タイガー800XCx 長期インプレ vol.02【高速道路&ワインディング編】
- 掲載日/2015年03月25日
- 取材・文/西野 鉄兵(『アウトライダー』編集部)
タイガー800XCxでいざツーリングへ
通勤で市街地を10日間ほど走り、いよいよツーリングへ出かけてみた。ルートは中央道を走って相模湖東インターチェンジで降り、国道413号『道志みち』のワインディングを楽しむというもの。今回は高速道路とワインディングでの走行性能をインプレッションします!
排気量800ccの3気筒エンジン&6速ミッションのゆとり
東京の下道では、普通に走るとギアは3速がメインで、長めの直線でやっと4速に入れるくらいだったが、高速道路でその真価を体感できた。
中速・高速での加速感がすばらしく、追い越し車線を快走している状態からでも、アクセルをひねれば、まだまだ力強くスピードが上がる。中央道でのギアは4?5速をメインに使用した。「まだ6速が残っている」という“ゆとり”は、長距離を高速道路で移動するときの精神的余裕につながる。
エンジンは、DOHC・4ストローク・800cc・3気筒。
大型バイクではミドルクラスになるのだが、高速道路の走行時は、まるで1,000ccクラスのような余裕がある。この3気筒は、2気筒よりも軽やかな加速を実現し、4気筒よりも重みのある鼓動感や粘り強さを体感できる絶妙なものだった。
タイガー800XCxにはクルーズコントロールも標準搭載されている。走行中に右手でイグニッションスターター横のスイッチを押し込み、その上にあるSETボタンを押すと、その瞬間の速度で、アクセルをひねることなく走り続ける。速度を変えたいときはSETボタンを兼ねるマイナスボタンとその上のプラスボタンで調整。ひと押しで、1km/hずつ前後する。
クルーズコントロールの解除は、スイッチをオフにしなくても、アクセルを前方へ戻すかブレーキ、クラッチを利かせるだけでOKなので、非常に安心だ。もちろんググッと加速したいときはそのままアクセルをひねれば、通常通りにスピードアップする。
ひらひらと走る見た目と裏腹な軽やかさ
高速道路で、充分すぎるほどのパワーとハイスピードでの直進安定性を実感し、続いてワインディングへ。
国道413号『道志みち』は、ゆるめのコーナーとタイトコーナーが連続し、山中湖へ向けて徐々に標高を上げていく、ツーリングライダーに人気の道だ。
アドベンチャーモデルで重心が高いこともあり、ゆるめのコーナーはほんの少し身体を傾けただけで、直線を走っているのと変わらない具合に曲がっていった。そしてタイトなカーブはちょっと苦手なのかと思いきや、アップライトなポジションで視界が広く、安心感たっぷりでクイックに曲がることができた。
見た目の印象よりもひらひらと軽やかで、まるでモタードマシンのような感覚に驚きを覚える。ライディングに集中してバイクを寝かし込んで走るというよりは、景色を見る余裕を持ちながら、スイスイとコーナーをパスしていくマシンだ。それでもそんな調子で走っていると、ふとメーターを見たとき「こんなにスピード出ているんだ!」と思い、減速することがたびたびあった。
走行モード設定でもっともっとおもしろくなる
タイガー800XCxの大きな魅力のひとつが電子制御システムによる走行モード設定だ。メーター左のモードスイッチを押すことで、ロード、オフロード、ライダーの3つから選択できる。とくに、ライダーモードを使いこなしたとき、このマシンの真髄を体感するだろう。
ライダーモードはスロットルマッピング、トラクションコントロール、ABSを自由に任意設定できるというもの。
とくにオンロードを走る場合、スロットルマッピングの設定により、走りが別物になることを実感した。スロットルマッピングは4種類あり、ロード、オフロード、レイン、スポーツとなる。レインは雨天などのウエットな路面でも走りやすいよう、優しいレスポンスとなる。逆にスポーツはアグレッシブな走行をしたいときにおすすめ、というものだ。
このスポーツ設定が強烈で、それ以外で走っていたときと比べると、違うバイクになったのかと思うほどレスポンスが向上し、トルクが倍増しているような印象を受ける。走りに集中して峠を攻めたいときなどは“もう最高!”なのだ。でもスタートの発進力も増幅するので、街中や渋滞時では避けたほうがよさそう。あと、燃費はかなり犠牲にしていると思う。ちなみに今回の高速道路&ワインディング走行での燃費は20km/L前後だった。
だから販売店の店頭で試乗する際は、スロットルマッピングのロードとスポーツの2つの設定を試してみるのがおすすめです。