【トライアンフ タイガー1200GTプロ/GTエクスプローラー試乗記】アスファルトでの走りも安心で快適、すべてが格上げされたオールラウンダー
- 掲載日/2022年05月30日
- 取材協力/トライアンフ モーターサイクルズ ジャパン
取材・文/佐川 健太郎 写真/渡辺 昌彦
タイガー1200GTプロ / GTエクスプローラー 特徴
足まわりをオンロード向けに最適化
新型タイガー1200GTはキャストホイールを装備したオンロード向け仕様のシリーズである。従来モデルのタイガー1200XRの後継モデルとしての位置付けだ。エンジンは新開発の水冷並列3気筒1160ccで、ピークパワーは9psアップの150psを実現。新開発T-PLANEクランクの採用による不等間隔の点火サイクルを 採用している点はRallyシリーズと同様。異なるのは主に足まわりで、ショーワ製セミアクティブ・サスペンションはオンロード向けにストローク量が最適化され、フロント19/リア18インチのキャストホイールを装備。電子制御は6軸IMU(慣性計測ユニット)にバックアップされた5種類(Rallyは6種類)のライディングモードを搭載。スロットルレスポンスやABS&トラコン介入度の他、サスペンションも自動調整することで最適な走りを実現している。
また、上級モデルの「GTエクスプローラー」には大容量30Lタンクと死角を検知する「ブラインドスポットレーダーシステム」が搭載され、安全性と快適性もさらに高められている。
タイガー1200GTプロ / GTエクスプローラー 試乗インプレッション
ワイルドで滑らかなTプレーンの鼓動
オンロード向け上級モデルのGTエクスプローラーに試乗した。シート高は870mmと、このクラスとしては元々低めだが、スリムなタンクとオプションのローシートのおかげで足着きはかなり良い。エクスプローラーは特にハンドルバーが高めなので上体も楽である。 Tプレーンエンジンの不等間隔の唸りは脈動感があってワイルド。アクセルひとつで何速ギアからでも図太いトルクが巨体を押し出していく。ちょっと高めのギアで流しているときは2気筒のようなパルスが小気味よく、ストレートでアクセルを開けていくと4気筒的な伸びやかさで加速していく。従来モデルの240度クランクによる等間隔爆発の滑らかさも気持ち良かったが、新型では味わいも深くなった。
牧歌的な田舎道を抜けて比較的タイトなワインディングに入っていく。路面コンディションはセミウェットで所々に落葉ありの滑りやすい状況の中、タイガー1200GTエクスプローラーはしっかりと安定した足取りで路面を踏みしめながら駆け抜けていく。コーナー立ち上がりで強めに加速すると、すかさずメーター内のインジケーターが点滅し、トラコンの介入を知らせてくれる。「おっと、滑っていたんだ!」と気づくが、その挙動がスムーズなのでライダーには感知できないほどだ。大事をとってレインモードに。路面に応じてスイッチひとつで瞬間的にモード切り替えができるのもトライアンフの優れた点だ。
道を選ばないグレード感のある走り
ハンドリングはニュートラル。従来モデルより25kg近く軽くなったとはいえ、250kgを超える巨体だ。タイトな切り返しではさすがに手応えを感じるが、それは鈍重なものではなく安定感といっていい。30Lタンクを乗せていることを忘れてしまう自然なハンドリングだ。フロント19インチキャストホイールも軽量化されてステアリングレスポンスが機敏になり、またキャストならではのカッチリ感もあり、サスペンションもダンパーが強めに効いてストローク量がやや抑えられることでしっかり感が増すなど、まさしくオンロード向けのセッティングに仕上げられている。
また、当たりがソフトでグレード感のある乗り心地は、セミアクティブ・サスペンションが走り方や路面に応じてミリ秒単位で減衰力を調整し続けてくれるおかげかも。標準装着タイヤのメッツラー・Tourance もしっかりした接地感があり荒れたアスファルトでも安心。ちなみに以前、同じタイヤを履いた新型タイガー900で夏のゲレンデも駆け上がったことがあるが、ノーマルタイヤでも普通の林道ぐらいは平気で走れるはずだ。
コーナリングABSがあることも心強い。濡れた路面や日陰のコーナーでマシンを倒し込まなくてはならないとき、ちょっとオーバースピードでフロントブレーキを引きずりながら進入したいときなどでも安心して減速できる。もちろんムリは禁物だが、電子制御は“安全運転への御守”でもあるのだ。そういえば、新採用されたブラインド・スポット・レーダーもラッキーなことに試すことができた。狭い峠道で対向車が来たため減速した瞬間、バックミラー下側インジケーターが点滅。ふとミラーを見ると後方からもクルマが近づいていた。だいぶ距離はあったが広い範囲で死角を検知してくれる機能を確認できたことも付け加えておく。
新型タイガー1200GTは新設計Tプレーン 3気筒エンジンと大幅な軽量化、そして最新の電子制御を得てオンロードでもより気持ち良く安全な走りが楽しめるようになった。そして、長旅になるほどその有難さを実感できるはずだ。
タイガー1200GTプロ / GTエクスプローラー 詳細写真
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