タイガー800XCx 長期インプレ vol.09【ライディングモードと高性能サスペンション】
- 掲載日/2015年08月26日
- 取材・文/西野 鉄兵(『アウトライダー』編集部) 機材協力/タジマモーターコーポレーション(GoPro)
ライディングモードの設定で走りが変わる
『ライディングモード』とは、走行シーンに合わせたセッティングをコンピューター制御によって行うもの。メーカーによっては走行モードと呼んでいる。
では実際、何を制御しているのか。タイガー800XCxの場合はスロットルマップ(電子スロットル制御)、ABS、トラクションコントロールの3項目となる。この3つを路面状況に適した設定にすることで、より快適かつスピーディな走りを実現できるのだ。
言葉で説明してもわかりにくいので、上の図を見ていただきたい。横の列が制御を行うことのできる項目。縦の列はタイガー800XCxに搭載された3つのライディングモードとなる(TTCはトライアンフ・トラクション・コントロールの略称)。
ライディングモードの切り替えは、メーターの左脇に設置された『m』マークのボタンを押すことで変更できる(写真はオフロードモードで、メーター液晶の中央部に『OFF ROAD』と表示)。
図を見るとわかるとおり、『ロード』『オフロード』の2つのモードはスロットル・マップ、ABS、トラクションコントロールがいずれも固定となる。言ってみれば、オンロードとオフロードそれぞれの状況での“オートマ”だ。
その反対に、マニュアルとも言えるのが、図の一番下にある『ライダー』モード。このモードはスロットル・マップ、ABS、トラクションコントロールの具合を任意で設定でき、好みの走りを実現することができるのだ。
とくにライダーモードのスロットル・マップは、ロード&オフロードモードでは使用できない『レイン』と『スポーツ』の選択肢があることに注目してほしい。
『レイン』に設定すれば、もっとも穏やかな発進&加速となる。つまり、ウエットな路面に適しているということ。逆に『スポーツ』に設定すると、もっともアグレッシブに吹け上がり、力強い加速感を得られるのだ。
また、ダートで後輪を空転させ、ダートトラッカーのように走ったり、アクセルターンをしたりというとき、オフロードモードでは強いトラクションコントロールが作動してしまうため、これができない。そんなときは、ライダーモードでトラクションコントロールの設定を『オフ』にするといい。
ライディングモードの切り替えと、任意で設定できるライダーモードの中での切り替えは、文章で説明しきれないので、動画にしてみた。
ライダーモードのスロットル・マップ、ABS、トラクションコントロールの設定は、左グリップ横にあるボタンで行う。理解するまでは、面倒だと思うかもしれないが、3項目を設定するということを理解すれば、すぐに慣れるだろう。このライダーモードを自在に駆使してこそ、タイガー800XCxの魅力的な走りを100%楽しむことができるのだ。
多機能なトリップメーター
タイガー800XCxは、トリップメーターも高機能。ツーリングの記録をつけるのにも役立つ。トリップは『トリップ1』『トリップ2』があり、そのそれぞれに走行距離、平均時速、平均燃費、走行時間が記録される。
トリップをゼロにして出発し、自宅に戻ってきてそのツーリングでの距離を確認するという人は多いだろう。距離だけでなく、ツーリング中の平均時速や燃費、走っていた時間まで計測できるというわけだ。操作方法は下の動画にて。
ちなみにオドメーターを表示し、そこから左グリップ脇のスイッチで表示を送ると、外気温と、現在のガソリン残量を鑑みて給油が必要になるまでの目安の距離も表示することができる。
タイガー800XCxのサスペンションはWP製で超高性能
兄弟車種のタイガー800XRxがオンロードをメインとするモデルなのに対し、タイガー800XCxはオフロードも臆することなく攻められる性能を持つ。その大きな要因のひとつが前後のWP製サスペンション。WPは、モトクロスレースの世界で支持され、やがて欧州のオフロードバイクを中心に標準装着されていった一流ブランドだ。
実際にオフロードを走ってみると、林道の飛び出した岩などをものともせず、常にタイヤが地面と接地している安心感がある。これはオンロードでの快適性にもつながる。道路の継ぎ目をハイスピードで乗り越えたときのライダーへの衝撃は驚くほど小さい。長距離を走る際には、疲労の軽減に大いに貢献する。
フロントは43mmの倒立フォーク。伸び側&圧側の減衰調整機能も搭載。21インチのスポークホイールと相まって、オフロードでの走破性はすこぶる高い。排気量800ccという大柄さを感じさせないほど、林道走行はかなり無理できる印象だ。
リアは別体式リザーバータンクが付いたモノショック。プリロードと伸び側減衰調整の機能付き。サスペンションのボティにはダートプロテクターが装備されている。
オンロードのみだが、動画を撮影してみた。追従性が高く、舗装路でも非常によく動いている。小さな段差による衝撃をサスペンションがめいっぱい吸収してくれているのがわかる。
今回の動画撮影に使用したカメラ
GoPro HERO4 Silver Adventure
5万3,990円(消費税8%込み ※2015年8月時点)
HERO4シルバーエディションは、GoProならではのフィールドを選ばない高画質をより身近にするためのモデルで、シリーズ初の内蔵タッチパネル式LCDディスプレイを搭載。タップ&スワイプのみで操作を完結できるイージーさでありながら、4K-15pの超高画質動画や1080-60pからWVGA-240pのハイスピード動画、30枚/秒の1,200万画素静止画といったハイスペックを誇り、ハイアマチュアのほか、プロフェッショナルユースにも十二分に応える。
こちらの記事もオススメ!
関連する記事
-
試乗インプレッション
トライアンフ タイガー800XCx