サンディエゴ・ツーリング(2日目) サンダーバード LT
- 掲載日/2014年03月18日
- 取材・撮影・文/西野鉄兵、トライアンフ モーターサイクルズ ジャパン
コーディネート/トライアンフ モーターサイクルズ ジャパン
ホテルの前に止められたサンダーバードコマンダーLT。一日につき、3、4カ国のジャーナリストが集まった。日本チームはイギリスとスウェーデンとスペインのチームと同じ日程。日本からは筆者を含め、4名の参加となった。
大陸ならではの荒野を、ツーリング性能の高いLTで走る。
さらに、トライアンフによる数々の「おもてなし」もご紹介!
西海岸からわずか一時間半を走ったところに広がっていた荒野「ボレゴ・スプリングス」。むき出しの岩肌は大陸を感じさせる。そこへ至る道はアールのきついワインディングや、波打つジェットコースターロード、フェニックスが立ち並ぶ南国の一直線道など変化に富んだものだった。
さらに、このプレス試乗会のためトライアンフが用意した「おもてなし」の数々もご紹介。トライアンフ公式のカスタム展示車両「ブリティッシュ・カスタム」の数々もぜひご覧あれ!
フォトTOPICS(写真点数/59枚)
01西海岸から30分ほど離れたホテルは自然豊かな地域。それも30分ほど走ると、いつの間にか荒野に変わる。森の植物に統一感はなく、雑然とした雰囲気が印象的。この地で幹が太く、背が高くなる木はフェニックスのような南国系の植物ばかり。
02コーナーが迫ってくると速度表示が現れる。「30MPH」は「30マイル毎時」の表示で、約48kmの制限。アメリカでは制限速度の表示が出ると、街中では徹底して表示にしたがう風習がある。だから映画のように街中を猛スピードで走る車は見かけない。
03森の中のコーナーをいくつかパスしたら、とたんに色彩の薄い景色が広がりはじめた。日本のツーリング経験だけでは予測できない風景の移り変わり。木製の電柱が色彩の薄い景色にアクセントをもたらす。センターラインのイエローもよく目立つ。
04昨日に続き、30分ほど走りジュリアンという町でコーヒータイム。ここはアップルパイが有名らしい。テイクアウトの客が多く、まだ全然走っていないので、軽く休憩かと思ったら小一時間もここにいた。ツーリングの感覚はやはり欧米人とは異なる。
05冷たい飲み物の定番はルートビア(冷蔵庫の中段にある黒いビン)。中身は黒ビールのような見た目だが、アルコールは含んでいない。味はビールとはまるで違い、甘ったるいソーダ風なものが多い。ハマる人とハマらない人の差が激しい飲み物だと思う。
06簡単なドーナツを頼んだ。ひとつで充分と思ってしまう甘さと油加減。間食でこんなものばかり食べているのか、と思うとすれ違うおばちゃんの体型にも納得できた。
07ここジュリアン・パイ・カンパニーでもさまざまなオリジナルアイテムが販売されていた。アメリカらしいデザインと配色がグー! アップルパイが有名だというのは後ほど知ったので、食べなかった。残念……!
