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タイガー800XCx 長期インプレ vol.06【日帰り1,000kmチャレンジ!! 後編】

スロットルマップ『RAIN』モードを試す

タイガー800XCxの画像

伊勢湾岸道の刈谷PAで給油した際、スマホで天気予報をチェックした。出発前の予報どおり、ここから先は雨が降るようだ。任意で変更可能なスロットルマップのモードを雨天推奨の『RAIN』に切り替え、カッパを着て出発した。

名古屋南ICを過ぎ、名古屋港周辺の海景色が美しいところで案の定、雨が降り出してきた。スロットルマップを変更しておいてよかった。タイガー800XCxは、アクセルレスポンスが良いマシンだ。ガバッと開けたとき、路面が濡れていると滑りそうで怖い。しかし、この『RAIN』モードなら加速が穏やかになり、濡れ始めの路面でも安心して走ることができた。

伊勢湾岸道が三重県の四日市JCTで東名阪道へと合流すると、新名神につながる亀山JCTまで約25kmの断続的な渋滞にあう。この渋滞は宿命的なもので、いつもハマる。どうにか解決してほしいものだ。

しかも雨が降りしきり、足を着いたり離したりということにちょっとした怖さを感じた。タイガー800XCxは、ロー設定状態でもシート高が840mmあり、身長175cmで短足の僕は両足を着けようと思うと足の指部分までしか着かない。

それでも路肩を走るズルはせず、我慢してここを耐え、新名神に入って再び快走ロードとなった。大阪まで約100km、雨の中を無心で走った。ただ、さすがにお尻が痛くなってきている。

大阪に到着して折り返しの旅が始まる

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大阪に到着すると雨は上がり、気温も上がって春の陽気になった。時刻は14時。休憩を含めて約8時間。予定よりも東名阪道の渋滞の分だけ遅れてしまったが、まだ今日中に帰れるだろう。

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万博記念公園のそばで、実家での朝食以来となる食事をとった。たこ焼きと薄味のうどんを食べると大阪に来たことを実感する。到着したときは、雨を受け、渋滞にもハマッたこともあって、けっこう疲れていたが、昼飯を食べたら回復した。

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万博記念公園には太陽の塔だけあるのではなく、とてつもなく広い。ちょうど梅の時期でもあり、敷地内にある梅園には人がごった返していた。

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太陽の塔は、実際に見るとテレビなどで見た印象よりも巨大に感じる。これは裏面。初めて見たときはびっくりした。なんだか怖い。

帰り道はルートを変更

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行きの距離は490.6kmだった。じつは降りるインターを間違えて10kmほど無駄に走っている。でも490kmのうちの10kmはそれほど気にならない。ただ、時間は限られている。大阪での滞在時間は1時間とし、再び高速道路に乗って江ノ島を目指す。

半分まで来たという達成感もあり、疲れは予想以上に感じていない。帰り道は、行きの最短ルートを使わずに名神高速を走ってみることにした。

彦根などの琵琶湖の東側を北上し、関が原で岐阜県に入る。往路では通らなかった県だ。日が傾き始めるにつれ、お尻の痛みが際立ってきた。ずっと膝を曲げているのも、600kmを走るとしんどくなってくる。ときどきスタンディングをして気分を紛らわせた。

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膝のだるさは、シートをハイ設定に変更すれば、かなり軽減できる(シート高840mmが860mmになる)。シートを外してアジャスターの位置を変えるだけなので簡単だ。

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シートの硬さはさすがに調整できない。ロングツーリングを楽しむなら、オプションの『コンフォートライダーシート』(税込み38,880円)がよさそうだ。お尻の痛みには個人差があると思うけれど、僕が気になり出したのは、走行距離400km&乗車6時間を越えたあたりから。車両を購入された際には、同時にシートも購入するのではなく、一度ノーマルを試した後に判断することをおすすめしたい。

二度目の給油では燃費が向上していた

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大阪を出て約2時間、トータルで650km近くを走った。名神高速の養老SAでニ度目の給油を行なう。燃費は、約24km/L。1回目の給油よりリッターあたりで2km/Lも向上した。行きは新東名でのハイスピードバトルもあって、飛ばしたのが良くなかったのかもしれない。

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ここで右手が疲れてきたのを感じたので、このマシンの魅力のひとつであるクルーズコントロールを多用し始めた。クルーズコントロールは、すべて右手の操作で行なう。スロットルをひねることなく走り続ける機能は、こういった長距離ツーリングでは非常にありがたい。使い方の詳細は、この長期インプレのvol.02【高速道路&ワインディング編】をチェックしてほしい。

長い静岡のオアシス的SAへ

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養老SAを出た後、止まることなく東名高速、静岡県の牧之原SAまで走り続けた。ここはアウトライダースタッフお気に入りのSA。メインのフードコーナーとは別に、トラック駐車場に小さな食堂がある。

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なんとここでは定食を頼むと、ご飯と豚汁のおかわりが自由なのだ。ここがあるから、最短ルートの新東名高速を使わず、あえて東名で戻ってきたというわけ。シャワールームやコインランドリーもあり、トラックドライバーに愛されるSAなのだ。

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僕は月替わり定食(ジャンボメンチカツとからあげ)を注文した。これでご飯と豚汁のおかわり自由で800円! SA・PAでの食事はどこもお値段が高めだが、ここのコストパフォーマンスは別格だ。だから空腹を堪え、走り続けた。20時30分、大阪でのたこ焼き&うどん以来の食事となる。

たった1日なのに懐かしい地元

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牧之原SAでおばちゃんたちの愛情たっぷりのメンチと豚汁を食べ、ラストスパートをかける。そこから200kmほど走り続け、ようやく江ノ島が見えてきた。僕の家も近い。出発した場所と同じところで写真を撮る。このとき、23時30分。ぎりぎり日付をまたぐことなく帰って来られた。

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江ノ島でトリップメーターを確認する。1,000.8km。最短ルートを使わなかった分、ちょうど1,000kmとなり、感動を覚えた。

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実家に帰ると、朝ごはんを作ってくれた母が起きて待っていてくれた。何事もなく帰って来られたので、記念にシャッターを押してもらった。

正直なことを言えば、実際に走り出す前は「無理そうだったら、どこかに泊まればいいか」とも思っていた。しかし、意外なほどにスムーズに旅は進んでいった。それはマシンの力によるものにほかならない。僕の愛車は、タイガー800XCxと同じトライアンフのボンネビルT100だが、それではかなりキツイだろうし、いままでやってみようと思ったこともない。

バイクが変わればツーリングは大きく変わる。そんなことを体感し、タイガー800XCxのクロスオーバー的な魅力を堪能できた旅だった。

プロフィール
西野 鉄兵
ツーリングマガジン『アウトライダー』編集部のデスク。大学生だった2007年にアルバイトで飛び込んで以来、長きにわたって雑誌やWEBの編集に携わっている。バイクの使い方はもっぱらツーリングで、全都道府県と海外数カ国での走行経験あり。普段の愛車は、2005年式のトライアンフ ボンネビルT100。

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