VIRGIN TRIUMPH | ストリートツイン 長期インプレ vol.05【セルフチェック&ディーラーでの初回点検編】 トピックス

ストリートツイン 長期インプレ vol.05【セルフチェック&ディーラーでの初回点検編】

日々チェックすべき部分はどこ?

ストリートツインの画像

どんなバイクでも所有したら、ある程度の日々のセルフチェックはかかせない。「外国車はあまり自分では触れない」というイメージはあると思うが、ストリートツインはネイキッドタイプで目視できる部分が多く、構造も現代のバイクでは比較的分かりやすい。

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「ネン・オ・シャ・チエ・ブ・ク・トウ・バ・シメ」という言葉が昔からある。バイクに乗る際の基本的なチェック項目を覚えやすくつなげたもので、ご存知の方も多いでしょう。

「ネン」は燃料(ガソリン)。「オ」はオイル。「シャ」は車輪(タイヤ)。「チエ」はチェーン。「ブ」はブレーキ。「ク」はクラッチ。「トウ」は灯火類。「バ」はバッテリー。「シメ」はネジの締め具合。

上記のものに加え、ストリートツインは水冷なので、冷却水(クーラント)のチェックを行なおう。上の写真がクーラントのリザーブタンク。左側面サイレンサーの付け根付近にある。チェックする際は必ず車体を水平する。

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エンジンオイル点検窓は、車体右側面ブレーキペダルの奥にさりげなく配置されている。こちらも車体を水平にしてチェックすべし。

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チェーンの遊びは定期的に手を使って確認。適正の遊びは20-30mm程度。ツインマフラーなので少し見にくいが、サイレンサーを外さなくてもアクスルシャフトを緩めて調整することは可能だ。

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筆者はボンネビルT100のオーナーだが、とくにチェックしているのはブレーキパッド。T100は車重もありブレーキペダルに力がかかりやすい構造のため後輪の減りが早く、3000kmで使い切ってしまう人もいると聞いた。ストリートツインはT100と比べると40kgほど軽いが、同じ前後ディスクブレーキなので、ときどき確認しておきたい。

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ブレーキはパッドとともに、フルードもチェック。半透明の白い容器に入っているため、外側から残量が分かる。パッドが減っていないのにフルードが減っていたら、何か問題があるので要注意だ。フロントのフルードはハンドルにあり、一目瞭然。リアははめこみ式のサイドカバー(右側面)を外すと写真のように確認することができる。

新車の初回点検は800kmか納車後1カ月を目安に!

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長期インプレを行なっている車両がちょうど初回点検の時期を迎えたので、正規ディーラーの「トライアンフ横浜北」で、点検を行なってもらった。

写真はメカニックの大澤由冶さん。筆者の所有車ボンネビルT100も大澤さんをはじめ同店でメンテナンスしてもらっている。余談だが筆者のボンネビルT100は、正規ディーラーではないショップで買った8年落ちの中古車だった。走行距離もそこそこで、購入後自分では解決できない不具合がいろいろと発生し、そのたびこちらで助けていただいた。いまは購入時から30,000km以上走ったが、買ったときよりも好調だ。

外国車はとくに正規ディーラーに限ると思う。信頼できる馴染みのお店を持つというのも、外車乗りには大切なことだろう。

トライアンフでは新車納車後の初回点検を無料で行なっている(オイルなど消耗品代は別途必要)。初回点検の目安として、トライアンフがユーザーにお願いしているのは、走行距離が800kmに達したとき。もしくは納車後1カ月(800km走らなかった場合)。

慣らし運転の目安距離は1600kmとなる。その半分の段階で、一度チェックをするのを強く推奨しているわけだ。

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初回点検で行なってもらうのは以下のこと。エンジンオイル&フィルター交換、各部の増し締め、ホース類などの各所のチェック、チェーン清掃・給油、タイヤの空気圧確認、そしてコンピュータを接続してセンサー類のチェックやECU(エンジンコントロールユニット)のアップデートを行なう。所要時間は何も問題がなければ、40分から1時間ほど。それでは順を追って説明していきます。