08イギリスチームの人たち。タウンユースできるようなカジュアルな格好のライダーが多かった。ただプロテクターに対する意識は強いよう。日本には入ってこないブランドなどもあるので、チェックするのは面白い。
09カフェを出ると再び草地。牧場も多いエリアのようだった。田舎道での巡航速度は90km程度。つねに日本の高速道路を走っている感覚なので、簡単に距離を稼げる。信号が何百キロも見当たらない道が延びている。
10さきほどまでの草地から一山越えれば、雄大な荒野が広がっていた。建物のない道がどこまでも続いている。この荒野の所有者なんて、いないんじゃないかと思ってしまう。相変わらず色彩の薄い風景だ。
11山が近づいてくると、上っては下りまた上っては下る波打ったジェットコースターのような道があらわれた。上りは空が広く、次の下りに広がっている光景が気になる。空は冬とは思えないほど青かった。
12ジェットコースターロードの最後の下り道。眼下には浅い色をした大地が広がっていた。この直線を走り終えたら、ワインディングに突入する、そんな予感がするアップダウン。山のわき腹を走っている。
13ジェットコースターロードの後、山側に切れ込むと、やはりワインディングが始まった。ときおり現れる山をパスするため、道は無理やり切り開かれてきた。からっからの岩間からサボテンの仲間のような植物が顔を出す。
14ワインディングに入ると、道幅はぐっと狭くなった。ときにはコンボイなど大型トレーラーとすれ違うこともある。サンダーバードLTのスクリーンのなかで縮こまり、確実に訪れる風圧をやり過ごす。
15色彩の薄い山肌と透き通った青空が見事なコントラストを描いていた。またひとつ次の景色が気になるタイトなカーブをパスしていく。対向はけっこうな絶壁だというのに申し訳程度の高さのガードレールがこの国らしい。
16山を越えると、再び荒野を感じさせる道に。海から離れるにつれ、大陸の顔はより強いものになっていく。砂も舞い始め、オープンフェイス・ヘルメットではなかなか苦しい。ただLTにはスクリーンがついているのでありがたかった。
17数キロぶりに人の気配を感じる道に出た。道の左側はキャンピングカーが停泊するキャンプ場になっているようだった。食料はあらかじめ街で大量に買い込んでこないと、周辺には何もない。
18背の高いフェニックスが立ち並ぶロングストレート。すっかり地面はさらさらの砂地に変わっていた。フェニックスの内側にはホテルがあるらしく、砂漠のオアシスのような雰囲気だった。
19からからの砂地に立つ南国風な植物。意外と種類があって驚く。こんな環境でも20m程度まで成長している木々もある。サンディエゴ周辺には換気と雨季があり、夏場はまったくといっていいほど雨が降らないらしい。
20フェニックスの並木道を抜けて振り返ると乾燥地帯に延びる一直線。木々は枯れ果てていた。2月は1月についで降雨量が多いはずなのだが、完全に乾ききった風景だ。ジャケットを脱いでTシャツで走りたくなる暑さだった。
21荒野はやがて砂漠となった。道路にも砂が浮き始める。バイクだと路肩に入りたくない環境だ。サンダーバードLTの大型スクリーンはいよいよ本領発揮。かがみながら走れば無数の砂粒もそれほど気にならなかった。
22荒野であり、砂漠ともいえるであろうカリフォルニア州の「ボレゴ・スプリングス」をゆく。道路の幅が太くなり、土地が広大になるほど、サンダーバードLTの1699cc&6速ギアのありがたみを感じる。
23砂が舞い飛ぶエリアでは、大きなスクリーンが効果テキメン。いくらでもアクセルを開けたくなる。軽快なスピードで飛ばしていると、メーターを見て「こんなに出ていたのか!」と驚いてしまう。日本とは主に使うスピード域はだいぶ違う。
24果てしなく続く荒野をロードレーサー(自転車)で走る冒険者もちらほらいた。この国では数十キロも走っても飲み物ひとつ手に入らない場合もざら。道を把握してプランニングをしっかりたてないと、かなりリスキーだ。
25走行写真の撮影のため、支持を出すトライアンフ・スタッフの方々。後ろ姿といえど、外国人さんはこういう場所がやっぱり絵になります。ちなみに左のジェフさんが前に停めてあるスピードマスター(865cc)で先導してくれた。直線ではなかなか大変そうだった。
