新型ボンネビルT100 長期インプレ vol.05【セルフチェック&ディーラーでの初回点検編】
- 掲載日/2017年02月15日
- 車両協力/トライアンフ モーターサイクルズ ジャパン、トライアンフ相模原
取材・文/西野 鉄兵(『アウトライダー』編集部) 撮影/VIRGIN TRIUMPH.com編集部
日々のセルフチェックで特に確認を怠ってはいけないポイントはここだ!
ボンネビルT100を所有したら、日々、どんなポイントをチェックすればいいのか? 今回は正規販売店のトライアンフ相模原で、同店を運営する有限会社スナップリング社長の高橋利光さんに教えてもらった。
まずは基本中の基本、タイヤの空気圧。1カ月に一度ほどは確認したい。空気圧は一般的に乗る頻度が多いときよりも少ないとき、つまり置きっぱなしにしているときの方が減りやすい。久しぶりに乗る際はガソリンスタンドなどでチェックしよう。
この新型ボンネビルT100の推奨空気圧は、前輪が2.2bar(バール)、後輪が2.5barとなる。barは、英国で用いられている単位だ。1bar=1.01972kgf/cm2。適性値を換算すると、
前輪:2.2bar=2.243384kgf/cm2
後輪:2.5bar=2.5493kgf/cm2
以上のようになる。ただ誤差の範囲と考えて、barほぼイコールkgf/cm2で覚えておけば大丈夫と、高橋さんは話していた。
タイヤの空気圧をチェックするついでに見たいのが、ブレーキパッド。特に後輪は、個人差にもよるが、市街地の走行が多かったりすると、早めに交換時期を迎える場合もある。パッドの消耗に気づかず走り続けるとディスクを傷つけてしまうので、大きな出費となる。まめにチェックしよう。
分かりやすく説明するため、ブレーキパッドを高橋さんに取りはずしてもらった。黒い部分のパッドが厚さ1.5mmまで減ったら交換の時期だ。ブレーキ類のメンテナンスは、命に関わるのでディーラーで行なってもらおう。
続いて、クラッチ&ブレーキレバーの「遊び」をチェック。遊びの適正値は、矢印の部分に2~3mmの隙間ができること。ずれていればワイヤーの調整ネジで簡単に調整できる。
チェーンの張り具合も要確認だ。張られたチェーンの中央付近をつまんで押し上げる。適正値はこの幅が20mm~30mm。ボンネビルT100の純正チェーンはそんなに伸びないチェーンだと高橋さんは言う。
バイク全般に共通して、バッテリー端子のボルトは緩みやすい。ここが緩んでいるとオートバイ全体の電気に影響するから念のためシートを外してときどきチェックしよう。
エンジンオイル量のチェックもかかせない。オイル量を確認する窓はプレーキペダル付近にある。車体を垂直にして確認しよう。ボンネビルT100はサイドスタンドのみが標準装備なので、垂直にする際は誰かに手伝ってもらうと安心だ。
新型ボンネビルT100は水冷エンジンのため、クーラント(冷却水)もチェック。オイル量の確認窓と反対側に備わっている。こちらも車体を垂直にして確認しよう。
ブレーキフルード(ブレーキオイル)も確認。前輪はリザーバーと一体式のマスターシリンダーに点検窓がある。後輪はブレーキペダル側のサイドカバーを外すと半透明のタンクで確認できる。こちら側のサイドカバーははめこみ式なので引っ張れば外れるが、外れたときの勢いでカバーの先端をスロットルボディーのアルミ製カバーとぶつけてしまうので要注意。フルードは減っていなくても2年毎に交換が必要だ。
以上が特に見ておきたいポイントとして高橋さんに指摘していただいた部分になる。当然ながら、ブレーキランプやウインカーなどの灯火類、メーターに表示されるエラー表示、各所ボルトの緩み、その他、走行していて不具合や違和感を感じた場合は、思い当たる箇所を確認しよう。自分の手に負えないと判断したら、すぐに正規販売店に相談に行こう。
正規販売店での初回点検ではこんなことをチェックしてもらえる!
トライアンフでは、正規販売店で新車を購入するとメーカーが定める初回点検項目の点検費用が無料(オイル代やオイルフィルター代は実費負担)となる。この初回点検は購入後800kmの走行、もしくは購入後1カ月のいずれか早い方が訪れたときに行なう点検だ。車両を購入した正規販売店に予約をして持ち込もう。
日常点検として、高橋さんが教えてくれた箇所を含め、さらに深いところまでチェックしてもらえる。それでは初回点検の内容を見ていこう!
まずはバッテリーの状態をチェック。新車から1カ月で劣化しているなどの問題はほぼないというが、念のため確認しているという。バッテリーチェッカーを持っていない人は安心だ。
続いてトライアンフ相模原ではブレーキとクラッチレバーを外してグリスアップ。 新車の状態でグリスはもちろん塗られているが、少し薄めだそうだ。そのため、トライアンフ相模原では初回点検でグリスを塗りなおしている(ディーラーによっては納車点検時にすでに行なっているところもあり、初回点検では行なわないこともある)。
トライアンフ相模原では各所のボルトをトルクレンチを使い、適性値で締める。紙ガスケットを使っている部分は、800kmの走行でも少し締められるそうだ。ちなみにエンジンが水冷化されて、熱をより効率的に逃がすことが可能となり、この時点での緩みは減ったとのこと。
エンジンオイルもこの初回点検で交換する(初回点検ではオイル交換の工賃は無料だが、オイル代やフィルター代は実費負担)。 トライアンフの純正指定オイルは「カストロール/POWER1 RACING 4T 10W-50」。フィルター交換時は3.4L、オイルのみの交換の際は3.2Lとなる。
チェーンの給油も含まれるのが嬉しい。チェーンが適性値より伸びている場合は調整もしてもらえる。
ここまでの項目を目で見て点検・調整したら、最後にコンピュータでの診断を行なう。トライアンフの現行車は、すべてコンピュータ診断を行なうことができる。目視では確認できないセンサーやアクチュエーター類のエラーを発見したり、ECUのアップデートプログラムが本国から配信されているときは更新する。この作業は正規販売店でしかできない。
最後に診断結果のレポートを受け取って初回点検は終了となる。今回は900kmほど走った車両をチェックしてもらったが、問題は特になかった。けれど、この点検は非常に重要。せっかくの新車を慣らし運転の段階から粗末に扱う人はいないだろうが、今後、長く付き合っていくために、欠かせない最初の健康診断といえるだろう。
今回、初回点検を行なってくれたトライアンフ相模原は、2016年8月に移転し、リニューアルオープンした綺麗なお店。最新CI(コーポレート・アイデンティティ)を導入していて、現在のトライアンフが掲げるイメージはまさにこれ! といった印象だ。スタッフの方々も親身に相談に乗ってくれるので、愛車のかかりつけ医としてもおすすめだ。
幹線道路の国道16号線からすぐで、相模原駅からは約2km。最寄のインターは圏央道の相模原愛川と相模原。どちらからも約8kmだ。
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