VIRGIN TRIUMPH | トライアンフのタイガー900ラリープロを試乗インプレ! コイツとならばいつまでも、どこまでも 試乗インプレッション

トライアンフのタイガー900ラリープロを試乗インプレ! コイツとならばいつまでも、どこまでも

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TRIUMPH TIGER 900 RALLY PRO(2023)
長距離クルーズの快適さをしっかりと持たせつつオフロード走破性能を引き上げ、さらに日常生活のようなシーンで使っても過不足無い。タイガー900ラリープロはミドルアドベンチャーのベンチマーク的存在となった。

タイガー900シリーズのトップアスリート
つまりトライアンフで最強オフモデル

120年に及ぶトライアンフの歴史の中でも、長きに渡りラインアップに名を連ねてきたタイガー。今でこそアドベンチャーモデルとして認知されているが、元を辿れば高性能スポーツモデルに与えられた特別な称号であった。現在はタイガー660、850、900、1200と排気量で区分され、さらにタイガー900とタイガー1200は、それぞれにオンロード志向、オフロード志向のモデルが用意されている。

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今回はその中から本格的なオフロード走破性能を持たされたミドルアドベンチャーモデル、タイガー900ラリープロをピックアップし紹介する。完成度、実用度などを注視しながらテストを行い、タイガー900ラリープロを選ぶ理由、そして向いているライダーを探っていきたいと思う。

タイガー900ラリープロ 特徴

ロードレースで鍛え上げられた
極上のポテンシャルを未舗装路へ

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タイガーの系譜をしっかり振り返るとなると1950年代の単気筒モデルから書き出さなければならなく、ここでは収まり切らないほど長い話になってしまうので、ある程度近代の流れから始めたいと思う(それでも割と古い話からとなるが)。1990年にヒンクレー工場で生産を開始したトライアンフは、部品の共通化を図りつつ数種類のモデルを開発するモジュラーコンセプトを提唱。その中の一つに往年の名機であるタイガーのイニシャルも含まれていた。メリデン時代(旧経営陣でのトライアンフ)でのタイガーは高性能スポーツモデルに与えられた称号であったが、新生トライアンフでは、当時欧州で人気を博していたアルプスローダー(デュアルパーパス)モデルとして扱われた。ただデュアルパーパスと言ってもどちらかと言えばオンロードよりの仕様であり、良くも悪くもオンオフどっちつかずの位置づけとなっていたのだが、扱いやすさと上質な乗り心地から世界的なヒットモデルとなった。

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その後は、オンロードでのスポーツ性能を高めたり、大排気量モデルへとシフトしていったこともあり、空白となった隙間を埋めるべく排気量を下げたモデルを追加するなどが行われ、現在は4つの排気量に分けられている。そしてタイガー900ではオンロード志向のGT系、オフロード志向のラリー系、さらにそれぞれに、上位装備が奢られた”プロ”モデルが存在するのである。

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ここまで細分化されると、ユーザー目線としてはどれに手を出せばよいものか悩んでしまうというのが正直な気持ちであるのだが、俯瞰して見てみると、タイガー660スポーツ、タイガー850スポーツはエントリーモデルとして扱われており、タイガー1200GT/ラリーはフラッグシップアドベンチャー、タイガー900シリーズはその中間を担いながら、GTではツアラー、ラリーはオフローダーとしての走りと使い勝手を磨き上げられ、素の状態で自分好みに仕立てるスタンダードモデルと、最初から必要以上の装備を纏ったプロモデルというように区別することができる。

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特にポイントとなるオフロード走破性能を注視すると、排気量が大きいモデルはコントロール性能がスポイルされることも多く、オフロード走行を楽しむことを主に考えてあえて中間排気量のモデルに手を出すライダーは多い。それではタイガー900ラリープロに触れてみよう。

タイガー900ラリープロ 試乗インプレッション

これ以上の排気量を求める意味は
もはや無いとも言えるバランスの良さ

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テスト車両を借用するファクトリーには数台のタイガーが置かれていた。タイガー660スポーツは、柔らかみのあるデザインとコンパクトにまとめられたボディーワークでそれだとすぐに分かるのだが、肝心のタイガー900ラリープロは、タイガー1200系の中に完全に溶け込んでいる。エッジの立ったボディラインや古くからアイデンティティとなっていた二眼ヘッドライトをアレンジした顔つき、そして立派な体躯。まあタイガー1200があるからそれよりも”小さい”と無意識的に思ってしまっているだけで、1000cc近くの排気量を持つアドベンチャーバイクだと考えると、大きくて当たり前のことではある。

その大きさを見てから、トライアンフジャパンのマーケティングスタッフを務める安井さんにシート高を訊ねると、タイガー900ラリープロは860~880mmで調整することができ、現在は低い方でセットしているということ。ただ跨ってみると、豊かなストローク量を持つサスペンションのおかげで、足つき性に関してはさほど気にならない。

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エンジンを始動し走り出す。世界最高峰ロードレースの一つであるMoto2のエンジン供給サプライヤーとなってから、トリプルエンジンはより精度が上がり、濃密な回転上昇を楽しめるようになっていると感じる。タイガー900ラリープロが登場した2020年にもテストライドを行っているのだが、その時と比べてもエンジンフィーリングやシフトアシスト機構のアップダウン入力の感触などが良くなっており、アナウンスこそされていないものの、中身は熟成しているものと思える。特にスロットル全閉からちょい開けした時の”ツキ”が自然なのが心地よい。