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まずはエンジン底面にあるドレンボルトを外し、エンジンオイルを抜く。同時にそばにあるオイルフィルターも外す。初回点検では800kmでオイルとフィルターを交換し、次回は慣らし運転の終了目安となる1600kmを走ったら再び交換。その後は3000kmを目安にオイル交換、2回に1回はフィルターの交換を推奨している。一般的なバイクと同じだ。

たったの800kmでの交換だが、新車状態だと抜け出たオイルには鉄粉が多く混じっている、とメカニックの大澤さんは言っていた。

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オイルを抜いている間、各部の締め具合を確認。エンジン周りは新車から800kmの走行でも、紙ガスケットが潰れるため1/8回転ほど締められるそうだ。エンジン周りだけでなく、ボルトはくまなくチェックしていく。

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ハンディライトを使いながら見にくい部分をチェックしていく。とくにホース類からのにじみがないかチェックするそうだ。といっても、正規ディーラーでの販売されている車両は納車前にしっかりと各部確認をしているので、この時点で不具合が出ることはほぼないという。

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続いて、チェーンの遊びを確認。ほとんど緩んでいなかったので微調整する。ツインマフラーだという点をのぞけば、後輪周りの整備はチェーン調整を含め、作業しやすい車両だ。チェーンの伸びは500~1000km毎に、チェックをしてほしいとのことだ。

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チェーンの清掃はとても丁寧だった。まずは、チャーンクリーナーを吹き、その後タイヤを回しながら専用ブラシで大きな汚れを落としていく。続いて、ウエスを使ってチェーンのコマ数を数えながら、ひとつひとつ丁寧に拭いてくれた。清掃後、給油をしたらチェーンは完了。

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ひととおり目視での確認が終わったころ、エンジンオイルが抜け切ったので新しいフィルターとオイルを装填する。ストリートツインのオイル容量はフィルター交換時で約3.4L。

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トライアンフの純正指定オイルは「カストロール/POWER1 RACING 4T 10W-50」。かなり上等なもので、筆者もいままでオイルによる不具合が出たことはない。交換すると、必ず調子がよくなって戻ってくる。ストリートツインの場合は、約3.4Lを使い値段は9594円(税抜)。プラス、フィルター代の1900円(税抜)は初回点検時に必要な費用となる。

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これが最後の手作業となる。灯火類の点検と、空気圧をチェック。空気圧は前が2.2kgf/cm2/後ろが2.5kgf/cm2。このときはわずかながら抜けていた。全然走っていなくてもひと月に1度くらいはセルフチェックをしよう。

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最後にコンピュータでの診断を行なう。トライアンフの現行車は、すべてコンピュータ診断を行なうことができる。目視では確認できないケーブル類のエラーを発見したり、ECUのアップデートプログラムが本国から配布されているときは更新する。具体的には燃料の噴出量などを微妙に変えて最適化を図っているそうだ。この作業は正規ディーラーでしかできない。

同時に次回の点検が必要な、慣らし運転終了の目安1600kmでメーターに合図が出るよう設定してもらえる。忘れっぽい人もこれなら安心。

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以上で終了となる。今回問題は何もなかったが、帰り道は来たときよりも調子がよかった。

オイル交換やネジの増し締め、チェーン清掃・給油・調整、タイヤの空気圧チェック・補充などは自分でできる人も多いだろう。今回の実作業ではコンピュータ診断だけがディーラーでしかできないことだった。それは非常に大きな役割だが、筆者がそれ以上に自分ではできないと思ったのは、メカニックが「問題ないことを確認してくれる」ということだ。

大澤さんは実際に手を動かす前に、とにかく目視で各部をチェックしていた。筆者が横で見ていても何を確認しているのか分からないことがしばしばあった。自分では気づかない故障を発見してもらうのはもちろん、大事に至る前の「予防接種」をしっかりと行なってくれるのがありがたい。

筆者自身、車検は自分で通してしまうこともあるが、やはりプロの目に定期的に診てもらわないと、と思った次第です。

プロフィール
西野 鉄兵
ツーリングマガジン『アウトライダー』編集部のデスク。大学生だった2007年にアルバイトで飛び込んで以来、長きにわたって雑誌やWEBの編集に携わっている。バイクの使い方はもっぱらツーリングで、全都道府県と海外数カ国での走行経験あり。普段の愛車は、2005年式のトライアンフ ボンネビルT100。

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