「ON THE ROAD’20~THE HIDE MOTORCYCLE Supported by NEUTRAL & RUDE GALLERY~」トライアンフのボンネビルボバーを宝石のようなカフェレーサーにカスタム
- 掲載日/2020年12月22日
- 取材協力/RUDE GALLERY HIDE MOTORCYCLE写真・文/成田 恒一
RUDE GALLERYの20周年を記念した特別な展示
今年、記念すべき20周年を迎えたアパレルブランド「RUDE GALLERY」が、この1年を締め括るイベントとして「ON THE ROAD’20~THE HIDE MOTORCYCLE Supported by NEUTRAL & RUDE GALLERY~」を12月27日(日)までRUDE GALLERY TOKYO(東京都渋谷区神宮前6-19-3 2F)で開催している。
このイベントの目玉企画として、ハーレーダビッドソンをメインにしたカスタムバイク製作において、日本国内はもちろんのこと、欧米やアジア圏などの海外からも圧倒的な支持を得ているHIDE MOTORCYCLE(ヒデモーターサイクル)が手掛けたトライアンフの2017年式ボンネビルボバーをベースにしたカフェレーサーカスタムが特別展示されている。ボンネビルボバーをベースに、ここまで手が加えられたカスタムマシンは世界的に見ても前代未聞。
さらにこのイベントを記念したヘルメットやTシャツなどのオリジナルグッズも販売されているので、ここで詳しく紹介させていただこう。
カフェレーサーの調和
2017年に登場した水冷ボンネビルのプレミアムカスタムモデル「ボンネビルボバー」。その特徴はリジッドフレームをイメージしたハードテイルスタイルのリアエンドにある。ステムヘッドからリアアクスルまでを結ぶ直線的なラインが作り出すスタイリングはビンテージライクなもので、ボンネビルボバー最大の見所となっている。
ここに紹介させていただくボンネビルボバーをベースにHIDEが手掛けたカフェレーサーカスタムは、カスタムベースとしては不向きな現行モデルでありながら、エクステリアの刷新と足まわりのモディファイのみで、ビンテージカフェレーサーのような美しいスタイリングを手に入れている。トライアンフに詳しい者が見ても、このマシンがボンネビルボバーをベースに製作されたものだとはまず気付かないはずだ。
圧倒的な存在感を放つフルカウリングは3ピース構造となっており、わずか10分ほどで取り外し可能。1.5mm厚のアルミ材をベースに叩き出しで製作されたフルポリッシュのカウリングには、ブラック&アイボリーのピンラインでエッジがトレースされており、そのフォルムを強調している。
オフセットされたヘッドライトはプロジェクタータイプで、有機的な存在感を放つ独自のフロントフェイスを構築。純正を使用したバーチカルツインのエキパイはカウリングの外に逃がし、ワンオフで製作されたサイレンサーはカウリングのエンド部に組み込まれている。そのエンド部のサイドにはアイコニックなHIDEのイーグルモチーフをブラシでドロウ。メーターは純正をオフセットしてカウリング内に設置。乗り手の目線を意識した機能的な配置としている。
またこのマシンの後方斜め上からの眺めがいい。絞り込まれたクリップオンバーを起点に、末広がりのスチール製ワンオフタンクからカウリングまでのラインは乗り手を包み込むようなハの字型に設定し、マシンとの一体感を強調。もちろんその防風効果も高い。
フューエルタンクのロゴは1950年代のフライヤーに使用されていたビンテージロゴがモチーフとなっており、あえて文字間をあけて野暮ったく配置。もちろんこのロゴもブラシにより描かれている。エッジをトレースするのはブラック&アイボリーのピンライン。そしてこのベースカラーのブルーは、ギタリスト垂涎のフェンダー製ストラトキャスターのレイクプラシットブルーをイメージしたもので、このなんとも言えないブルーのカラーリングがほどよいオールド感を醸し出し、マシンをとても印象的なものにしている。
同じくスチール製ワンオフのシートカウルにもこのカラーリングが採用されており、メタル感を前面に押し出したフルカウリングとの対比も美しい。シートはレザー製のワンオフで、座面はスエード、サイド部は表革を使用。最小限のステッチワークで製作されたシンプルなソロシートである。
前後ホイールはベースモデルのF19/R16から、カフェレーサーらしいスタイリングとするため前後18インチに変更。40穴のH-Dスポーツスター用リム&ハブを流用し、タイヤはクラシックバイクレース御用達のコンチネンタル製コンチロードアタック2 CRを装着している。
往年のアマルキャブレターをイメージしたインジェクションボディはそのままに、吸気のみエアファンネル化。カウルからチラリと見えるエアファンネルがレーシーな雰囲気を演出している。またリアタイヤ越しに真後ろからみたエアファンネルの姿もそそられる。
リジッドスタイルのスイングアームとタイヤ、そしてシートカウルの位置関係も計算し尽くされたものだ。やや後方に向かって上方へと持ち上げられたシートカウルのフォルムは絶妙としか言い得ない。
ポジションはカフェレーサー特有のタイトなものだ。ストックモデルのミッドコントロールからタロッティ製バックステップに、同じくストックのワイドフラットバーからトライアンフ純正パーツのクリップオンバーに交換。マスターシリンダー、レバー、スイッチボックスはストックをそのまま使用している。
改めてこのマシンをじっくりとご覧いただきたい。このままカウリングを取り外してネイキッドスタイルのカフェレーサーとしても、さらにロケットカウルを取り付けてもスタイリングをまとめあげることができるはず。このマシンをベースにカフェレーサーカスタムの大きな可能性が感じられるというものだ。
フレームには一切手を加えず、エクステリアとホイールサイズの変更だけで、現行ファクトリーカスタムモデルのボンネビルボバーを、ここまで均整の取れた美しいカフェレーサーに仕立て上げるHIDE MOTORCYCLEビルダー、富樫秀哉の手腕たるや。カウリングのフォルムとフューエルタンク&シートカウルの直線的なライン、前後タイヤのバランス、そしてそれらすべての総合的な調和。そう、カスタムとはすなわち「調和」なのだ。
ON THE ROAD’20コラボレーションアイテム
■RUDE GALLERY TOKYO
東京都渋谷区神宮前 6-19-3
TEL 03-3498-2434
http://www.rude-gallery.com/
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