VIRGIN TRIUMPH | 【トライアンフ 新型タイガースポーツ660 試乗記】扱いやすさと心地よさを高次元で両立する 試乗インプレッション

【トライアンフ 新型タイガースポーツ660 試乗記】扱いやすさと心地よさを高次元で両立する

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TRIUMPH TIGER SPORT 660(2025)
デビューし3年目を迎えたトライアンフ タイガースポーツ660にアップデートが行われた。より扱いやすいセッティングとなり装備も充実。コストパフォーマンスに優れたミドルクラスクロスオーバーとして成熟した。

登場から3年目にしてアップデートを敢行
既存オーナーもうらやむ仕上がりに

今でこそ普通自動二輪免許クラスのモデルがラインアップされているが、それはシングルエンジンを採用しており、伝家の宝刀的なトリプルエンジンを搭載したモデルとしては660ccシリーズこそが、トライアンフのエントリーモデルとして主力商品となっている。その660トリプルエンジンを使用するタイガースポーツ660が登場から3年目にしてこの度アップデートが図られた。

昨年、先だってアップデートが施されたトライデント660を追う形であり、その内容は重複する点もある。だが、そもそもトライデント660はロードスターとしてのキャラクターとなっているのに対して、タイガーファミリーはアドベンチャーセグメントとされており、さらにその中でもタイガースポーツ660は、ロードスポーツ志向の強い、いわゆるクロスオーバーモデルである。

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なので今回のアップデートも、よりクロスオーバーモデルとしてのパフォーマンスや使い勝手を引き上げられたものとなっていることを期待しながら、国内でのデリバリーが始まったばかりのニュータイガースポーツ660に触れてその具合を探っていきたいと思う。

トライアンフ タイガースポーツ660 特徴

デイトナ660がもたらした功績が
いたるところから感じられる

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ミドルクラスのクロスオーバーモデルセグメントは、国内だけでなく世界規模で人気の高いこともあり、国内メーカーをはじめ開発に力を入れている。そのようなところに3年前、トライアンフはタイガースポーツ660を投入したのだが、これがまた良く作られており、瞬く間にスターダムにのし上がった。価格帯的にはライバルと同じかそれよりも高価ではあるのだが、快適さやトリプルエンジン特有のフィーリング、充実した装備などは、むしろ買い得と思える仕上がりとなっていることがヒットの大きな要因だ。

そもそもタイガースポーツ660が登場する2年前には新型660ccエンジンを採用したトライデント660が発表され新たなユーザー開拓に成功。そのエンジンを利用しつつ、ストローク量の豊かな足まわりや安楽なライディングポジション、長時間に及ぶハイウェイクルーズも苦にならないフェアリングなどが施されたクロスオーバーモデルとしてタイガースポーツ660が発表されていた。さらにその後、フルカウルロードスポーツモデルとしてデイトナ660が開発され登場することとなる。

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かつて存在した”デイトナ”というイニシャルが復活したことにファンはとても喜んだものだが、それ以上に注目されたのは、660ccトリプルエンジンのさらなる進化、そして電子制御装置の大幅適用だった。そのデイトナ660の開発、登場により660ccシリーズは第二ステージへとステップアップしたことになり、トライデント660、そして今回のニュータイガースポーツ660とアップデートが行われたというのがこれまでの流れとなっている。

興味深いのは、今回のアップデートにあわせて、ブランニューモデルとなるタイガースポーツ800が追加されている点である。スタイリング的には両車を並べて比べないと違いが分からない程に似た者であるが、エンジンは排気量だけでなく出自が違う。そのタイガースポーツ800との違いも探りながら、タイガースポーツ660の乗り味などを紹介していこう。

トライアンフ タイガースポーツ660 試乗インプレッション

十二分。でも兄の方がしっかりしてる?
ユニクロとGUの関係か?

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3年前のタイガースポーツ660は登場時、その後も何度か試乗しており、個人的にも気に入っているモデルである。 だからこそ、今回のアップデートによって何が変わったのかということが気になっていた。

スタイリング的にはカラースキームが変更されただけであり、従来モデルとの違いは無い。ただタイガースポーツ800に関してはフロントマスク中央にLEDデイタイムランニングライトが追加されているほか、ラジエーターの両脇にセットされるサイドシュラウドの形状が異なるなどの違いが見受けられる。

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体躯的には若干大きいと感じられる方もいることだろうが、シートに跨ってみると、835mmというスペックからしてみるとかなり低いと感じられる。車重は190kgで超軽量とは言えないものの、低重心かつディメンションのバランスが纏まっていることもあり、取り回しはしやすい印象。これらは従来モデルから変わっていない。

エンジンを始動し走り出す。相変わらずトライアンフのトリプルエンジンは独特なサウンドを楽しめる。ストリートで走り去る際、信号待ちで並んだ時、音を聞いただけでも「おっ、トライアンフだな」と思わせてくれるのは、大きな魅力である。

