タイガー800XCx 長期インプレ vol.05【日帰り1,000kmチャレンジ!! 前編】
- 掲載日/2015年05月25日
- 取材・文/西野 鉄兵(『アウトライダー』編集部) 機材協力/タジマモーターコーポレーション(GoPro)
1,000kmツーリングに挑戦
一度やってみたいことがあった。それは、1日に1,000kmを走るツーリング。「タイガー800XCxならいけるんじゃないか」と、そう思い、実行に移したのだった。
神奈川県の江ノ島をスタート地点とし、目指すは『太陽の塔』で有名な大阪府の万博記念公園。そして再び江ノ島へ戻ってくるという行程に決めた。
地元『江ノ島』を出発
僕の実家は、江ノ島のある神奈川県藤沢市。西に行く旅はいつだってここからスタートしていたので、今回もここを起点にしようと思ったのだ。久しぶりに母の作る朝食を多めに食べたのち、実家を出て江ノ島を6時に出発した。
海沿いの国道134号線を西へ向かう。この道は、地元では『イチサンヨン』の愛称で親しまれている。観光客やサーファーなどで日中は交通量が多いのだが、週末の朝方は快適だ。ただ、ネズミ捕りの多い道でも知られる。タイガー800XCxは気づくと予想以上のスピードが出てしまっていることがあるので、右手はかなり我慢を強いられた。
できたばかりの圏央道から高速道路にエントリー
2015年3月8日に圏央道の海老名JCTから寒川北IC間が開通した。寒川北から南は、茅ヶ崎JCTを経て、新湘南バイパスで茅ヶ崎海岸ICまでつながる。海岸付近からすぐ高速道路に乗って、東名高速に出られるのは、このあたりの住民には非常にありがたい。旅のルートが大きく変わったのだ。僕も実家にいたころは、厚木ICまでつまらない下道を北上するのがなんだか腑に落ちず、気持ちのいい海岸線を選び、箱根を越えて、御殿場ICから西を目指すというかなり遠回りなルートを選択していた。
できたばかりの道路の路面は、傷ひとつなくサーキットを走っているかのような心地よさだ。まだ朝の7時前で交通量も少なく、これはいい道だと確信する。タイガー800XCxは順調に距離を稼いでいった。
長い長い静岡&寒い寒い3月中旬の高速走行
東名の鮎沢PA、続いて新東名の清水PA(NEOPASA清水)で休憩した。ここまで約2時間、120km。こんなに早く2回も止まるつもりはなかったけれど、思っていた以上に寒かった。鮎沢でグローブを“極寒仕様”に替え、清水でオーパーパンツを穿いた。
日帰りではあるが、この旅は長い。このようにプラスして装着できるウェア類を持っていたため、リアバッグは容量33Lのものを積んできた。
静岡県の東西に長い形状は、大阪方面への道のりの長さを痛感させる。毎度のことなのになかなか慣れない。いつまで経っても静岡だ。それでも新東名の開通後はだいぶ楽になった。直線的で路面が綺麗なため、周りのクルマの巡航速度も速い。
掛川のあたりで、ハヤブサとドゥカティと僕のタイガー800XCxの3台でハイスピードバトルのような展開になった。これもこの道の醍醐味のひとつと思っているライダーは少なくなさそうだが、気づくととんでもない速度がメーターに表示されていたので、途中棄権した。
ただ、そんなハイスピードでも怖さを感じさせず、安定感のある我が相棒はやっぱり優秀だ。欧州の国境を次々と越えていくクロスオーバーバイクとしての真価を見た気がした。
愛知県に入って最初の給油で航続可能距離を知る
ここまでの燃費は、約22km/L(ハイオクガソリン)。一般道で計ったときには約20km/Lだったので、1割ほど良くなっている。排気量800ccクラスのバイクでは、普通よりは良好なほうと言えそうだ。燃料タンク容量が20Lなので、400km程度を無給油で走り続けられるのもロングツーリングでは頼もしい。
ちなみにメーターには残りの航続可能距離を表示する機能も搭載されている。今回のように高速道路を走り続けるツーリングでは、特にうれしい機能だ。
疲れの少なさの要因のひとつには、スクリーンも大きく貢献している。標準装備のこのスクリーンはそれほど巨大なわけではないが、高速で走っていると普通の姿勢でもヘルメットに風があまり当たっていないのがわかった。スクリーンが受け流した風が壁の役割を果たし、ヘルメットに直撃する風を大幅にブロックしてくれているようだ。
後編へ続く。