VIRGIN TRIUMPH | トライアンフ ストリートトリプルR 試乗インプレッション

トラインフ ストリートトリプルRの画像
TRIUMPH STREET TRIPLE R

トライアンフ ストリートトリプルR

トライアンフ ストリートトリプルR 試乗インプレッション

街に映えるスタイリング
しかし注目すべきは「足」だ

トライアンフ ストリートトリプルR 写真

デイトナ675とストリートトリプルは、骨格を共通としながら外観の変化と同様、足周りとエンジン特性に明確なキャラクターの違いを持たせることに成功したトライアンフの成功作だ。両車はデビューしてから1年ほど世界的な品薄状態が続き、日本でも常にバックオーダーを抱えているほどの人気である。

そんな好調な2台に割って入ってきたのがストリートトリプルRだ。かなり狭いところに割り込んできた気がするだけに、どのような特性、味付けを施したのかが気になるところである。ミドルクラスだからとは言え、目の肥えたユーザーを相手にメリハリが無ければ、中途半端な存在になってしまう。味付けの巧みさには定評のあるトライアンフだけに、この新型にも何かしら濃い味付けを施していることは予想できるのだが。

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バイクを評価する上で走行性能は最も重要な要素であるが、実際所有するとなれば、それだけでは十分と言えない。バイクを眺め、悦に入れるデザイン性だって重要だ。街中に置き、しばし眺める。一見しただけでトライアンフとわかる独自のルックスは、兄貴分のスピードトリプルで開拓に成功したもの。

表参道の美しい街並みに置いても、存在感を放ちながらも浮かない絶妙さ。このバランス感覚はスタンダードのストリートトリプルでもそうなのだが、Rでは長時間の鑑賞にも耐える奥深さが加わったように見える。同じデザインながら、ニッシンのキャリパーやマグラのハンドル、ツートンシートなど、各部の高品質なパーツが細部を引き締め、一本筋が通ったように見える。

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試乗車に装着されている、純正オプションのフライスクリーンとシートカウルも一役買ってはいるが、質感は確実に高くなった。トライアンフという歴史のある社名と、独特の存在感を放つ車体は、しばしば通行人の足を立ち止まらせる。まじまじと覗かれることも多い。高級感が向上したのは、オーナーになる人にとっては喜ばしいことだろう。

エンジンを始動すると聞こえてくるサウンドは、排気音よりもヒュルヒュルとメカニカルノイズのほうが大きい現代的なもの。迫力は乏しく寂しさを感じる反面、最新設計であることの証明でもある。

ブリッピングに対して素早く回転を上げるクランクの軽さは675ccエンジンの美点。搭載ユニットはストリートトリプルと同仕様で、パワー重視の高回転型のデイトナに対し、中回転域重視のエンジンだ。最高出力で17馬力を失った代わりに、ピークトルクを2650回転下げ、一般道での元気の良いピックアップを手に入れている。

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デイトナに比べてアップライトなポジションのため、勢いづくと前輪荷重が少ない車体を軽々とリフトさせる。一般道で使える限界とも言える中回転域での全開加速は、絶品のサウンドと合わさり、とにかく楽しい。最近のリッタースポーツでは味わいにくい、全開時の加速感。これこそが600クラスの醍醐味であり、ストリートトリプルRがもっとも得意とするステージだ。

そして同クラスの4気筒と比べると中速域の加速感が力強いのも魅力。総排気量で75cc大きい恩恵もあるが、1気筒あたりの排気量が大きいことが要因だろう。4気筒ではリッタークラスで250cc、600クラスで150ccとなるが、3 気筒のデイトナは1気筒あたり225ccとリッタークラスに近いのだ。この一発の爆発力の大きさに加えて、3気筒ならではの厚みのある力強さがフィーリングを生み出しているのだろう。

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ハンドリングも好ましい設定だ。デイトナの足周りが移植されたので、もっと硬い設定だと思っていたが、高速やワインディングがマッチする柔らかめの仕上がり。サーキットでは柔らかく感じるレベルだが、前後ともフルアジャスタブルになったサスは許容範囲が広いので対応できるだろう。ブレーキもラジアルマスターと、ニッシン製ラジアル4ポッドを採用し、限界付近のコントロール性が向上している。

実は、乗るまで「なんでデイトナをそのままネイキッドにしないの?」と思っていた。エンジンも足廻りも強力なそれを使えば、エキサイティングなモデルになると考えていたのだが、実際にストリートトリプルRに乗ってみると、トライアンフの出した答えが正解のようだ。緊張感を与えない軽快なハンドリングに、無駄に加速したくなるほど心地よいエンジン。免許が心配になるほど魅惑的なバイクだ。

トライアンフ ストリートトリプルR の詳細写真

トライアンフ ストリートトリプルRの画像

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ライト上のカバーは純正オプションのフライスクリーン。
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ブレーキのマスターシリンダーはラジアルタイプで別体のリザーバータンクを装備。
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質感の高いブラック・グラファイトのツートンシート。純正オプションのシートカウルはこのバイクのキャラクターに良く合う。
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ニッシンのラジアルマウント4ポットキャリパーを採用。ボトムの青いパーツはコンプレッションのアジャスト機構。
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デイトナ675ベースのフルアジャスタブルタイプのフロントフォークはアウターチューブをブラックに変更。
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スイングアームから覗くパープルスプリングがRの証。伸圧調整機能を装備する。
試乗ライダー プロフィール
クラブマン編集部 齋藤 康治
このサイズでこのパワー。そしてトライアンフのアイデンティティとも言える、2気筒でも4気筒でもない3気筒エンジンは、イイトコ取りのフィーリングで実に面白い。サーキットアソビでこの足回りのもっと上の領域を楽しんでみたい、と思った。

SPECIFICATIONS – TRIUMPH STREET TRIPLE R

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価格(消費税込み) = 103万9,500円

ミドルクラスの中でも特に人気が高く、世界的に好調なセールスを記録する「675シリーズ」の「デイトナ」と「ストリート」。その2つの隙間を埋め、基本骨格を共有しながらも、異なるキャラクターとなっている。

  • ■エンジン型式 = DOHC 並列3気筒
  • ■排気量 = 675cc
  • ■ボア×ストローク = 74×52.3mm
  • ■最高出力 = 108PS/11,700rpm
  • ■最大トルク = 69Nm/9,100 rpm
  • ■トランスミッション = 6速
  • ■燃料供給方式 = マルチポイントシーケンシャル電子燃料噴射
  • ■サイズ = 全長2,030×全幅731×全高1,250mm
  • ■ホイールベース = 1,535mm
  • ■シート高 = 808mm
  • ■重量(乾燥) = 167kg
  • ■燃料タンク容量 = 17.4L
  • ■Fタイヤサイズ = 120/70 ZR17
  • ■Rタイヤサイズ = 180/55 ZR17

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