スピードトリプルR 長期インプレ vol.01【スタイリング&ディテール・取り回しチェック編】
- 掲載日/2016年07月13日
- 車両・衣装協力/トライアンフ モーターサイクルズ ジャパン
取材・文/佐川 健太郎 写真/山家 健一
スピードトリプルRのディテールをチェック
シリーズ歴代最強の140psを発揮する水冷並列3気筒DOHC4バルブ1,050ccエンジン。今回、新たに104箇所が改良され、燃焼室、シリンダーヘッド、クランク、ピストン形状に加え、「ライド・バイ・ワイヤ」によるスロットルボディやスリップ・アシストクラッチ、エアボックス、エキゾーストパイプなども新設計となった。
フロントブレーキはレース仕様のφ320mmフローティングディスク&ブレンボ製ラジアルモノブロックキャリパーの組み合わせ。切り替え式バリアブルABSを標準装備するなど安全性も高められている。「R」のフロントフォークはオーリンズ製φ43mmNIX30 フルアジャスタブル倒立タイプを採用。
チタニウムカラーで統一されたアルミダイキャスト製フレームと片持ち式スイングアームが特徴。リアブレーキはホイールの内側にハブごと収まる構造になっている。整備性に優れ、タイヤ交換もしやすいなどメリットは大きい。
10本スポークタイプの軽量アルミ鋳造ホイールを採用。先代モデルとは大きくデザインが異なる部分だ。OEタイヤには強力なドライグリップを発揮するスーパースポーツ用のピレリ・ディアブロ・スーパーコルサSPを装備する。ちなみにリムのレッドストライプは「R」専用。
先代に比べて低くスリムなシルエットを持つ燃料タンク。エルゴノミクスを考慮したスタイリッシュなデザインで、乗車時のホールド感も良好だ。スチール製なのでマグネット式タンクバッグも装着できる。コンパクトになった分、容量は先代の17.5リットルから15.5リットルへと縮小された。
高級感漂うアルミ製バーエンドミラーを採用。固定はフレキシブルで強く回せばぐるりと角度を自由に変えられる。振動によるブレも少なく後方視界はすこぶる良い。気になるのは渋滞すり抜けのときぐらいか。
サスペンションは「S」がSHOWA製であるのに対し「R」では前後オーリンズ製の最新型を採用する。リアサスはTTX36ツインチューブ・フルアジャスタブル・リアモノショックで、ダンピング調整は伸び側、圧側ともに上部にあるダイヤルを使い手動で行えるタイプ。現場での素早いセッティングが可能だ。
「R」専用の軽量カーボンファイバー製フロントマッドガードおよびフューエルタンクインフィンパネルを装備。バネ下重量の軽量化によるハンドリングの向上とともに、ハイパフォーマンスをアピールする外観上のワンポイントにもなっている。
サイドビューを際立たせるサイドカウルには、「R」専用をアピールするレッドカラーがあしらわれている。また、一体化されたターンシグナルインジケーターは非常にコンパクトかつ洗練されたデザインを持つLEDタイプを採用。ステーはフレキシブルなラバータイプで衝撃にも強い。
「R」にはタンクやシートカウルと同色で仕上げられた樹脂製のベリーパン(アンダーカウル)を標準装備。エキパイ接合部のカバーと一体化したデザインは専用設計ならでは。アグレッシブな外観と若干の空力にも貢献する。
ライダーとパッセンジャー双方の快適性を追求した前後2ピース構造のシートを採用(先代モデルは1ピース構造)。足着き性を考慮してライダーシート前方は絞り込まれ、後方は逆にワイドにしてホールド性を高めている。「R」専用としてレッドステッチが施されているのが特徴で、よく見ると分かるという控えめなアピールが逆にお洒落。ピリオンシート前方に刻印されたブランドロゴも効いている。
歴代スピードトリプルのアイデンティティでもあるツインヘッドライトは健在。新型では従来の5角形をあらため、角のとれた逆三角形を採用。レンズ表面内側部分にはLEDタイプのポジションランプも新設されている。インテーク用スクープ一体型のフライスクリーンを標準装備。
アグレッシブさを印象づけるスピードトリプルシリーズではお馴染みの後方2本出しアップタイプマフラーを採用。エキゾーストシステム全体の見直しにより、軽量化とともに70%流用を増やし効率化と出力アップを実現している。試乗車には純正オプションのARROW製サイレンサーを装備。テールランプは高級感のあるLEDタイプ。
メインキーで簡単に脱着できるピリオンシートを外すと、鮮やかなレッドカラーのサブフレームが目に飛び込んでくる。小物が収納できる僅かなスペースの奥には純正工具が収められている。ライダーシートは後端部にあるボルト2本を外せば取り外し可能だ。
視認性の高いアナログ式タコメーターとデジタル液晶表示の多機能メーターの組み合わせがモダンな雰囲気を醸し出すコックピット。イグニッションONとともにブラックパネルに煌めくイルミネーション、そしてシフトタイミングインジケーターが美しい。液晶スペースには速度や距離、ギアポジション、燃料残量、ライディングモード、その他情報を表示。モード切り替えは左側スイッチボックスに装備されたボタンで走行中でも簡単に操作できる。
スタンダードシートと純正オプションのローライダーシート。シート高は825mmに対して805mmと20mmほど低くなるが、実際に跨った感じはそれほど劇的な違いはない。ローライダーシートもクッション性は悪くなく1日ツーリングしても快適なレベル。ライディングポジション変更によるハンドリングへの悪影響も認められなかった。
試乗ライダー プロフィール
佐川 健太郎
モーターサイクルジャーナリストとして2輪専門誌等で活躍中。公道で役立つ実践テクニックからサーキット走行まで造詣が深く、白バイ関連の記事や映像も数多く手掛けるなど白バイテクについても精通。本サイトでもライディングテクニック講座【スマテクで乗りこなそう!】で講師を担当。『ライディングアカデミー東京』校長。MFJ公認インストラクター。
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