VIRGIN TRIUMPH | 特別装備が与えられたアドベンチャーモデルの限定バージョン「タイガー1200デザートエディション」を試乗インプレ 試乗インプレッション

特別装備が与えられたアドベンチャーモデルの限定バージョン「タイガー1200デザートエディション」を試乗インプレ

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TRIUMPH TIGER 1200 DESERT EDITION (2020)

美しいボディワークから生み出されるしなかやな乗り心地は
大地が続く限りどこまでも走りたくなる衝動を駆る

トライアンフのアドベンチャーモデルであるタイガーシリーズの頂点となるタイガー1200に限定バージョンとして加わったタイガー1200デザートエディション。そのネーミングからも伝わるように、地球上でもっとも過酷な砂漠という地をインスパイアして作られた一台であり、カラーパターンやエキゾーストシステム、シフトアシストなどが装備された特別仕様だ。長年熟成されてきたタイガー1200の乗り味は、ライバルを凌駕するほど上質なものであり、さらに道なき道へと誘う運動性能を誇るものである。そんなタイガー1200デザートエディションの詳細を紹介してゆく。

タイガー1200デザートエディション 特徴

アドベンチャーモデルのハイエンドタイガーは
キャラクターを修正しながら進化を繰り返してきた

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一世紀を大幅に超えるとても長いトライアンフの歴史を遡ってみると、タイガーというネーミングが初めて採用されたのは、今から84年前の1936年のことだと分かる。当時はトライアンフ社の首脳陣交代に伴い、アリエル社から優れた技術者であるエドワード・ターナーが移籍してきたタイミングであり、トライアンフのさらなる販売向上を目論み、タイガー70/80/90の3モデルをマーケットに投入したことが始まりだった。軽量かつスポーティな初代タイガーシリーズは成功を収めた上、ISDT(現在のISDE)をはじめとしたエンデューロレースなどで輝かしい成績を収め、トライアンフはオフロードでも強いことを世界に知らしめた。しかしその後、日本車の台頭により一時トライアンフは窮地に立たされる時代を迎えることとなった。

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80年代に入り、トライアンフを買収した実業家のジョン・ブロアは新たにヒンクレーに生産工場を建設し、ニューモデルの開発に着手し始める。そして90年代初頭から、かつての名機の名前を用いた新型車を次々と発表して行くのだが、その中にタイガー900の名もあった。3気筒エンジンを採用したタイガー900は、欧州市場において人気の高いデュアルパーパスモデルとして位置づけられ、瞬く間に人気を博すことになる。2000年代に入るとデュアルパーパスモデルは、アドベンチャーモデルとしてカテゴライズされるようになり、マーケットの争いは過熱していった。その中において、2007年にモデルチェンジしたニュータイガーは、オンロード性能を高められたモデルとなっていた。2010年にはミドルラインのタイガー800が追加され、その後もタイガーシリーズはオンロードツーリングに根差すモデルやオフロード性能を引き上げたモデルなど個々を差別化させながら、さらなる充実が図られてゆく。そして最新の限定モデルとして登場したのが、タイガー1200デザートエディションである。

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スポークホイールを採用していることからも分かるように、タイガー1200XCA系の流れからなるモデルであるが、特別仕様でありながらも価格はタイガー1200XCAの283万7700円に対し、タイガー1200デザートエディション265万円と20万円近く低い設定となっている。そこにどのような差があるのかを探っていくことにしよう。

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タイガー1200デザートエディション 試乗インプレッション

超豪華すぎるほどの装備でありながらも
価格を抑えてきたことにあっぱれ

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エンジン形式及び出力&トルク、前後タイヤ径、シート高などのスペックは、すべてタイガー1200XCAと同じとなっている。全高、全幅が100mmずつ、車重が2kg、タイガー1200デザートエディションの方が低い数値となっているのは、スクリーンの高さの違いと、フォグランプの有無によるものだと私は推測する。外見上の違いと言えば特別仕様のカラーリングとロゴ、オフィシャルの商品紹介にはArrow製サイレンサーとトライアンフシフトアシストが記載されているが、タイガー1200XCAにも装備されている。と、ここで気づいたのは、タイガー1200XCAからの派生ではないこと。実はタイガー1200デザートエディションというのは、日本では現在のラインナップにない『タイガー1200XCX』というモデルをベースに、手が加えられた一台なのである。