26こういう道にはツーリング装備満載のサンダーバードLTがよく似合う。このバイクにはオプションのハイウェイペグもついていて、快適そのものだった。シフトチェンジを忘れてしまうような道。
27カリフォルニア州の荒野、ボレゴ・スプリングスでワイルドなランチタイム。移動販売ができるおしゃれなバンからハンバーガーセットを受け取る。トライアンフがこの試乗会のために用意したもので貸切だった。
28ハンバーガーを頼むと当然のようにポテトがついてくるのがアメリカ式。分厚いパティも肉を食べている感じが強くて、やみつきになる。ぎゅっと両手で口に入る厚さに押しつぶして、かぶりつく一口目は幸せそのものだった。
29ランチを食べた場所はキャンピングカーがやってくるキャンプ場だった。日本では見かけないバスのように長いモデルも人気のようだ。これを普通の四人家族とかで使っているんだから、ここに来ている人は相当裕福なはず。
30キャンピングトレーラーを引いてキャンプ場へやってきて、日中はクルマでどこかに出かける人が多いらしい。うらやましい休日の過ごし方だ。ロックウッドというメーカーの「ULTRA LITE」という車種のようだが、何がライトなのか分からない。
31キャンプ場内にあったプール。さすがに冬なので利用者はいなかった。夏はプールサイドでみんなサングラスをかけて、カクテルでも飲むのだろう。理想的なバケーションの過ごし方だ。
32キャンピングカーが集まるキャンプ場内を何周もしていたちびっ子レーサー。小さい電動バイクを持ってきているファミリーも多かった。電動バイクは、運ぶのもラクだし、屋外のおもちゃとしては最適かもしれない。
33キャンプ場の前にあった道の光景。木々がないため山の輪郭がくっきりとしていて、迫力がある。ここはワインディングに入る手前の最後の直線。山に突き当たったら、それを越えるためのコーナーが連続する道に変貌する。
34振り返れば直線が砂漠へ延びるように続いていた。旅人はここから先はしばらく荒野を走ることになる。飲み物を調達したり、食事をするため、多くの人が出入りしていた。ここもひとつのオアシスなのだ。
35先導のアメリカ人が止まり、「ここからの眺めがすごいんだ」と言った。峠の路肩にサンダーバードLTを止めて、道を渡る。山の夕暮れは早い。でも日差しが強いため、日陰と日向で明暗の差は日本よりも激しかった。
36道路を渡り、峠の途中から荒野を見下ろした。果てしなく続く同色の景色。ここがアメリカ合衆国カリフォルニア州の荒野ボレゴ・スプリングス。驚きなのはこれでも西海岸からわずか120km程度ということ。
37強い午後の日差しを受けながら、ホテルへの帰路をたどる。目の荒いアスファルトも雰囲気がある。まるでサーキットのような感じで、タイヤががっちりと地面を噛む感じがした。その分、タイヤの磨り減りは早そうだ。
38帰りがけに給油する。屋根のないガソリンスタンドはアメリカらしくていい感じ。アメリカではガソリンはセルフが基本。クレジットカード払いは簡単なのだが、現金でやろうと思うとなかなか難しい。スタンドによってやりかたも違うので、けっこう困惑する。
39ホテルに戻る直前は外国チームと、偶然合流して、20台ぐらいのマスツーリングになった。1699ccのバイクが集まると迫力がある。手を振ってくるドライバーも多かった。これでツーリングは終わる。どの国のライダーも満足そうな顔をしていた。
40先導をしてくれた地元サンディエゴのアメリカ人アダムさんと記念撮影をした。アダムさんは2294ccのロケットスリーを中型バイクのように扱っていた。アメリカ海兵だったことがあるらしく沖縄でも2年間働いていたとのこと。
41日本では現行ラインナップから落ちてしまったロケットスリー。2294ccの3気筒エンジンを積んだ、世界中でも類を見ない個性を持つビッグクルーザーだ。この渋いマットブラックは欧米ではとくに人気のカラー。
42夕食を兼ねたナイト・セレモニーではボンネビル・スピードウェイに出場したトライアンフ製のマシンが登場。ボディはオールカーボン! それでも1,000kg以上あり、その大半はエンジン部分が占めている。
