イギリスにあるトライアンフ本社で発表された2台のトライアンフ・ファクトリー・カスタム(TFC)
- 掲載日/2019年02月21日
- 写真/トライアンフ モーターサイクルズ ジャパン 取材・文/鈴木 大五郎
トライアンフが自ら自社のマシンをカスタマイズ
トライアンフ・ファクトリー・カスタム誕生
トライアンフ・ファクトリー・カスタム=TFCは、すでにいくつかのモデルを世に送り出している。しかしそれはまさに一品もののカスタムマシンであり、発売がされるものなのか、あるいはコンセプトモデル的なものなのか判断がつかなかった。
しかし今回、イギリス・ヒンクレーにあるトライアンフ本社で発表されたTFCの2モデルは、それぞれが750台限定ではあるものの量産が決定されており、当然のことながらストリートリーガルのマシンとなっている。最初に登場したのは、スラクストンをベースとしたスラクストンTFC。
もともとがカフェレーサースタイルであるスラクストンをベースに、細部まで拘ったカスタムが施されている。カーボン製のロケットカウルやシングルシートの装着等のスタイリングはもちろんのこと、走りのほうでも、ベースモデルに対して10馬力のエンジン出力アップを果たし、車重も5キロ減と走行性能の向上も間違いないであろうスペック。装着タイヤにメッツラー製のハイグリップタイヤ、レーステックRRを選択していることで、見た目にレーシーなだけでなく、高いコーナーリング性能を備えていることは想像にかたくない。クラシックな趣きなれど、走りは現代的。と、まさに同社のモダンクラシックシリーズのコンセプトを最大限に推し進めた内容となっている。
小雪がちらつく本社の玄関前。野太くも官能的なエギゾーストノートを伴って現れたのはロケットⅢをベースとしたロケットTFC。2294ccのエンジンを搭載するロケットⅢはSTDでさえ存在自体が唯一無二で圧倒的であるのだが、このマシンはそれをさらにスペシャルな存在にしている。正式なスペックは5月に発表予定とのことであるが、車体回りもエンジンも新設計されているらしく、従来モデルをベースにしたカスタムモデルという位置付けとはちょっと違う可能性もある。リアエンドが短く、低く構えたスタイリングはドラッグマシンをイメージした大迫力なもの。次期量産モデルの内容にも期待が膨らむマシンとなっている。
限定マシンだからこそ可能となったこだわりとクオリティは、メーカー純正カスタムと単純に呼ぶには失礼なほどの輝きに満ちていた。
発表会はイギリス・ヒンクレーにある本社にて行なわれた。トライアンフ社ブランドマネジメントのトップ、MILES PERKINS氏がTFC発売までの経緯を説明。
TFC発表に先立ち、トライアンフがこれまで携わったカスタムマシンが次々に登場。こちらはワールドスーパーバイクで4度の王者に輝いたイギリスの英雄、カール・フォガティがダートトラックレースで使用するために製作されたストリートスクランブラーベースのマシン。
サハラ砂漠を舞台に開催される2017 Pan Africa Rallyに出場するため製作されたTriumph Tiger 800 XC Tramontana。タイガー800XCをベースとしたマシンはレースで2位の好成績を獲得している。
スラクストンRをベースにスーパーチャージャーを搭載したドラッグレース用マシンも登場。
歯切れの良いブリティッシュサウンドを轟かせ、スラクストンTFCが登場。カーボンや削り出しのアルミパーツを多用するが、リムのブラック化等で落ち着いた高級感を演出。
ワールドプレミアとあって、世界各国よりジャーナリストが集結。発表と同時に世界配信するメディアも多数あり、即座に話題を提供していた。
ロケットTFCはロケットⅢをベースとするが、詳しいスペックは未公表。
迫力のエンジンに装着されるエギゾーストはアロー製のスペシャル。乾いた低音のトリプルサウンドは比類なき快音を放つ。
熟練工によるピンストライプの実演&来場者による体験も行なわれた。TFCモデルにはスペシャルペイントが施されるとともに、ラインは手作業によって描かれる。
来場したジャーナリスト向けに夜の工場見学ツアーも開催。コンパクトながら無駄なくレイアウトされた清潔な工場である。
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