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巨大とも言える体躯は、乗る者を選ぶように見えるが、それも快適な長旅を楽しむためのゆとり。大きく足を上げて跨りエンジンを掛け、走り出す。まずは市街地、やはり大柄な車体のため入り組んだ狭い道を入っていく際には気を使うが、ステアリングをしっかり切ることを意識しながら扱えば問題はない。低回転域からトルクがあるので、そこを上手く使えば細かいコーナーもスムーズにパスできる。高速道路は独壇場だ。電動スクリーンを上げれば走行風は気にならないし、クルーズコントロールを使えば延々とどこまでも走っていける気になる。6000回転以上引っ張るとさらにパワー感を得られること、電子制御式のWP製サスペンションの動きがどんなステージでもしっかりと路面状況を伝えてくれることから、オンオフ問わずスポーツライディングの性能も高くまとめられている。

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いつもよりも長めの期間テスト車両を借り、遠出もしてきたが、どれだけ乗っても飽きさせず、さらに毎日使いたくさせてくれた。車両の特性自体は、タイガー1200XCAと基本的には変わらず、それでいながら価格が抑えられているので、お得感がある。少しでも浮いた費用は、ケース類の購入に回すと良いだろう。それはこのバイクに乗ると、おのずと旅へと誘ってくるからであり、その欲求を満たすためには、純正ケース類は是非とも装備しておきたいアイテムだからだ。

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大型アドベンチャーモデルは熾烈な競争が繰り広げられてきたマーケットだが、ライバルとは明確に異なるキャラクターを持ち、それでいながらまんべんなく高い性能を楽しむことができる。肝となっているのは、トライアンフならではの三気筒エンジンであり、そこにしっかりと適正チューニングされたパーツが組み合わされていることで、独自の世界観、そして高い運動性能を引き出すことができているのだ。出先でライバルモデルが横に並ぶと、それに乗るライダーは興味を示しタイガー1200デザートエディションの事を覗いてくるのはとても愉快であり、その視線を受けながら颯爽と走り去ると、なんとも優越感に浸れるものだ。もしアドベンチャーモデルを選ぼうとしているのであれば、タイガー1200デザートエディションも試乗してみることをお薦めする。

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タイガー1200デザートエディション 詳細写真

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1215cc水冷DOHC並列三気筒エンジンを搭載。最高出力は141馬力/9350rpm、最大トルク122Nm/7600rpm。低回転からトルクがあるが6000回転を超えたあたりからさらにパワー感が増す。扱いやすくそれでいて楽しい。エンジンの存在は大きい。
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チューブレスタイヤを使用できるワイヤースポークホイールに120/70R19サイズのタイヤを履かせる。ブレーキはブレンボ製モノブロック4ピストンキャリパーをラジアルマウント。切り替え式ABS機能も備えている。
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ヘッドライトはタイガーシリーズのアイデンティティである2灯スタイルを踏襲したフルLED。夜間走行も行ったが、照射角が広く、暗い道でもストレスなく走れる。
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スクリーンは電動で上下させることができる。作動させるための独立スイッチは持たず、左スイッチボックスにあるコントロールボタンでディスプレイの中のスクリーンコントロールを表示させて動かす。防風性能は高い。
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Arrow製サイレンサーを採用。カーボンエンドやカーボンステーでスポーティかつプレミアムな印象を受ける。音質も良く、心地の良いトリプルエンジンサウンドを奏でる。
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リアタイヤサイズは170/60R17。前後ともブロックタイヤの設定があるサイズとされている。サスペンションのトラベル量はフロント190mm、リア193mmとかなり大きい。リアのブレーキキャリパーはNissin製となっている。
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テールランプ、ウインカー共にLEDを採用する。後続車からの視認性も高い。ライセンスプレートステーやマッドガードの役割も兼ねるテールセクションには、シートを外すためのキーシリンダーも設置されている。
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フルカラー5インチTFTディスプレイを採用。下段に表示される欄を、左スイッチボックスに備わる5方向ジョイスティックで操作し、様々なコントロールを行うことができる。
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メンテナンスフリーのシャフトドライブ方式。上方にトルクロッドが備わっており、シャフトドライブ特有のテールリフトを軽減している。ツーリングユーザーにとってシャフトドライブのメリットは大きい。
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トライアンフシフトアシストが装備されており、クラッチレバーの操作をせずに、ギアチェンジをすることができる。アルミ削り出しのステップバーが備わっており、オフロード走行時などはゴムカバーを外しブーツグリップを高められる。
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限定モデルのスペシャルペイントやグラフィックが施された燃料タンク。前方には電源ソケットも備える。容量は20L。テスト時、残り走行可能量が5kmまで減った状態で給油した際、18.54Lが入った。
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ライダー側のシート高は855mmと835mmから選ぶことができる。シートの質は高く、一日中走るようなシチュエーションでも疲れにくい。適度にシェイプされているので、スタンディングポジションもしやすかった。
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ライディングモードの選択や、シートヒーターの作動、クルーズコントロールなど、多くのコントロール機能が集約されている左スイッチボックス。中でも下にセットされた5方向ジョイスティックが便利で、直感的に扱うことができた。

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