VIRGIN TRIUMPH | 硬派かつスパルタンでありながら頼りになるバディ、トライアンフのスラクストンRSを試乗インプレ 試乗インプレッション

硬派かつスパルタンでありながら頼りになるバディ、トライアンフのスラクストンRSを試乗インプレ

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TRIUMPH THRUXTON RS (2020)
トライアンフモーターサイクル伝統のバーチカルツインエンジンを搭載したフラッグシップスポーツモデル、スラクストンRS。クラシカルなスタイリングと最新テクノロジーの融合は、触れる者に絶頂感をもたらす。

歴代モダンクラシックシリーズ中、
最高のポテンシャルを与えられた一台

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トリプルエンジンと双璧を成し、トライアンフモーターサイクルを支えてきたバーチカルツインエンジン。以前は一部でトリプルエンジンはモダンかつスポーツ志向で、ツインエンジンはビンテージ感を漂わせるテイスト路線だと言われていたこともあったが、水冷かつ排気量1200ccまで引き上げられたツインエンジンは、強烈なトルクと鋭いピックアップを手に入れ、本格的なスポーツライディングに応える仕上がりとなっている。

とはいえ、ツインエンジンが搭載されているのは、やはりトライアンフのモデルラインナップではモダンクラシックと呼ばれるセグメントであり、古き良き時代を連想させるものが中心となっていることには違いない。モダンクラシック系にはボンネビル、スクランブラー、スピードツインなどがあるなかで、ロードスポーツ性能をもっとも追求しているのが、スラクストンなのである。そのスラクストンの中でも史上最強と言えるハイポテンシャルが奢られたモデル、それが新型スラクストンRSなのだ。

スラクストンRS 特徴

オシャレ系カフェレーサーではあるものの、
真の魅力はハードランに応える実力にある

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70、80年代の日本車勢の台頭により、一時は窮地に立たされていたトライアンフモーターサイクルズは、ヒンクレー工場の設立、そこで進められたモジュラーコンセプトによる車両開発により、90年代に見事に復活を遂げた。当初3気筒や4気筒のマルチエンジンを中心としていたが、2001年にバーチカルツインエンジンを復活させ、新生ボンネビルを登場させることになる。その4年後の2005年にスラクストンは発表された。ボンネビルをベースとしながら、キャスターを立たせるなどのディメンションの変更、ハイカム仕様、タイヤの小径化、セパレートハンドルの採用等々、多岐に渡りリセッティングされたおかげで、別物と呼べるスポーツモデルに仕上がっていた。なおスラクストンという名称は、1964年に限定で販売された市販レーサーの再来を意味し、当時T120ボンネビルで参戦し優勝したスラクストン500マイルレースに由来する。

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余談だが2008年頃、スラクストンをベースにトライアンフ福岡が仕立てたレーサーモデルを岡山国際サーキットで走らせたことがある。前後サスペンションの設定変更を中心に煮詰められていたが、当時は空冷エンジンで排気量も900cc、絶対的なパワーこそなかったのだが、それはとても乗りやすく、だからこそ良いタイムが出せるという一台となっていたことを覚えている。そのような記憶が頭に残るスラクストンの、最新かつホットバージョンにあたるスラクストンRSを味わってみることにする。

スラクストンRS 試乗インプレッション

もはやこれ以上の性能は不要か、
メーカーカスタムならではの信頼感も多大

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スラクストンRSを目の前にして、最初に興味を持ったのはタイヤだった。採用されていたのはメッツラー・レーステックRRであり、ストリート仕様と言えども、かのマン島TTレースも制するなど、かなりスポーツ志向の高いタイヤであり、この銘柄を選択することからして本気度が伺えるものだ。

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エンジンに火を入れ走り出す。テスト車両を借用した日は、気温が低く小雨交じりの天候だったこともあり、まずはライディングモードをレインにセットしたのだが、それを意識させない程、スロットルに対するツキが良いことには驚かされた。タイヤをはじめ各所が温まってきた頃、ふとディスプレイパネルへ目を落とすと、レインモードのランプが点いているのが見えたので、そこでレインモードで走っていたことを思い出したのだ。後にロードモード、スポーツモードと、順を追ってテストをしていったのだが、レインモードにして十分なパワー感と、高いバランスが保たれているため、一般的なスキルのライダーであれば、満足してしまうだろうと思えるほど纏まりが良かったのだ。もちろんスポーツモードにセットすれば、エキサイティングな走りをもたらしてくれる。従来型と比べ8馬力向上し、より低い回転数で最大トルクを発生するエンジンは、吹け上がりも軽く、快活そのものだ。