43ボンネビル・スピードウェイに出場したマシンのエンジン部分。エンジンはなんとモーターサイクルのロケットスリーをベースとしたものをふたつ積んでいた。どんな加速を生み出すのか一度でいいから体感してみたい。
44ボンネビル・スピードウェイで記録を作った昔のロケットカーも展示されていた。オールドチャンプらしい風格がある。こんなミサイルのようなボディで700kmとか出すのだから、想像を絶する世界だ。
45ホテルのロビーに今回発表されたサンダーバードLTのタンデム写真ができあがるパズルがばらされて置かれていた。3日間滞在して、ロビーを通るたびにチェックしていたが、ふちの数ピースが作られただけだった。
46アメリカではビールが安かった。700ml程度の大きい缶で約200円。ハイネケンやコロナといった日本でも有名な銘柄もこの程度の価格なので、ビール好きにはたまらない。ただ一本が大きすぎて、味比べをするのが大変だ。
47筆者が一番気に入って飲んでいたのはストーンという銘柄の黒ビール。深みのある味わいで、ちびちび飲むのに向いていた。ただ帰国後、アメリカから輸入できないかと思って調べたらベルギービールだったと知った。
48ガムを噛みながら走るのが好きだ。アメリカ圏では「デンティーン」がどこでも売られている。スーッとするタイプだが、日本のものと比べると薬のような味がする。また味の続き具合もクロレッツやフィッツには到底かなわない。
49バーで盛り上がった「シャッフルボード」。カーリングのように石を滑らせ落としあう屋内スポーツだ。ダーツやビリヤードより簡単で気軽に楽しめる。あれば日本でも流行りそうだが、サイズが少々大きいのが難点か。
50シャッフルボードには種類があるようだが、ここにあったのは板のギリギリに置いたほうが勝ちというもの。もっとも際に置けば3点入る。ちょうどソチオリンピックの時期だったので、カーリング熱もあってか客はこぞってプレーしていた。
51ホテルの朝食。カリカリのベーコンは違和感があるものの、慣れてくればビーフジャーキーのような感覚で食べられる。塩気が強く、イメージどおり大味のものが多かった。ポテトは何を頼んでも付いてくる。
52こちらもホテルの朝食。日本でも最近ブームがきつつあるらしいエッグベネディクト。ふわりと仕上げた甘い玉子が特徴でそれをハムとともにマフィンに乗せていただく。朝食やブランチで食されることが多いようだ。
53ホテルの通路に展示されていたトライアンフのカスタム車両。このマシンは「レディバード」と名づけられていて、完全にワンオフであろうかわいいペイントが施されている。車両はサンダーバードをベースにしている。
54こちらはサンダーバード ストームをベースにホッパー風に仕上げたカスタム車両。メーカーが率先してこんなカスタムどうですか? と提案しているのが外国的だ。マットブラックのボディと赤茶のレザーシートで高級感があふれている。
55865ccのスピードマスターをベースに、かつてのトロフィーを髣髴させるビンテージ風に仕上げたカスタム車両。このテイストで量販したら、かなり売れそうな気が……。ブリティッシュカスタムを表す「BC」の文字がタンクにあしらわれている。
56ひときわ脚光を浴びていたのが、「サンダーバードストーム カフェレーサー」。クルーザーモデルをここまで変えてしまう思い切りの良さ。まるで原型をとどめていない。実際に走ったらどんな感じなのだか気になる。
57これらのカスタムはトライアンフが提案する「ブリティッシュカスタム」(BC)の一部だ。もっと見たいという方は 本国のサイト へどうぞ! 自分のバイクのカスタムの方向性の参考にもなるはず。
58サンディエゴの空港にて。小さな空港でコンビニのような売り場がひとつあるだけだった。ビビッとなカラーで主張しあうお菓子の数々。単なるパッケージでもかっこいいと思ってしまうのは日本人だからだろうか。
59サンディエゴからロサンゼルスまで40分の空の旅だった。乗ったのはかわいらしいサイズのプロペラジェット。この区間は車でも2時間ほどなので、実際にツーリングをされる際はロサンゼルスでバイクをレンタルするのも手だ。
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