが予想されているが、ひとまずユーロ5をパスしたということが大きいことなのだ。

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現在トライアンフのスクランブラーモデルには、1200ccバーチカルツインエンジンを搭載したスクランブラー1200と、900ccバーチカルツインエンジンを採用するストリートスクランブラーが存在しており、これまで幾たびか試乗テストを行ってきたことを振り返ると、前者がスパルタンかつパワフルなキャラクターとなっているのに対し、ストリートスクランブラーはスマートでフレンドリーな性格だと言えよう。好みというのは人それぞれ異なるものだが、万人に薦められるという面ではストリートスクランブラーに軍配が挙がるだろう。新型ストリートスクランブラーは、そこからどのような変化がもたらされているのだろうか。

ストリートスクランブラー 試乗インプレッション

”スパイシー”ではないものの、
自分自身で”刺激”を創り出すことができる

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新型ストリートスクランブラーを目の前にして、従来モデルとの違いを探してみたが、多分新旧隣同士に見比べても難解なものかもしれない。少なくとも私は新型だけを見て違いを見つけることができなかった。念のために発表されている外装での変更点を挙げると、サイドパネル、ヘッドライトブラケットを新デザインに、ヒールガード、スロットルボディフィニッシャーの仕上げ、シートの素材などとされている。

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エンジンを掛けて走り出す。走り出した瞬間に、オッ、と思ったことがある。それはフロントタイヤの転がり感だ。取り回しや低速域で、フロントの動きがダルに思えるのだ。オフロードモデルのようにフロント21インチを採用しているのかと錯覚させるハンドルの手ごたえに、当初空気圧が低いのかと思ったが、そういうわけでもなさそう。それに少しでも走らせてタイヤを転がせていれば、ニュートラルな動き、いや、むしろ従来モデルよりも良いハンドリングの印象となった。もしかするとサスペンション内部のセッティングに手が加えられているのかもしれない。

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スポーツモデルに乗り慣れているような諸兄からすると、スロットル操作に対してのエンジンレスポンスにおいて若干ダイレクト感が薄いと感じるかもしれない。しかし、これはこれで成立されており、とても良い仕上がりなのだ。エンジンの鼓動感と、それをツインエンジン特有の歯切れの良いビートとして響かせるエキゾーストシステム、走らせているだけで心地良くさせてくれる。この気持ちよさは旧車ならではのものだったが、それを新車で購入できるという点が、ストリートスクランブラーの魅力なのである。

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ユーロ5をパスしたエンジンのフィーリングは、3000回転付近を使ってゆったりと走らせると大変気持ちの良いパルス感を得ることができ、4000~5000回転域でスポーツ感を楽しめ、そこから先はあまり大きな変化が無く、7500回転前後で頭打ちするという設定。あくまでフィーリング型に振ってきた傾向が感じられる仕上がりとなっており、ストリートスクランブラーのキャラクターにベストマッチしていると言える。

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そもそも私はストリートスクランブラーが好きだということもあり、ほめる場所を探せば枚挙にいとまがないのだが、毎度「ああ、これ!」と思わせてくれるポイントが、右足を強烈に熱してくれるアップマフラーの存在だ。視覚的にもこれほどの自己主張をしてくるマフラーは無いのだが、走らせるとさらにその存在感を前面に押し出してくる。ただ、それすらも可愛いものだと思わせてくれるのが、ストリートスクランブラーというモデルなのである。

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”旧車のボディに最新のエンジンや足回りをコンバージョンさせて販売してほしい”と20年くらい前の私は考えていたものだが、それが現実のものとなり、さらにそのライディングフィールすらも懐かしさを感じさせるものとして纏められている。それでいながら、ABSやトラクションコントロール、ライディングモードセレクトなどもできるセーフティ機能も備わっている。もはや旧車を探し求めて買うよりも、新車でこれを購入した方が、豊かなバイクライフを送れるものだと私は考えている。

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ストリートスクランブラー 詳細写真

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ボアストロークを84.6×80mmとする900cc水冷SOHCバーチカルツインエンジン。8バルブ、270°クランクは鼓動感とパワー感の両立を実現している。最高出力は65馬力と抑え気味だが、数値では分からない心地よさが真の魅力だ。
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フロントタイヤサイズは100/90-19。リアの150/70-17タイヤサイズとの組み合わせは、オンロードではニュートラルなハンドリングで、未舗装路もチャレンジしたくなる設定。Φ41mmの正立フロントフォークにブレンボ製4ピストンキャリパーをセットする。
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丸型のヘッドライトケースとマルチリフレクタータイプ、H4バルブのヘッドライトというオーソドックスな組み合わせ。ベゼルをはじめ各所がブラックアウトされており引き締まったイメージ。ライトステーが新形状とされているが、その違いを見極めるのは難しい。
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未舗装路などを走る際、オフロードブーツの底のグリップを得るためにブレーキペダル及びステップは、山型の仕上げとされている。ステップ部には普段ラバーのカバーを取り付けておくことが可能だ。
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シンプルなシングルメーターを採用。中央の液晶パネルには走行距離計、時間、回転計などの基本インフォメーションの他、残燃料計、シフトインジケーター、ライディングモードなどを表示する。
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トライアンフ製スクランブラーモデルのアイデンティティである2本出しアップマフラー。エンジンブロックの排気側から高い位置を維持してセットされているために、右足が熱くなる。それもまた味として楽しみたい。心地の良い排気音は秀逸。
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ライダー側とパッセンジャー側がセパレートされた2ピースシート。パッセンジャーシート部は外してオプションのキャリアなどに変更可能。ライダーシートは厚手で座面も広く、座り心地が良い。
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リアフェンダーにテールランプ及び、ウインカーやナンバーステーを装備。テールランプはLED、ウインカーはバルブ球と使い分けている。
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リアサスペンションは、プリロード調整機構付きのツインショックとされている。サスペンショントラベル量は前後とも120mmと豊かで、それを活かしたダイナミックな走りを楽しめる。ABSは標準で装備。
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柔らかな曲線を描く燃料タンクの容量は12L。カラーリングは、テスト車両としたアーバングレー(133万6500円)の他に、ジェットブラック(131万円)とマットカーキ×マットアイアンストーン(134万9600円)が用意されている。
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左手側のスイッチボックス。極スタンダードなスタイルであり、難しいものは何もない。モードスイッチでライディングモードを、インフォメーションボタンで、各種メーターの表示を切り替えることができる。
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ハンドル位置は高めで、アップライトなライディングポジションをもたらす。ストリートでは安楽快適なポジションを、オフロードではスタンディングポジションを楽しめる。扱いやすさは抜群だ。

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