スピードトリプルR 長期インプレ vol.02【街乗り走行チェック編】
- 掲載日/2016年07月27日
- 車両・衣装協力/トライアンフ モーターサイクルズ ジャパン
取材・文/佐川 健太郎 写真/山家 健一
街乗りでも分かる足回りのグレード感
しばらく乗るうちにバックミラーがよく見えることに気づいた。新型で採用されたバーエンドミラーは外側に張り出している分、後方視界が抜群にいい。ミラーの片隅に自分の肩などが入らないためクリアな視界が得られて気持ちいい。ステーの剛性感もしっかりしていて振動の影響も受けにくいようだ。
乗り心地もいい。トライアンフの中ではかなり先鋭的なスポーツモデルのはずだが、「ガチガチのフレームに硬い足回り」といったネガなイメージはまったくなく、乗り味はしっとりとして落ち着いている。「R」ならではの装備として、オーリンズ製前後サスペンションが付いているのが大きいと思う。
STDモデルの位置づけとなる「S」と直接乗り比べたわけではないので何とも言い難いが、経験上、他のモデルラインで同じような仕様を比べた場合もほぼ100%その違いを感じられるものだ。路面のギャップに対しても、少ない動きの中でスムーズに衝撃を吸収してくれるので、マシンの挙動が安定している。グレード感のある乗り心地とはこのことだ。ちなみにサスセッティングは標準のままで乗ったが、街乗りでもそのままで十分快適だった。
ゆったり流したいなら「レイン」がおすすめ
新型にはシリーズ初となるライド・バイ・ワイヤが導入されている。これは出力のコントロールを従来のスロットルケーブルで行うのではなく、一旦、アクセル開度を電気信号に変えてECUに送り、その時々の状況に応じて最適なスロットルバルブの調整を行うものだ。つまり、バタフライの開閉をコンピュータが行っているわけだ。
ライド・バイ・ワイヤのおかげで、「ライディングモード」による出力特性の変化が可能になり、また、このシステムと連動する「トラクションコントロール」や「ABS」が最適なタイミングで介入することで、乗り手の技量や路面状況などに応じて安全かつ最大効率でそのパフォーマンスを引き出すことができるようになっている。
試しに市街地でも「ライディングモード」を切り替えてみた。まず、エンジンのレスポンスは明らかに異なり、「レイン」<「ロード」<「スポーツ」<「トラック(サーキット)」の順でスロットルに対する反応が鋭く、そのまま開けていくと中速トルクの盛り上がりが急峻になっていくことも確認できた。
トラクションコントロールやABSに関しては、正直なところ街乗りレベルでその違いをテストする走りはできないが、少なくとも「レイン」モードではABSがすぐに作動することは確認できた。「レイン」は出力特性も最も穏やかで、たとえ粗雑にスロットルを開けたとしても、じわっと平和にパワーが出てくるので、何も考えずにストリートを楽に流したいのであれば晴天でも「レイン」がおすすめかも。
というわけで、「R」本来のスポーツ性能については、次回じっくりレポートしようと思う。