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燃料タンクが極端と言えるほど細身なこと、シート、ハンドル、ステップの3点の位置関係が纏まっていること、前後サスペンションが良い仕事をすることなど、複合的な要因で、コーナーリングはとてもシャープに決まる。クラシカルモデルに似合うような、肩から入っていくような姿勢も、最新スポーツモデルのように腰を落としてコーナーに進入しても、バッチリとラインをトレースすることができる。この辺りの設定に関しては、ビギナーでも楽しめるであろうものだが、一方でエキスパート向けに仕上げられているとも思えた。

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スラクストンRSは50~60年代にイギリスでムーブメントとなったロッカーズ達が、ストリートを快走するために作り上げたカフェレーサースタイルをモチーフに纏め上げられている。しかしその内容はと言えば適当なカスタムモデルではなく、トライアンフモーターサイクルズという名門ブランドが、しっかりとした技術を持って生み出したメーカーカスタムモデルであり、隙を感じさせない出来栄えとなっているものだ。だからこそ安心してスポーツライディングを楽しむことができるのである。2001年に復活したボンネビル系は、この20年という年月で熟成が進み、現在が最も良いテイストとなっているように思える。その中でもスラクストン、特に今回のスラクストンRSというモデルは、尖ったキャラクターを持たされているために、それを魅力として捉えることも、逆に持て余すほどのパンチ力に躊躇してしまうこともあるのかもしれないと考えてしまうのだが、クラシカルなスタイリングと、スポーティなライディングという難しい組み合わせを、誰でも楽しめるようにパッケージングしていることこそが、何よりも惹きつけられる部分なのである。

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今回のテストを機に、中古マーケットでのスラクストンを調べてみたが、少なくともスラクストンRSと同次元で走らせるようにするには、かなりのコストが掛ってしまうと思え、それであれば新車を手に入れるのが最も賢い選択なのだと思えた。

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スラクストンRS 詳細写真

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排気量1200cc水冷SOHC並列2気筒270度クランクエンジンを搭載。ハイコンプピストンの採用やポートやカム形状のリセッティングなどにより、最高出力は105馬力、最大トルクは112Nmとされ、これは歴代バーチカルツインモデルの中で、最高の性能を誇るものとなっている。
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2005年のデビュー当時、18インチが採用されていたが、現行モデルでは17インチとされているフロントタイヤ。ブレンボ製M50モノブロックキャリパーの採用により、コントローラブルかつ高い制動力も得ている。
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クラシカルな雰囲気を助長する丸型一灯ヘッドライトケース。内部にはLEDデイライトを備えており、モダンな雰囲気も併せ持っている。ライトケースを支えるステーのデザインや素材にもこだわりが感じられる。
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アナログタイプの速度計と回転計の2連メーターを採用。クローム処理されたメーターベゼルとヘアライン仕上げのメーターケースの組み合わせで、高級感がある。シフトインジケーターや時計、オド・トリップなどのインフォメーションは液晶部に表示される。
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スラクストンRSで走り出し、まず驚いたのはタンクの細さだった。カフェレーサーらしく前後に長く細くシェイプされた燃料タンクが採用されている。タンク容量は14Lで、クラシカルなキャップのマッチングも良い。
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歯切れの良いツインサウンドを奏でる左右2本出しマフラー。ボンネビルT100・T120がホリゾンタルなキャブトンタイプを採用しているのに対し、スラクストンRSではメガホンタイプを、やや上方に角度をつけてセットしている。
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リアサスペンションは、オーリンズ製のフルアジャスタブルツインショックを採用している。高い路面追従性能はもちろんのこと、光り輝くゴールドのリザーバータンクがスタイリングのワンポイントになっていると言える。
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前後ともに32本スポークとされた軽量ホイール。リアタイヤのサイズは、160/60ZR17とされており、太すぎずコントロール性を考えた選択。ホイールベースは1415mmで、ボンネビルT120よりも35mm短い。
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LEDライトが多くなった今、むしろ新鮮にさえ感じられるライトバルブ。トータル的にブラックアウトされたスタイリングの中で、テールランプを囲む部分などに使われるクロームパーツが引き立つ。
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美しい造詣を見せるトップブリッジにセットされたショーワ製倒立式ビッグピストンフォーク。トップ部分で減衰力などを調整できるフルアジャスタブルタイプで、トラベル量は120mmとなっている。
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スポーティなセパレートハンドルを採用。ハンドルの垂角はさほどきつくなく、自然なライディングポジションとなっている。バーエンドミラーとの組み合わせも良い。
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やや後方の高い位置にセットされたステップバー。コーナーリング時のステップ入力もしやすい。ヒールガードもしっかりとしたものが使われており、安心して足を預けることができる。
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カバーがつけられたシングルシート仕様となっている。シート上面にはスエード調の素材が使われており滑りにくい。シート高は810mmだが、車体が細い分スペック以上に足つきは良く感じる。
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シート裏側の後方は、小物ケースが用意されている。車体と離れてしまうため、ETC車載器などは設置できないが、こういったスペースは便利に使いたい。

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