タイガーエクスプローラーXCx 長期インプレ vol.02【サーキット走行チェック編】
- 掲載日/2016年10月05日
- 車両・衣装協力/トライアンフ モーターサイクルズ ジャパン
取材・文/柏 秀樹(柏 秀樹のライディングスクール『KRS』) 写真/徳永 茂
タイガーエクスプローラーXCxの走行性能&ディテールをチェック
2回目の走行で雨がいっそう激しく降ってきた富士SWだが、スロットル、ブレーキ、コーナリングどれも不安なくコントロールできた。エンジンは旧型以上にスロットルにリニアな反応をみせる。高回転の伸びにも磨きがかかっている。ラフなスロットルとブレーキ操作では大きなミスを誘発しやすいが、最先端のショックのないABSとトラクションコントロールの存在は非常に大きい。
暑い時はスクリーンを最下部にセット。雨や寒い時期には最上部にセット。スポーツ走行では最下部へ。クラス唯一の電動スクリーンはいつでもどこでも瞬時に好みの位置が選べるため実に効果的だ。重量級のはずだが、走り出すと旧型よりも明らかに軽く感じる作り込み。特に高速走行では優れた防風性だけではなく、クルーズコントロール機能を使うと快適な走行が楽しめる。実はクルーズコントロールを使うと眠くなると予想していたが、逆に右手が疲れず非常に快適になった。また、無意識にアクセルを開けたり絞めたりがなくなるため、個人的には以前よりも飛ばさなくなったことと燃費走行をより意識するようになった。クルーズコントロールのオンからオフになったときのショックも明らかに低減した。
WP製倒立型フロントフォークには305ミリのディスク2枚とブレンボ製モノブロック4ピストンキャリパーをセット。その効きとタッチは多少のABSショックを感じた旧型とは別次元。ショックレスで確実に止まる秀逸なブレーキ。電子制御サスと優れたABS、トラクションコントロールシステムの高度化による運動性能向上分をカバーしてあまりあるポテンシャルを発揮する。
パワーの激しいオン・オフでも車体が上下しないシャフト駆動らしからぬ駆動系は、旧型よりもメカノイズが低減。リヤショックの後方は泥よけのためのミニ・インナーフェンダーがセットされた。前後のブレーキパッドの摩耗状態チェックも旧型よりもやりやすくなった。よりパワフルに、より強い減速やコーナリングパフォーマンス確保のためにタイヤは前後ともワンサイズアップした。
重量級なのにタイトなコーナリングは意外に得意。特別な旋回性を持つわけではないが、あらゆる速度域で安心の操縦性を発揮。車体の倒し込みから舵の付き方、バンクの安定性など、どれをとっても模範的で自然。癖らしい癖がなく、ビッグバイク初心者でもこの率直なハンドリングならすぐに馴染めるはず。コーナリングに際しての前輪で減速、前後輪でコーナリング、コーナー立ち上がりで後輪へ、という荷重の流れをライダーが作りやすい基本に忠実なまとめ方。また、雨などの悪条件になるほど、接地感と連動して安心感が増す。
試乗ライダー プロフィール
柏 秀樹
タイガー955iで15万キロメートル走って、初期型エクスプローラーで7万キロメートル走ってきたタイガー好きなジャーナリスト。パリダカ4回参戦などビッグオフの経験も取り込んだライディングスクールKRSを精力的に各地で開催している。
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