試乗をはじめて市街地を走り、幾たびか信号に引っかかると、なんだか従来モデルよりも乗りやすいと感じられる点があった。それは低中速域での扱いやすさが向上しているという部分である。

別に従来モデルの特性に不満があったわけではないのだが、3000~6000回転くらいまでのトルクがあるために、ライディングそのものがイージーになった感触である。

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高速道路を利用してハイウェイクルーズを楽しむ。ライディングモードには新たに「スポーツ」モードが加えられており、「ロード」モードでも十分なパフォーマンスなのだが、さらに一速シフトアップしたようなエキサイティングなパワーフィールを楽しむことができ、ついつい高回転域まで引っ張ってしまう。

あわせてニュータイガースポーツ660ではシフトアシストが標準装備となっているのも嬉しいポイントで、サクサクとシフトアップ/ダウンを繰り返しながら気持ちよくスポーティな走りをすることができるのだ。

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今回追加されたオートクルーズ機能も使いやすく、ゆったりと流すような時にはワンプッシュでセットするだけで安楽なクルージングをもたらしてくれた。

ハンドリングも相変わらず秀逸で、手足のように扱うことができる。リアサスペンションのプリロード調整ノブも使いやすい位置にセットされているので、荷物の積載時、タンデム、市街地とワインディングなど、ステージやシチュエーションによって調整することをお薦めする。

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ただ一点、回転計がスロットルワークの仕方によってチカチカと点滅することがあるのだが、これが視界に入るとやや気になることがあった。タイガースポーツ800のメーターはそっくりそのままの形状なのだが、点滅することがなかったので、そちらにあわせてもらうことを期待したい。

なおタイガースポーツ800とのエンジンの違いに関しても書き記しておくと、タイガースポーツ660がトライデント660から始まったものなのに対して、タイガースポーツ800に採用されているのはMoto2供給エンジン直系のストリートトリプル765RSをベースに用いてロングストローク化したものであり、パフォーマンス的にもその差は表れている。

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さらにタイガースポーツ800にはサスペンションやブレーキなども上級グレードのものが採用されており、総じてより一層スポーティかつ上質な仕上がりとなっている。

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私個人的にはタイガースポーツ660で十分に幸せなバイクライフを楽しめると考えているが、せっかく買うなら少しでも装備が充実したものをと考えるのであれば、タイガースポーツ800も視野に入れると良いだろう。

トライアンフ タイガースポーツ660 詳細写真

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低中速トルクの改良が図られた660cc水冷並列3気筒DOHCエンジン。最高出力81馬力を10250回転で、最大トルク64Nmを6250回転で発生させる。扱いやすくパワフルだが、レインモードのスロットルワークに対するツキはダルに感じられた。
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ニッシン製ブレーキキャリパー、ショーワ製φ41mm倒立フロントフォーク、ホイール形状など足まわりのセットは従来モデルを踏襲している。なおタイガースポーツ800はブレーキシステムなど異なるものが採用された。
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両持ちタイプのスイングアームを採用。マフラーは車体下部に収めることでマスの集中化が図られている。リアブレーキはトライアンフマークだが、ブレンボ製シングルピストンキャリパーで、コーナリングABSの装備も追加された。
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ライディングモード切り替えやオートクルーズのセット、そして専用スマートフォンアプリ”My Triumphコネクティビティ”の操作など、左側のスイッチボックスに集約している。直感的にセットすることができ扱いやすい印象。
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LCDマルチファンクションメーターとTFTカラースクリーンのコンビディスプレイ。シフトポジションやライディングモードなどインフォメーションは伝わってきやすい。スロットル操作によって回転計がチカチカと点滅することが多少気になった。
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フェイスマスクは従来モデルのデザインを踏襲している。タイガースポーツ800との見分け方は、メインスクリーン左右のサブスクリーンや2眼ヘッドライトの中央部にデイタイムランニングライトが無いことなどがある。スクリーンは手動にて上下することができる。
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ニュータイガースポーツ660ではシフトアップ/ダウン両方向でクラッチレバー操作が不要なクイックシフターが標準装備となった。しっかりと入力する感じだがタッチやシフトチェンジの感触は良い。
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リアサスペンションはフルアジャスタブルタイプのショーワ製モノショックを採用。プリロードコントロールノブも扱いやすく好印象。リアタイヤの状況が手に取るように伝わってくるので、安心して深くバンクさせることができる。
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シート高は835mmとやや高いと思える数値ではあるが、シート形状が細身のシェイプとなっているために足つき性は悪くないと感じた。それでも足つきが心配だという方は25mm低いオプションアイテムのデュアル・ロー・シートの検討を。
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純正オプションで用意されるパニアケースの装着も想定したリアセクション。大型のグラブバーはパッセンジャーが体を支持しやすいだけでなく、パッセンジャー側のシートがフラットであることもあり、荷物を固定する時にも重宝する。
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シート下にはバッテリーをはじめとした電装系がレイアウトされており、若干だがスペースの余裕がある。とはいえETC車載器をインサートすれば、もう余裕はないと思える。

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