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しなやかに動く足まわりは、市街地やハイウェイでも快適な走りをもたらしてくれる。リアサスペンションの縮まり加減と、フロントフォークの伸びが高い次元でバランスしているので、スロットルをワイドオープンさせてもフロントの接地感を見失うことが無い。

これは舗装路ではもちろんセーフティマージンが得られるだけでなく、未舗装路に持ち込んだ時に威力を発揮してくれた。フロントタイヤはいつも逃げることなくリアタイヤはしっかりとトラクションを稼ぐ動きをしてくれる。これはフレーム、足まわり、ライディングポジション、そしてエンジンというすべての基本構成機関の調律が保たれていることに他ならない。

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4000~6000回転でのトルクの出方が気持ちよく、クルーズしてもスポーツライディングも楽しい。フロントの21インチタイヤは、ロードバイクと比べてタイヤ一つ分外を回る感じだがサスペンションの働きが良く、嫌な印象は無い。なお、タイガー900ラリープロと、タイガー900ラリーの装備の違いは、ライディングモードの多さ、シフトアシスト、シートヒーター、空気圧モニタリング、アプリ連動システムなどとなっており、新車での価格差は20万円。この2台の選択は悩みどころ。

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一方でタイガー1200ラリープロとタイガー900ラリープロで比べるとなると……。実は今回兄弟比較をしてみたいと思っていたのだが、姿かたちこそ似ているものの、やはり中身の違いは大きく、もし私がオフロード走行好きであったり、毎日都市部に通うのにも使うようならば少しでも軽く両者を比べた際に取り回しの良いタイガー900ラリープロを選ぶし、週末のロングツーリング専用マシンとするならば、より余裕を持ちリエゾン区間で快適な走りを得られるタイガー1200ラリープロを選ぶ(60万円以上の価格差も考えなければならない)。

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そうそう。タイガー900系にはバハ・アラゴンラリー優勝を記念した特別仕様限定モデル、タイガー900ラリーアラゴンエディションが今夏発表されている。買うならこれか!?

タイガー900ラリープロ 詳細写真

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2020年にニューモデルとして登場した現在のタイガー900シリーズには、新開発の888cc並列3気筒エンジンが搭載されている。不等間隔爆発としたことで、トラクションをより得られるようにしたうえ、ピークパワー、トルクも引き上げられている。
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プリロード、リバウンド、コンプレッションを調整できるショーワ製倒立フォークに、90/90-21サイズのタイヤをセット。オフロード走行を考えた足まわりであり、ストローク量も240mmと大きい。ブレーキはブレンボ製モノブロックキャリパーが奢られる。
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ワンピースケースでありながらも2眼ヘッドライトのアイデンティティ的要素を打ち出しているフロントマスク。クチバシ(アップフェンダー)のデザインやサイドのアルミパネルなどの質感も高く、所有欲を満たしてくれる。
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7インチTFT液晶ディスプレイは様々な車両状態をインフォメーションしてくれる。タイガー900ラリープロはスマートフォンアプリとの連動機能がより高度に可能とされている上、ディスプレイ上部にはタイヤ空気圧モニタリングが表示され便利。
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ハンドルバーは良くも悪くも幅が広め。というのもオフロード走行での自由度を高める狙いは分かるものの、小柄な体格だと持て余しそうだからである。スイッチ類の操作感は良く、グリップヒーターの装備もありがたい。
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フロントウインドスクリーンは工具不要で手動で上げ下げすることができる(以前は工具が必要だったような?)。高さは5段階から選べるので、シチュエーションに合わせて調整すると良いだろう。
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アップマフラーから奏でられるトリプルエンジンのサウンドは心地良い。ターンシグナル、テールライトはすべてLEDで、どちらも割と高い位置にセットされており、後方からの視認性も良い。
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リアタイヤサイズは15/70R17で、前後タイヤのバランスが良い上にストック採用されているブリヂストンとの相性も抜群。オンロードではタイヤの端まで使える。クロススポークホイールなのでチューブレスタイヤでOK。
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シートはライダーとパッセンジャーでセパレートされている。ライダー側はシート裏側の金具位置を変更することで、860、880mmの高さを選べる。タイガー900ラリープロにはシートヒーターも装備されている。
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タイガー900ラリープロに標準装備されているトライアンフシフトアシストは、クラッチ操作不要でシフトアップ/ダウンどちらも行うことができる。入力のタッチや、シフトチェンジの入り具合も良い。
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シッティングでもスタンディングでも車体をしっかりと操作できるようにデザインされた燃料タンクからシートへのライン。燃料タンク容量は20リットル。サンドストーム(196万5000円)、マットカーキ(198万円)、ピュアホワイト(193万5000円)の3色展開。
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リアサスペンションはショーワ製のモノショックをリンクを介してセットしている。プリロード、リバウンドの調整機構を備えている。ストローク量は230mm。動きが良く路面やタイヤの状況が良く伝わってくる。
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シート下にはUSB電源ソケットを備えたユーティリティボックスや、車載工具が収められている。スマートフォンをはじめとしたガジェット類の充電などに使えるので便利だ。

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