ブラックエディションが加わったトライアンフの「ストリートツイン」、そのキャラクターに迫る
- 掲載日/2018年08月20日
- 写真・文/田中 宏亮 取材協力/トライアンフ モーターサイクルズ ジャパン
トライアンフ ストリートツイン 試乗インプレッション
エントリーモデルとしての仕上げながら
ライディングプレジャーをしっかり内包
比較的ロースタイルのモデルであることはスペックからも分かっていたが、実際に跨ってみると身長174cmの筆者だと膝に余裕を持たせてのベタ足という足つきに。海外モデル特有の幅広シートはストリートツインでも同様で、股間部分を細身にすれば身長160cm足らずのライダーでも不安を覚えない足つきを実現できるだろう。
走り出してまず感じたのは、中低速でのレスポンスの良さだ。ツイン特有のトルクはしっかりと残しつつキレの良いスロットルワークで走り出すところは、さすがストリート仕様と感心する。とりわけ3速ぐらいまでのギアチェンジは実に小気味よく、ストップ & ゴーが多く入り組んだ街中を軽快に走り抜けるにはもってこいの味付けにされている。軽量なボディにニュートラルなライディングポジション、フロント18 / リア17というホイール設定もストリートツイン特有の走りを優しくサポートする組み合わせだと言えよう。
大きなコーナリングでグッと踏み込んで曲がっていくも、よほど無茶な走り方をしない限りステップを擦ることはまずない。ロースタイルゆえ早々に擦るイメージがあったが、そこはやはりネオクラシックモデルだ、ロースタイルと言えどオートバイとしての最低限のバンク角は確保されている。
排気量899ccエンジンで5速ミッションという設定もあってか、4〜5速ギアに入れてからの伸びはリッターバイクのそれに及ばない。特にハイウェイ走行でそのキャラクターが如実に現れる。東京の首都高速道路や大阪の環状線のようなクネクネやアップダウンの多い有料道路では面白いほど軽快に走り抜けられるが、真っ直ぐ伸びる高速道路だと伸びに物足りなさを覚えるかもしれない。ロングツーリングにはやはりボンネビルシリーズのT120などが向いていると言え、反してこのストリートツインはよりストリートライドを意識したセッティングとなっているわけだ。
400cc以下のバイクから大排気量モデルに乗り換えた際、想像を超えるパワーに戸惑いを覚えるライダーも少なくないだろう。クラシカルなスタイルながらリッターオーバーモデルであるT120などは初心者にとって思いのほかじゃじゃ馬とも言える存在で、その点ストリートツインは入門向け大型バイクだと言うことができる。市場で乗り比べる機会があれば、その違いをまざまざと感じ取れるだろう。
今回登場した「ストリートツイン ブラックエディション」のほか、カフェレーサースタイルへと進化させた「ストリートカップ」の存在と、ボトムレンジを担いつつもエントリーライダーを優しく迎え入れるラインナップを充実させているところに、トライアンフがこのモダンクラシックを重要視していることが伺える。入門でもここまで楽しみの幅を広げられると、このカテゴリーが新たな提案をしてきているようだ。